高森町の準備書説明会 (10月11日)
方法書の段階では、ルートが通過するといわれた高森町の説明会は出席者も少なく、予定の時間内に余裕をもって終了しました。非常に悪筆のメモと記憶によるものなので間違っている部分があるかも知れません。
[ 質問 ] (高森) 説明会は今日で4回目。これまで参加した説明会(注:豊丘、喬木、上郷か)では、9月20日の準備書ではじめて自分の地区にリニアが来ると知って多くの人が集まっていたが、高森町は、2年前の方法書のときには多くの人が来たが今日は閑散とした感じになっている。しかしリニアの影響が高森町になくなったわけではない。リニアの影響というのは住んでいる一つの地域とかでなく、南信州全体に影響を及ぼしてくると思う。生活に直接響くことがない高森では、リニアの基本的な疑問を提示したいと思う。
説明会場で、JRは録音撮影をするのに、参加者に撮影録音させないのは、情報を制限していて、非常に強権的な、一方的なやりかただと思う。今日ここで写したスライドは40以上あると思うが、○○は20ページしかない。そういったものを(数値などしめした図表などを)準備書に載せて公開しているから見よというような説明がされていたが、1400ページの中から探すのは大変でひどいやり方だ。東電の記者会見よりひどい。準備書によれば少なからず環境に影響のあることは示されているが、こんなやり方をしている企業がリニアによる被害に対応してくれるか疑問だ。明日からでも、やり方を変えて住民と対等平等でできるように進め方をかえて欲しい。
リニアは全国新幹線鉄道整備法に基づいて建設されるというが、二酸化炭素の排出量の比較の説明の中でリニアは旅客機に対比すべき交通機関といっている。(司会者の手短にの注意とかぶる)私も地上を走る飛行機だと思う。飛行機でるなら航空法に従うべきだと思うがいかがか。幹線鉄道と主張されるなら、在来線とJR東海の責任で結節しないなら幹線の意味がない。
飯田の説明会で、国土交通省から工事指示が出されているのでリニア鉄道建設の中止はないと明言しているが、ならば、一連の環境影響評価をせよという法律があるのか、アセス法は、評価の結果により、計画を変更ないし回避するものと理解されるが、準備書について県知事がノーという可能性もあるが、JR東海が国交省の指示があったから中止はありえないという根拠はなにか。
[ 回答 ] 今回は環境影響評価の準備書の説明会であり、ルート自体は高森町にはないが、リニアの工事は高森町へも影響をあたえる可能性があったのでこの会場でおこなった。説明会にたいしていろいろなご意見があることは承知している。録音や撮影をご遠慮いただいているのは、最近はこういった撮影録音したものがインターネットに流れるといったことがある。今日の主旨は地元の方から、話しやすい状況で、忌憚のないご意見をいただくことで、撮影録音されていると自由に話しにくいという人もいるので説明の場では撮影録音をご遠慮願っている。JRは録音をとっているが、ご意見の中味を確認するためで、他に公表するようなことはないので忌憚のないご意見をいただきたい。
リニアは鉄道であって飛行機ではない。ただ、東京から名古屋、大阪までリニアは約1時間で結ぶが、この時間に近い時間で結んでいる乗物は航空機しかないので、環境面で比較することになる。リニアが開業すると新幹線と一元経営するので、新幹線の各駅停車などから在来線への接続もできるから問題はない。
中止はないというよりは、JRとして事業をきちんとやって行くという意味。
[ 質問 ] (高森) ヘリウムは最近逼迫しているし、将来的には25年程度で枯渇するという話もある。ヘリウムの調達の見込みはあるのか。
名古屋、大阪まで早くいけるといったスピードが強調されるが、簡単に計算すると、到達する時間は遅いが、現在の新幹線の方が、輸送力、人数をどのくらい運べるかということでは倍くらい優れている。リニアは大量輸送機関として劣るなどいろいろな問題がある。飯田下伊那には、昔、中津川線というのがあって、着工したのに、トンネルの工事の途中で機械が壊れて中断している間になんとなく頓挫してそのままできた施設が放り出してある状態だ。リニアは、その神坂(みさか)トンネル(?)以上に、赤石山脈、伊那山脈のトンネルを通るわけで、そんななかで途中で工事を投げ出しちゃうということがあると、あと皆さん非常に困ると思う。そういうことが絶対無いようにするには、今の時点でこの計画を中止するのが一番と思うが、会社としては中止はないとおっしゃったが、今後も社内で慎重に話し合って是非とも中止するような形でやっていただきたい。
