飯田西中学校の準備書説明会 (10月5日)

 飯田西中学校は、旧市内と呼ばれる飯田市の中心市街地の山よりにあります。旧市内の説明会はここだけでした。この範囲では、非常口が今宮に一つ、松川に橋梁がかかる以外はルートはすべて40mより深い地中です。質問の一部と回答を紹介します。記憶とメモによるもので間違っている点もあるかと思います。質問の最初のカッコ内は質問者の居住地の地名です。鼎(かなえ)以外は全部旧市内の地名です。鼎は1984年に飯田市と合併。

[ 質問 ] (鼎) ここまできたのだから、できるだけ早く2020年ころまでには東京と飯田の間だけでも開通して欲しい。p14によれば地下を走行する場合の振動について1地点について予測していることになるが、40mの深さを通っているように見えるが、長野県駅から松川のトンネルを出るところまでの実際のトンネルの深さはどれほどか。
 山梨実験線の測定結果に基づき予測した結果というが、30mならいくら、50mではいくらという数字を示してもらうか、実際にそこにいって体験させてもらうかすれば、安心と思うが、可能か。
 今宮に非常口ができるが、自治体と協議して場所が決まったのか。
[ 回答 ] 東京と名古屋では大都市部での地下のターミナル駅での地下工事となるし、南アルプスの長大トンネルの難工事があり、どうしても10年以上かかる。早くとは思うがむずかしい。部分開業にするにしても、車両基地とか運行を司るシステムをつくらなければならないので、現実的には難しい。
 振動について、準備書に示した地下40mは飯田線をくぐったところの段丘部の数字。長野県駅から松川のトンネル出口までの土かぶりの一番少ない部分が40mになる。それ以外は40m以上が確保される。山梨実験線のデータについては準備書に示している。高川トンネルでは土かぶり10mでは浮上走行で39デシベル、車輪走行では42デシベルとなっている。実験線の最大で土かぶり7m直上で47デシベル。今回の予測では16両編成に換算して48デシベルになるので、これよりは小さいレベルになると予測する。40〜50デシベルの振動は人体に感じない限度とされる。
 非常口の位置は、トンネルの施工性、地形地質の状況、道路が繋がっているかということを考慮し、JRにとって最適な位置をしめした。自治体とは協議していない。
 微気圧は、トンネルの入り口には緩衝工を、非常口には空気の振動を抑えるサイレンサーのようなものを設けるので非常口では音がでたり、人の感じるような振動がでることはないので安心を。
 40mで評価した意味は、人や動物への影響の評価なので、トンネルの上に住居とかがある位置で、トンネルから入って一番土かぶりが浅い位置ということ。高川トンネルで体感したが、全く感じないレベル。場所はまわりは民家の中であるのでご配慮いただきたい。

[ 質問 ] (今宮町) 神社関係者。今宮町4丁目に開口部ができるが、神社の境内に一部かかっており、お祭りの奉納煙火の打ち上げ場所に非常に近い。警察、消防の厳しい規制があるので心配している。規制区域内ということで打ち上げができないということは回避していただきたい。JRの最適地ということで、どうしてもということなら私どもとして同意できないかと思う。具体的な話が進む中で相談があるとは思うが。
 水についてはご配慮願ったが、神社の境内の湧水を2つの手水に供給している。万一水がでなくなったときには十分な対応をお願いしたい。
[ 回答 ] 花火を開催していることは承知している。規制について心配しておられるのは、火薬取締法の適用のことではないかと思う。非常口があの場所にあってもJRとしては、地域のこれまでの伝統をないがしろにするような考えはない。適切に対応し、話を聞いて調整するつもり。
 これから詳細な工事計画を作成するなかで水質などの水文調査も行なう。できる限り地下水への影響がないように適切な計画を進めたいと考えている。地域の水の使用状況も調査し十分把握した上で工事計画を策定する。工事を開始する前には水をご利用の皆様には工事の内容を説明するし、工事のはじまる前、工事中、必要に応じて後に、井戸水の量や地表水の流量なども観測していく。万一渇水が生じた時には地域の住民の生活が第一ということで応急対策をする。

