更新:2024/09/29

長野県環境影響評価技術委員会、9月27日

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(要対策土を中詰め土に使う計画の土曽川橋りょうP1のケーソン。27日撮影。)

 9月27日、長野県環境影響評価技術委員会で、リニアの長野県駅東端の土曽川橋りょう工事に要対策土を使用する変更について審議がありました。

 『信毎』28日6面 "「要対策土」の安全面 疑問噴出 継続審議に JR環境保全計画巡り県議技術委"(web版)によれば、委員からの意見は:

 鈴木委員長は「『人が住んでいる所に要対策土を持ってくるのは、環境保全的に考えにくい行為。基本から言えば許されない』と批判」。10月中にも次回の審議が行われるようです。

 委員の発言は、地元の住民がいってきたことと同じです。審議は継続になるようですが、飯田市や長野県はどう対応するのでしょうか。

 今年は随分暑かったです。委員から指摘があったかどうか、記事では分からないのですが、温暖化ガスの一つ二酸化炭素の排出量は、約30㎞の道のりをダンプカーで運ぶので、排出量は確実に増えることも問題でしょう。2022年の保全計画通り現場の発生土を使うなら発生しない二酸化炭素です。

 今後発生する要対策土の総量を確定できれば、それなりの処分方法は見通しがつくはずなのですが、JR東海はどれだけ出てくるのか分からないという。であれば、トンネル掘削を中止、いったん停止でなく完全に中止にして、蛇紋岩も含めて処分すべき要対策土の量を確定すべきでしょう。

 要対策土以外の残土についても、処分先が全部決まっているわけでないです。

 たとえば、阿智村の七久里では、100万㎥以上の残土を埋め立てる構想があるのですが、ハナノキの自生する湿地に大きな影響が心配されています。この計画では、埋め立てた跡地を産業用地として利用する考えがあるようです。

 発生土置き場の名目であればJR東海が環境調査を行い環境保全計画書を出すのですが、産業用地を阿智村が造成するとすれば、残土置場(発生土置場)ではないので、阿智村が環境影響評価を行わない限りは、環境への配慮なしで工事が行われることになります。

 自社の変電所などリニア関連施設であるとか、自社用地でなくとも発生土置き場であれば、環境影響評価段階で具体的な工事計画ができていなかった、というのが驚きであり、問題なんですが、環境影響評価の延長として、環境調査をして環境保全計画書をつくります。残土の活用先が公共事業の場合は、環境影響評価をするかどうかは、規模にもよると思いますが、地元の県や自治体次第でやらずにすむ。こうやって、JR東海はアセス逃れをしているのです。

 つまり、JR東海は環境なんか決して重視しちゃいません。そのあたりに専門家の皆さんも怒りを感じたんじゃないかと思いますね。

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参考

 「飯田リニアを考える会」と「リニアから自然と生活環境を守る沿線住民の会」は以下の文書を7月下旬に、長野県環境影響評価技術委員会に送りました。

 なお、8月20日、「リニアから自然と生活環境を守る沿線住民の会」は長野県庁を訪れ、長野県知事に対する要望書をリニア整備推進局長に手渡しました。

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