更新:2024/11/11
静岡工区のようすについて
フェースブックの「大井川の水を守る62万人運動」に山梨県内の県境付近で行われている高速長尺先進ボーリングの進み具合について報告が載っていました(◇県境まで205m。高速長尺先進ボーリング報告書◇)。
村野 雪
2024年11月7日木曜日 8:44◇県境まで205m。高速長尺先進ボーリング報告書◇
令和6年10月28日〜11月2日県境まで300mからは『慎重に掘る』『毎日報告する』、『②断層では湧水圧を測定する』ことが約束されていますが、その理由は、県境付近の大断層と地下で繋がっている可能性がある2つ目の断層(②断層)が、県境から250m付近にあると想定されているからです。(画像右下)
但し、南アルプスは十分な地質調査は行われておらず、JR東海は、この図は過去の文献などによる想定図と言っていて、実際に1つ目の断層はこの図より西に100mズレていたそうです。
さて、300mを切ったのは9月19日でした。
県境まであと205mです。
②断層はまだなのか。
②断層に水が溜まっているとしたら、その手前に水を通しにくい粘土層があるはずなので、粘土層に当たったら湧水圧試験を行うことになっています。
破砕帯の湧水圧試験が行われて、新たな『透水系数』が出たら、工事計画全体の水収支解析を計算し直すことが約束されています。
これでひっくり返る可能性がある、重要な局面です。
★孔口湧水量は35〜46L/毎分。
★水温 22°C程度。
★pH 8.9程度。
★電気伝導度 20台。
★スライム 砂岩粘板岩互層3mm-10mm 2mm-8mm
報告書の公開は相変わらず週一です。
県には毎日報告されているようです。
県民にも毎日確認できるようにして欲しいものです。 https://company.jr-central.co.jp/.../shizuoka/resources/
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投稿の最後のアドレスは、JR東海のHPの「工事の安全・環境の保全・地域との連携 (静岡県)」。
このJR東海のページでは、「大井川の水資源に関する当社の取組み」について扱っています。「より詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。」と書いてあるところ、その4番目に、中央新幹線南アルプストンネル(山梨工区)の高速長尺先進ボーリング進捗状況(令和6年5月20日~11月2日)があります。投稿の画像はそこからとったものだろうと思います。
11月以前のようすについては、そのすぐ下に「(参考)」として「中央新幹線南アルプストンネル(山梨工区)の高速長尺先進ボーリング進捗状況(令和5年2月21日~9月30日)」があります。
この調査の結果によっては、沢の生態系への影響だとか、水資源への影響の問題だけでなく、今後、工事ができるかできないかということもでてくるわけです。
静岡では、そのほかに、ツバクロ沢(燕沢)の残土置場の問題もあります。対岸の山の断層だけでなく、盛土予定地に断層があることもわかってしまいました。JR東海は、これまで、盛り土予定地や周辺に断層や活断層がある場合に、なるべく断層があることについてぼやかそうとしてきています。リニア関係では、山梨県笛吹市の中央道境川パーキングエリアそばで、このあたりには活断層があるんですが、山梨県が住宅地開発を目指して、リニア実験線の残土の盛り土で造成したものの、阪神大震災で盛土の崩壊が多発したことで、結局は住宅地として売り出せなかったという失敗があったからだろうと思います。ツバクロ沢の問題については、静岡県の専門家とJR東海との議論は長引くと思いますね。
リニア建設は、最近では岐阜県瑞浪市大湫の水位低下と地盤沈下はじめ静岡以外の地域でも、いろんな問題を起こしたり、起きそうだったりするわけです。
これだけの被害をおこしても、起こす可能性があっても、超高速の鉄道が必要なのかどうか考えて見る時期だと思いますね。しかも、被害を受けるほとんどの人たちはリニアを利用するわけではない。
東海道新幹線が大雨の時、計画運休をする理由に、盛り土部分の安全性の問題があるようです。リニアでは、路線には盛り土部分はほとんどないのですが、トンネルの掘削残土の処分は、盛り土で、しかも谷や沢に盛土して処分されているわけで、路線自体は雨に強くても、残土の処分先の盛り土は巨大ですから、地方の住民にとっては、大雨が降りそうだったら電車を止めればすむ程度のことでは済まないわけで大きな災害になってしまう。これも非常にふざけた話だと思いますね。
たぶん、しばらくは、自民党と公明党が政権を担うのだろうと思います。石破茂首相は鉄道マニアで、「リニアはつまらない」(『毎日』)といっています。国交大臣だった斎藤鉄夫さんが公明党の代表になりました。役職が役職だったので、さすがに、リニアはつまらないと公言してはいないと思いますが、島根県生まれで広島県そだちの斎藤さんは「石破首相と同じく大の鉄道マニアでローカル線の魅力について熱弁をふるう」(『日経』10日)そうです。(参考:『日刊スポーツ』9日 "与党「鉄オタ」タッグ誕生「鉄道マニア」斉藤鉄夫氏が公明党代表正式就任で石破首相と")。
斎藤さんは国交大臣だったあいだ(2021年10月~2024年10月)、ずるずるとリニア建設の進行を認めて来たんですから、あまり期待はできませんが…。
政治の中枢のいる人物が鉄道マニアかどうかは別にしても、リニアにお金をかけるよりは、北海道の鉄道や、赤字ローカル線の維持にお金を使うべきということは、差し迫った現実だと思いますね。その問題を正面からとりあげて解決できないなら、政治は何やってるんだということになりますね。
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