更新:2024/09/30
広島市西区の陥没事故
9月26日午前、広島市内でシールドトンネル工事が原因とみられる道路陥没があり、付近の建物にも被害がでました。
- 『朝日デジタル』26日 "道路40メートルにわたって陥没、市営住宅傾く 広島市が雨水管工事"
- 『中国新聞』26日 "交差点で道路が隆起・陥没 建物傾き一時閉じ込められた人も 水あふれ出る 広島市西区福島町【動画あり】"
- 『NHK NEWS WEB』26日 "広島 水道管破裂で道路陥没 付近の地下で掘削伴う工事"
付近の地下30mで行われていた雨水下水管のシールド工事(直径5m)で異常出水があって、陥没が起きて、水道管が破損して水が地上にあふれたという順序。トンネルへの出水は水道管の水ではなく地中にあった水のようです。
- 『テレ朝news』27日 "広島市で道路が40mにわたり陥没、建物8棟傾く 地下30mで下水管組み立て工事"
「下水管組み立て工事」というのはシールド工法でセグメントを組んでいくやり方についていっているのでしょう。
- 『朝日』27日28面 "広島で道路陥没 市営住宅が傾く 雨水管の工事作業中"、『中日』28日25面 "道路陥没・浸水、建物傾く 広島、地下で掘削工事"
- 『日経クロステック』30日 "広島市で道路陥没し建物傾く、地下30mで清水建設JVがシールド工事"。
『日経クロステック』によれば:
- (1)工事をしていたのは清水建設などのJV
- (2)落札価格が調査基準価格を約14億円下回った
- (3)掘削延長は約3.5㎞
- (4)今年2月に発進、約200mを掘削
- (5)地質は「玉石を含む砂れき層で、その上部には砂質土層や粘性土層、火山灰土層などが堆積」
- (6)トンネル内の異常出水は昼夜2班の交代後すぐ
事業名は「観音地区下水道築造工事」。広島市のページ"観音地区下水道築造3-1工事"によれば、工事期間:令和4年3月22日~令和10年3月20日。
- 『広島 NEWS WEB』29日 "道路陥没 応急工事が終わり下水管を調査"
30日の報道 現場はもと河川
事故のあった場所は1954年以降に埋め立てを行った場所。『日経クロステック』の(5)地質は「玉石を含む砂れき層で、その上部には砂質土層や粘性土層、火山灰土層などが堆積」は、埋め立てた部分の下のことをいっているのか?
- 『RCC(中国放送)』30日 "広島市の大規模陥没 現場の雨水管工事「旧福島川」とルート重なる 松井市長「早急に原因究明を」"
- 『広島ホームテレビ』30日 "西区の道路陥没事故 専門家「掘削の地層に原因」 広島"
事前調査はしなかった
現地を取材したジャーナリスト・樫田秀樹さんによれば:
- 陥没地点でのボーリング調査はしていなかった(交差点でもあることだし、物理的にできなかったのだと思います。これが都市部におけるボーリング調査の限界ですね)。
- 陥没後、地下に空洞があることが分かった(事故の前からあったのか、シールドマシンの振動が原因で空洞になったのか、今回の陥没後にできたのかは不明)。
- 事故の1週間も前から、住民は地下からミシミシという音を聞いている。
- 今回の事故で水道管の破損は報道されたが、じつはガス管もやられていて、水が入った。
- シールドマシンは泥土圧による方式で掘進していた。
- 現地はかつては川だった場所。そこを埋め立てての造成地だった。シールドマシンが掘削していたのは、川があった場所より下の元々の地盤。固い砂礫層。
樫田さんに越智秀二さん(日本地質学会会員)から提供された資料(以下)
広島市内では二葉山トンネルのシールド工事も難航
広島市内では、広島県と広島市の共同出資でできた広島高速道路公社がシールド工法で建設している広島高速5号線の二葉山トンネル(1407m、2018年9月掘削開始)の工事が難航して工期が大幅にのびているだけでなく、地上部分に被害が出ています。
- 『週プレNEWS』2023年8月24日 "騒音、振動、陥没事故...。広島・二葉山トンネルは「第2の調布」になってしまうのか?"
広島高速道路公社のHPの9月27日時点の高速5号線シールドトンネル工事進捗状況は、全長1407mのうち、2018年9月の掘削開始から6年=約72カ月で1194mを掘削。1カ月あたり17m足らずの掘進なので、いくらなんでもといってよいペースです。
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