[ 質問 ] (猿庫(さるくら)の泉の地権者、羽場曙友会(はばしょゆうかい)生産森林組合役員)昨年3月1日当組合は猿庫の泉保存会と連名で長野県南部環境保全事務所でJRにたいして中央新幹線プロジェクト推進について3点の要望書を提出した。1.ルート設定にあたっては、猿庫の泉に影響を与えないようにすること。この点については今回の発表では多くの配慮をいただき当初の計画を一部ルート変更し猿庫の泉への影響が軽減されたことは喜ばしくありがとうございました。2.水量や水質調査については、工事前、中、後の変化が把握できるような十分な調査を行い当組合に提出すること。準備書にあるように引き続き定期的な調査、報告をお願いしたい。3.万一影響が確認された場合は協議の場を設けること。もし不測の事態が発生した場合は関係者に早期に連絡いただき両者の協議する場所を設けていただきたい。御社の誇る最新、最高の技術を駆使して工事が無事完了することを希望します。
 当組合の所有地にトネンルの坑口や橋がかかると予測される。工事の時期、工事事務所の位置はどのようになるのか。飯田の地に明るい時代が来る起点の大きなプロジェクトなので羽場の○○は基本的に協力するつもりだからよろしく願いたい。
[ 回答 ] 工事前、中、後も必要に応じて、水文調査、湧水の流量は調査するつもり。万一減水の兆候が出たときにはまず所有者、関係者に相談しながら進めて行きたい。
 まだ環境影響評価の作業を進めている段階であり、工事事務所、工事時期についてなどの詳細なものは、今後、開催される工事説明会の中で示すつもり。
 猿庫の泉を避けてルートを変更したということではない。2年半前に3km幅で示し、その後環境影響評価の作業と、ルートの絞込みをして、この9月にはじめて報告したもので、JRとしてベストのルートを出したということを誤解なきように。
 水資源については、環境影響評価の中で事後調査を位置付けている。具体的にどこで何を測るとかその頻度をどうするかということは地域の方や専門家、地域に詳しい方の話を聞きながら決めていきたい。

[ 質問 ] (大休) トンネルの予定地の上に住んでいる。まだ飯田の上水道が来ていない地域で、生活用水は深井戸を使っている。50〜80mの井戸を掘ってポンプアップしている。だいたいトンネルと同じような深さだと思うが、事前に影響の調査はしたとは思うが、この地域(の工事)はいつ頃計画されているのか。
[ 回答 ] 井戸、水文の調査はいつ頃か、そういう影響がわかるのはいつ頃かという質問と思う。これから詳細な調査をするのにあわせて工事の施工計画も行なって行くので、できるだけ地下水の影響を軽減できるような工事計画を調査計画に基づいて作成する。したがって、これから工事計画を進めるので、工事説明会で、対策も含めて説明できると思う。
 今回の調査の中でも個人の井戸の調査もしているが、ルート公表前だったので、3km幅の中で自治体などに個人の井戸があるか聞いたが、個人情報のこともあり教えてもらえる範囲で行なった。ルートを公表し、これからその場での調査をするので協力をいただき影響の少ないようにしていきたと思う。
[ 補足質問 ] 質問内容は、現地調査はしたのかということ。(ここまで不規則発言) それから、その概要は、3年先とか5年先とかここ一年という程度でよいので、そこらへんの話を聞きたい。
[ 回答 ] 工事の着手の時期は、アセスの手続きが終り、工事実施計画の認可手続きに入るがそれを26年度を目ざしているが、すぐ工事が始るのではなく、その前に事業の説明とか、現地の測量、用地の取得にかかわる話もあるので、1年かかるとか2年かかるとかはわからない。着手の前、工事の前に水の状況を調べるので、事前の水の調査が1年後か3年後かといったことは申し上げられない。着手の前には、必ずやるということで理解願いたい。

[ 質問 ] (飯田市) 残土を埋め立て用に利用させてもらう場合の土留め要壁の費用負担は自治体なのか、地元なのか、JRなのか教えてほしい。
[ 回答 ] 場合による。JRが土留めを施工する場合もあるが、埋め立てて、造成して宅地やなんらかの構造物を作る場合は、その事業者と協議して負担を話合うこともあるだろうし、単にJRが土を持っていかしていただいて、埋め立てると崖のようなものができ、何らかの措置をとる必要があるときにはJRで設計してやると思う。今の段階では、残土の用途がわからないので明確なことはいえない。