[ 回答 ] ヘリウムの調達は、生産の大部分をアメリカが占め、供給設備の不備などによる生産の停滞、新興国による需要の急増があるということでそういう状況にあることは承知している。しかしアメリカの生産、供給設備も復旧したと聞く、そもそも超伝導リニアではヘリウムガスを循環して使用しており、年間の使用量も日本全体の輸入量に対してはごくわずかであるので、ヘリウムガスの調達については問題ないと考える。
リニアの輸送能力。リニアは1編成は1000名。新幹線は16両編成で1300人。若干少ないが高速大量輸送機関としては十分と考えるし、飛行機と比べれば多い。
中央新幹線は自己資金で建設させていただくと決めたのは、会社の経営状態、株主への配当も考えても十分に検討して決定しているので、工事を途中で投げ出すということはないと考えている。場合によっては、今後社会経済の状況で、2027年までの間に不案内な(?)な部分もあるが、そういった時には工事のバランスのやり方を平準化するなど考えている。
[ 質問 ] (高森) 高架橋の防音防災フードについて、防音はリニアの中からの音を防ぐためと思うが、防災のわざわいというのは、外側からなのか内側からなのか、内側とすればそれはどんなものなのか。
文化財の環境保全措置について、埋蔵文化財について必要により試掘調査を確認した上で、あるいは記録保存のために発掘調査をするとのことだが、試掘確認調査や発掘は誰が行なうのか、県などに委託するのか、JR東海が自前でやるのか。
[ 回答 ] 防音はリニアの走行時の発生音を防止するもの。防災は内側でなく外側からの災害、雨、強風、倒木、落石といったものから防護するという意味。
文化財については、保全措置として、まず工事にともなう改変区域を小さくする。近傍で工事をする場合は適切な工法でやる。埋蔵文化財の包蔵地に影響を与えない形で計画するのが基本だが、今回は埋蔵文化財の包蔵地を改変することになる。その場合には、地域の教育委員会と調整しながら必要な試掘やその他諸々の調査を行なう。試掘調査などは、一般的には、レベルにもよると思うが、発掘調査は地域の教育委員会の方に委託するのが一般的なのでそのようになると思うが、実際に作業を進めるにあたっては、関係する自治体、教育委員会と話をして試掘については決める。
防災フードのところで、雨といったが雨は大丈夫。
[ 質問 ] (高森) 非常口が山間部にある場合、大きな事故のとき乗客をどう助けるのことについて、地域の住民と協力してということは考えているか。
[ 回答 ] 非常口は工事のときには本坑を掘るための斜坑の口として、何箇所からトンネルを掘る。工事が終わると非常口として残す。万一トラブルがあった時には基本的にはトンネルを抜けて明かり区間まで走る。非常口を使って、乗客に歩いてもらうということは本当の万一のことと考えている。しかし使うこともあると考えている。保守点検などにも使う予定なので非常口への道路を整備する、工事用道路を残す。地域自治体との協力については今のところ具体的には煮詰めてない。
[ 質問 ] (高森) 騒音対策として沿線土地利用対策、個別家屋対策等の総合的な騒音対策の実施により環境基準との整合をはかるように務めるとしている。騒音の予測が70数デシベルとされるが、相当の騒音になると思う。フードの対策だけでは規制を下回ることはできずに、個別家屋対策ということになると思うが。それで騒音は基準以下になるのか。
沿線土地利用対策とはどういうことになるのか。
[ 回答 ] 防音壁などで、音源を封じ込めこと、指摘のように沿線土地利用対策、個別家屋対策等の総合的な対策をする。音源対策としてはまずは2mの防音壁が基本だが、現在の土地利用状況などを考慮して必要な場合は3.5mの防音壁とか防音フードを設置する。予測は3.5mの防音壁で行なっている。その予測値は77デシベルで基準の70ないし75デシベルを超えているが、1番の部分についてはリニアの走行する姿が見えるようにという要望があり、フードを設置することで予測している。基準を超えた部分はたとえば個別の家屋対策、具体的には窓の二重化などで対応する。2番はフードを設置した状況の数値で最大でも65デシベルで基準を下回っている。
