更新:2024/11/15
大井川の減水問題~「田代ダム案は不可能」
リニアのトンネル工事で大井川の水が減ることについて、東京電力の田代ダムの取水制限をして、減った分を補うという、JR東海の提案について、それは無理ですよと、静岡県のリニア関係団体が発表しました。フェースブック「リニアを考えようコミュニティ」の投稿を紹介します。
田代ダム案は不可能
林克 2024年11月13日 水曜日 23時11分
今日は、県庁県政記者クラブでリニアの記者会見。10月に実施したJR東海への第2回公開質問状の回答、質疑の結果、「田代ダム案は不可能」という見解を根拠のデータを示してリニア関係7団体で発表しました。
田代ダム案は、JR東海が東電との話し合いの上で提案した、リニアトンネル工事の山梨・静岡工区がつながり導水路トンネルが機能するまでのの10か月間、山梨県側に一方的に流れる水と同じ量の水を田代ダムの取水制限するかたちで水を返す代替とする案です。前提として返すべきトンネル湧水量はどのくらいなのか?大井川河川流量が確保できるのか?が問題となります。
不可能の理由として、
①透水係数は河川流量やトンネル湧水量と相関関係にあり、現在の透水係数はあまりに小さすぎる。JR東海自身が「新倉のボーリングの結果を用いている」という通り、断層破砕帯ではなく硬い地質で採取したものだ(写真3枚目①)。調査を改めて実施すれば、田代ダムが取水する大井川の流量は減り、トンネル湧水量が増えるために取水量は増えて田代ダム案は成り立たない可能性が大きい。
[ 写真3枚目① ](拡大)
②西俣直下に対するボーリングで、JR東海は断層破砕帯の部分でコアが取れないにも関わらず大量湧水がない、溢水は確認できないとしている(写真2枚目赤丸)。工事日誌を要求してもJR東海は「手元にない」とするが疑念を生じる。大量湧水、溢水どちらにしても上部の西俣の水を引き込んで田代ダムへの取水のもととなる大井川の流量は減ってしまう。
[ 写真2枚目赤丸 ] [ 拡大 ]
2つの問題で田代ダム案は不可能と考えます。そしてこれから県の専門部会で話し合う田代ダム案のリスクにおいて、この2つの点を踏まえて議論するよう静岡県中央新幹線対策本部に申し入れる旨述べました。
マスコミの方々も8社が来てくれて、次から次へと真剣に質問をしてもらいました。とても答え甲斐がありました。 終わってから記者さんと「JR東海がよくここまで対応しましたね」「岐阜の問題で明らかに方針転換したのでしょうね」と雑談。
コメント(一部抜粋)
かぼちゃ 大好き 現状では、東電がのめない案ではないかと思います。
林克(投稿者) かぼちゃ 大好き さん JR東海は東電との話し合いの内容を説明していませんね。
かぼちゃ 大好き 東電としては、「最悪の場合(10ヶ月を越えて)先進坑貫通まで田代ダムは全面取水停止」になる可能性も想定しないとならないと思うのですよ。結局、湧水量は掘ってみるまで分からないので。
そのうえで、トンネル完成後は田代ダムへの流入量が減ることも覚悟しないとならない(よく考えれば中電の二軒小屋と赤石発電所も同じ)。
これではなかなか合意できないのではないかと思います。
林克 投稿者 かぼちゃ 大好き さん 10ヶ月というのは300万トン、500万トンという前提ですから、当然もっとずっと長くなるし、湧水量も増えると思います。
公開質問状の質疑で「透水係数は河川流量の増減と相関する」と言っているわけですから当然大井川の流量、田代ダムへの流入量は減ります。しかも椹島以北は導水路トンネルで戻す補填ができないのですかダブルパンチですね。
おそらく東電も水関係の専門家の方がいるでしょうから、その方が見れば一発だと思うのですが。中電の二軒小屋・赤石発電も打撃を受けるのはご指摘の通りです。
素人が見ても田代ダム案は詐欺みたいなもの、首長始め集団催眠にかかっているかのようです。
集団催眠中毒
コメントの中で「素人が見ても田代ダム案は詐欺みたいなもの」と言う部分。リニアのトンネル工事が行われるのは、田代ダムの取水口より上流なのですから、素人がそれで大丈夫と理解するには、それが実際に理屈にあった方法であったとしても、よほど丁寧に説明しなくては理解はできないはずです。
車輪を使わない磁気浮上式鉄道が、車輪を使う普通の鉄道より、エネルギーを無駄遣いするんじゃないだろうかという素人の疑問が、政治家やマスコミから出てこないのも「集団催眠」にかかっているようなものですね。超電導リニアのアイデアの元祖のアメリカで、またドイツでも、1970年代に研究はしたけれど開発はしなかった超電導方式のJRリニアの技術的な危うさについての疑問が出てこないのもそうですね。
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