[ 質問 ] (丸山地区) 丸山地区にできる非常口、図面では"U" と示されている。非常口の工事について、準備書には、1年目には2年目には何台の車が通ると書いているが、それはいつから1年目ということなのか。いつから工事が始るのかということ。
 発生土が飯田市全体で180万立方メートルだが、今宮の非常口からはどれぐらい出るのか。仮置場はどの程度のものができるのか。
 工事により出水が考えられるが、近辺の松洞(まつぼら)川は断面が少ない。放流水の水質も含め出水対策について聞きたい。
[ 回答 ] 工事はいつごろからはじまるかについては、23年5月に建設の指示を受け、今、環境評価の手続きをしており、環境評価書を報告することで終了する。その後、工事実施計画の申請認可ということで国土交通大臣から認可を受けて着手となる。認可を受けると、地域住民に対して事業説明会をし、その後、中心線測量、用地測量を現地で行い用地を確定する。確定が終わると用地説明会で地権者に補償等含め説明する。このような流れの中で工事計画も進める。工事の着手の前には工事説明会を開き、工事に入る。いつからどこで工事がはじまるかということは工事計画が策定されて示すことができるものであるので具体的な内容については工事説明会の段階でおこなう。
 (スライドを示し)非常口は今宮と土曽川沿い、そして松川からも残土が発生する。土曽川の部分については、西側に掘り進める。今宮からも西側に掘り進める。松川の右岸からも掘削する。発生量は土曽川、今宮からは各50万、松川から80万という計画。
 トンネル工事の出水については出水規模を想定した濁水処理設備を設ける。コンクリートを使うのでアルカリ性の中和や濁りの処理し環境基準にてらし適切なかたちにして流す。
 松洞川について水素イオン濃度や、浮遊物質等調べたが非常にきれいな水と承知している。きちんと処理して流せるような水を流すようにする。
 発生土の仮置場については、8ページに示すように、ヤード内の出口近くにある。置場を含め、ヤード全体で0.5〜1ヘクタールになる。掘削は24時間だが、ダンプを出すのは昼間になるので夜掘った分をこの仮置場に置くことになる。

[ 質問 ] (飯田市)リニアの駅と飯田線とのリンクは考えているか。
 リニアの駅が交通の核になると思うが、周辺は地元がすべてやるのか、新聞では高架駅だけをJRがやるとのことだったが。
[ 回答 ] リニアの新駅へのアクセスは、高速道路あるいは国道の整備状況、飯田線の利用状況をみると、リニアの駅へのアクセスは道路が主体になると考える。現状では、リニアにあわせて飯田線を整備するという考えはない。駅周辺の開発とかアクセス道路については、地元自治体のやることで、JRは駅だけと考えている。

[ 質問 ] 昔は駅ビルなどつくったが、駅だけ作って周りの開発には手を貸さないという理解でよいか。
[ 回答 ] 今申したように、JRとしては駅の部分だけで、駅ビルとかアクセスの整備については考えていないとご理解いただきたい。

[ 質問 ] (旭町) 今後、工事の説明会など開かれると思うが、このような誰でも出席できる説明会はどの程度する考えか。
 工事の平準化というのはどういうことか。
[ 回答 ] 今回の説明会は環境評価法に基づくもので準備書の内容を皆様に周知していただくという位置付けのもの。工事の実施計画の認可をえると、事業説明会を、また他に用地の関係で、工事計画が具体化すると工事の着手前には工事説明会を開く。より具体的な話になるともう少し小さな単位の説明会も考えて行きたい。地元の皆様のご意見、ご質問については環境保全事務所長野のほうでも社員が直接聞きすぐに対応するので足を運んでいただければと思う。
 認可後、2027年の開業を目指し工事をやって行くわけだが、南アルプスのトンネルなどは10年ぐらいはかかると見ている。また、品川とか名古屋はターミナルの駅に地下に駅を作るので大がかりな工事でこれも時間がかかる。これらはなるべく早くやりたい。一方、駅部の高架橋とか橋梁などは、リニアに限らず、用地の取得に時間がどれくらいかかるかも問題だが、土木工事は3年から4年でできる。全体の工期をみて、部分的に余裕があるところについては、着手時期を遅らせるというようなこと。
 今後、近隣の住民の方にはいろいろな場面でご説明したいと思います。

[ 質問 ] (羽場)しっかりした準備書をこしらえていただき説明会を開いていただき大変ありがたいことと思う。出席者をみると若い人が少ない。若い人々、中学生高校生に対する説明の機会を作ってもらうとありがたいと思う。以前の飯田の説明会でも申し上げた。
 工事がはじまった時、終わった時に評価書を出してもらえることはありがたいが、(工事終了後)影響の具体的な中味が出てくると思うので3年とか5年後に報告をだして、説明会を開いていただければありがたい。
 中央高速道路ができたあと、松川とか高森とかで道路わきの果樹に塩カルの被害があった。阿智の大きな橋の下では低周波公害があった。万全の準備をしても、動き出してから、防げ切れないところ、新しいことが出てくるので、そういうときにはそれに合せた対策をたっていくことになると思う。中央自動車道の防音壁も、最初なくてだんだんできてきたが、早い段階でわかっていたのではないかと思うが。科学の力をもってしても予測できなかったのか、そのあたりのことを聞きたい。
[ 回答 ] いまのところ若い人たちだけに対する説明会というのは考えていない。今回、準備書の説明会は長野県内で11回行なうが、方法書のときは6回だった。日にちについても、平日の夜の時間帯、休日にも計画して、年齢問わずになるべく多くの方に参加いただけるように考えている。
 環境影響評価のなかでやっていく事後調査は、工事中、完了後もやって行くが、具体的にその期間についてはその時々で考えて行く。影響評価は工事が完成してそれで終りというものではないので報告して行く。
 想定外のことが起きたときには、リニアとの因果関係をきちんと把握して、リニアの影響があるとすれば対処するつもり。
 低周波振動については、高速で走るものを支えるので、リニアの構造物は、道路に比べると剛性が高いので、桁が揺れて空気が振動が起きるといった現象が起きないことは山梨実験線で確認している。