土地利用対策とは、沿線に公園、緑地、緩衝帯を設けることで、近くに保全対象となるような施設を持ってこないということ。
[ 質問 ] (高森町) 建設機械に関しては排出ガス対策型建設機械の稼働ということで、排出ガス対策型の機械が配備されると思うが、建設車両については運行計画の配慮、点検および整備による性能維持となっていて、配備ということは書いてないがそれで大丈夫なのか。
[ 回答 ] 工事用車両については、なるべくできるだけ環境に配慮した車両を使うということはもちろんだが、ある程度台数が増えてくると工事用車両が数珠つなぎになって走れば排出ガスへの影響は大きくなるので、工事用車両の運行計画またはルートを検討しながら環境への負荷を軽減してゆきたいと考えている。
[ 質問 ] (高森) 下世話な話で恐縮ですが、路線と駅位置が示されまして、ここに駅ができんのだと思って、いささか・・・のですが。JR東海さんとしては、今後、いつから用地の取得の働きかけをされる予定でおられるのか。また用地の取得に入った場合には、いろいろな個別の地権者の方との交渉になると思うのですが、そのー、中には、補償とかそういうことではなくて、ともかくこの土地から動きたくない方がおられるんじゃないかと思うのですけれども、そういう方とどうしても合意に至れなかった場合の最終的な決着の手段というものはどういうものを考えておられるのか聞かせていただきたい。
[ 回答 ] 用地取得の時期の話の前に、いま環境影響評価の手続きをしており、今後工事開始までの流れを説明すると。国土交通大臣の建設の指示を平成23年5月にうけ、環境影響評価の手続きにはいっている、本日も準備書の説明会、この手続きは最終的には環境影響評価書にして手続きは完了する。この手続きが完了すると工事実施計画の申請にかかる。ここで国土交通大臣から計画の認可をうけて、着手、着工となる。着工したからといって、すぐに工事が始まるわけではない。皆様の周りを工事用車両が走り始めるわけではない。まずは事業説明会ということで関係する皆様に事業の内容について説明する。それに引き続いて中心線測量、用地測量は現地にはいらせていただいて中心線を現地でおとし、必要な用地を確定する。用地の確定が終わると、用地の取得に関する説明をさせていただく。工事計画にもついても・・・をすすめて、工事説明会で地域の皆様に具体的な工事の内容とか範囲など話す。用地の取得は、事業説明会が終り、現地で用地の測量が終り、用地説明をしたあとで、実際の交渉をさせていただく。順調に手続きに進めば、工事実施計画から約1年後位にはお譲りいただくことができるのではないかと現時点では考えている。
なかなか自分の土地を離れたくないという方もいらっしゃるだろうということも考えております。まだアセスの段階で、これから用地の説明もしておりません、これから・・・。私どものスタンスとしては、基本的にはリニアの必要性でありますとか公益性というものをきちんとご説明して、個別に説明したり、説明会で説明して、その地権者の方にご理解を得て行くと、これを・・よくやって行くと、そういうことで、まずは・・・すすめていくと。そういう方針でおります。
[ 質問 ] (高森) 赤石山脈の工事、こういった大きな工事には日本中から多くの方が集まると思うが、作業をする方はだいたい何人くらい集まるのかということと、その人たちの住むところとか宿舎をどのようなことを考えているのか。
[ 回答 ] 南アルプスにトンネルを掘るにあたって、どれ位の作業員が来るかということに関しては、掘り方、昼間だけか夜間もやるかによって変ってくるので、幾人くらいというところまで、そこまでつめていない。工事従事者がどこに住むかということは、たとえば静岡は奥の方で工事をやるので、通勤は難しいので宿舎をつくるので、準備書にもうたってあるが、長野地区では通われる方と宿舎を設けるのとそれぞれと思っているがそれについてもはっきりとはわからない。