[ 質問 ] (羽場) 大休みのところで月5000台近くのダンプがくるという報道があるが、工事の計画書の中に盛り込んでしっかり説明して欲しい。住民の中では、街づくりの中で、交通安全が問題になると思うので、十分に考慮を願います。
[ 回答 ] 工事用車両の通行台数について、5000台という話もあったが、現時点での工事計画に基づいて、騒音振動を予測するにあたって最大の通行台数を算定している。(スライドを示し) 簡単に説明すると、1番から4番と表示したのが図上の1番から4番で、これは、駅部とか、非常口、松川沿いの坑口から出てきた発生土の運搬車両などすべてを加味した状態で、しかもそれぞれの地点で最大になる数値を出している。一番おおきな数字は、2番の153号線沿いのこの部分で、1日最大752台になる。飯田市内では700台から800台という数値が最大と考えている。
 工事車両の走行で地域の皆様には不安や不満が生ずると思うが、地域の皆様の安全の確保、生活環境の保全について最優先に取り組んでいきたい。工事をはじまる前に工事計画などの説明をして地元の方々のご理解をいただきながら工事をすすめていきたいのでご協力を。

[ 質問 ] (県外) 電磁波について市民にも数値とか正確な数値を教えてほしい。
 ヘリウムガスを使うが、火災の場合の対処。賠償のことは。
 非常口の数が多いと思うが、どんな感じで調査したのか。
 地下水の問題。山梨ではかなり涸れている。これが本当に新幹線に変るものになるのか皆さん是非考えていただきたい。電磁波の問題もかなりおおごとだと思いますので是非市民に対して正確なデータをおしえていただきたい。
[ 回答 ] 磁界については、電磁波という言葉を使われたが、リニアの車両から発生する磁界は車両に積んでいる超伝導磁石が動くことにより周波数が決まる。それは、ゼロから12ヘルツ。12というのはすれ違った時に乗っている人が受けるもので、沿線では6ヘルツと非常に低い。何に比べて低いかというと、携帯電話だと800メガヘルツとかギガヘルツとか、単位が全く違う。メガヘルツは10の6乗ですから百万です。電磁波とは違い、磁界です。言葉が違うことをご理解ください。データは、随分前から実験線で測ったデータとして出している。(スライドをしめし、p11と同じ図か) 緑の四角と白い四角の点で測ったデータですが、測定点1(緑)のデータが通過速度500km/hで0.1ミリテスラ。国の基準が1.22ですから十分に低い。測定点2は少し離れたところということで、周波数の低い磁界、磁界のの強さは距離の3乗に反比例するので、八分の一になるので0.02になる。車両から発生する磁界の大きさというのは、磁石の強さによって決まるので、速度に関係ない。車両が動いていないゼロヘルツの時のガイドラインは、400ミリテスラと大きくなり、それに対して十分低い。この基準が守れることは実験線で確認している。このデータは以前から公表している。
 2つ目の質問。聞いている方も質問の内容がわからなかったかもしれない。火災、クエンチ、ヘリウムという全く関係ない言葉です。火災については、不燃性材料を使うなど対策しているが、それ以前に、内部で使う電源用のガスタービンを、誘導集電に変えたので火元がなくなったので心配ない。事件的なものはあるかもしれないが。万一の場合トンネルの中で止まった場合も・・・。クエンチというのは、超伝導磁石が磁界が突然なくなってしまう現象だが最大の課題ということで対策をした結果山梨実験線では1度もクエンチは起きていない。ヘリウムは超伝導磁石を冷やすために使っているが、不活性ガスなので漏れてもあぶなくないが、高圧であるが管理しているので大丈夫。
 非常口の間隔は、非常口は換気と非常口の意味がある。それで5km間隔になる。山岳部では施工性と効率から約6kmと広くしている。

(2013/10/20)