[ 質問 ] (高森) 新聞報道によりますと、用地交渉は市町村に委託すると報ぜられております。この委託の範囲は、残土処理のみ、あるいは補償賠償をうけて使用する委託をするおつもりでいらっしゃるのか。それを、お聞きしたい。2点目につきましては、先ほど70デシベルというお答えがありましたが、中央高速道路に関しますと、最初はそうでした。ところが、次々に、防音壁の要望がでて来まして、今では50デシベル後半で、防音壁の要望が出てまいります。今、ネクスコさんは対応しておる、十分ではないんですが、対応していただいております。というようなことから、でちゃった場合、いろいろな問題がでてきた時に、・・からとかしないとかそういうことじゃなくてぜひ柔軟に対応してほしい。
[ 回答 ] 残土の用地は発生土置場と解釈させていただきます。現在、トンネルで発生した残土、発生土の置場については、県を窓口に各市町村に有効に活用していただきたいということで発生土置場の斡旋をお願いしておるところでございます。今後、各市町村から県をとおして、発生土置場の斡旋がきて、そこから受け入れ時期とか受け入れ土量を勘案しながら進めて行きたい。その発生土置場の用地につきましては、基本的にはJRのほうで用地処理、まあ、発生土置場、いろいろケースはあると思うのですが、最終的に、まあ例えば山梨リニア実験線であれば、谷を埋めるというようなところであれば、一回(注:いったん?)、地権者に用地をお借りして、谷を埋めさせていただいて、防災工事もJRのほうが行なって、最終的に森に戻す、植林をして、地権者さんにお返しをするといった一連の作業、用地処理、借地ですね、こういったものはJRのほうで担当しております。
用地補償に関する手続きの中で、用地交渉などは誰がおこなうかという質問主旨としてお答えします。用地取得の買主になるのは当然事業主体であるJR東海となります。用地取得の○○につきましては全国新幹線鉄道網整備法に基づいて用地取得の作業は自治体に委託することを考えているので、実際の用地取得の交渉につきましては自治体の職員の方に行なっていただくということを考えておりますが、とはもうせ事業主体は当社でございますので折り目節目節目には当社も説明に上がるということになろうと思います。
騒音基準の考え方ですが、新幹線の騒音基準は2つありまして、基準自体は1つですが、適用はですね70デシベルを適用する場所と、75デシベルを適用する場所がございます。これは、県知事がここは70デシベルを守ってください、ここは75デシベルを守ってくださいと地域を類型して指定します。例えば長野県ですと、長野新幹線が既に開通しておりますので、長野新幹線沿線においても、類型指定がされております。70デシベルをまもるか、75デシベルをまもるかという。リニアについても地域類型が指定されることになる。それに応じて、70デシベル、75デシベルが達成される設備を作って行くことになるので、自治体の方で決められている基準を守って行くことであるので、その後、やっぱりもっと下げるというようなことは、そのときはないということを考えております。70デシベルという基準は一番厳しい基準ですが、その時点できっちり守っていくと、守るべきところは守って行くと、そういう考えであります。
[ 質問 ] (高森=再質問) 6ページの受電設備、変電設備について。変電設備について、磁気の影響とか、電磁波の影響とかの環境の説明がなかった。この部分はどのように環境影響(評価)をだしたのでしょうか。
[ 回答 ] まず変電設備の工事についての影響評価はおこなったことをご理解願いたい。変電設備は列車の制御に必要な電力を供給するために、沿線に20kmから40km間隔で設置する。必要な規模の電気量を設置した上で各機器の離隔を確保する必要があり、敷地面積はだいたい3ヘクタールを想定している。変電施設については、設置する電気機器を建屋で被っております。設備規模から考えて騒音、振動、低周波等の影響は極めて小さいと考えている。電波障害についても、技術基準で定められている基準値を満たしている。これらのことから他の鉄道と同じく、施設の共用につきましては環境影響評価の対象としていないのでご理解を。
(2013/10/23)