朝日新聞・長野県版
2014年8月27日03時00分
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リニア環境影響評価書の確定版をJR東海の担当者(手前)から受け取り、説明を聞く飯田市の牧野光朗市長=飯田市役所
リニア中央新幹線計画でJR東海は26日、長野市内で記者会見し、この日、国交省に同時提出した補正後の環境影響評価書(アセスメント)の確定版と工事実施計画申請について説明した。大きな節目を迎え、沿線の自治体からは13年後の開業へ向けた期待感とともに、自然・生活環境への影響を減らすようさらに求めていくとの声が聞かれた。
「JR東海が地元の理解を重要と認識し、『市町村や住民に工事内容をしっかり説明していく』と公式文書に記したことは、一つの収穫だ」。県環境政策課の担当者は、JR東海の補正後の環境影響評価書について、そう評価した。
しかし、県や地元市町村が求めてきたトンネル非常口や工事車両の削減、小渋川橋梁(きょうりょう)(大鹿村)のトンネル化などは、工期に影響が出るとして今回もJRに受け入れられなかった。
地元市町村と環境協定の締結を、という長野県独自の要請についても、同社の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は記者会見で「評価書が世間や住民に向けた宣言であり、それに加えて特段の協定を結ぶ考えはない」と明言した。
県は「より丁寧な説明はするが、工期に遅れが生じるような修正には一切応じないというJRの姿勢がはっきり出ている」と受け止めている。
先の知事選で、阿部守一知事はリニア計画を南信発展の起爆剤とする考えを示しつつ、「今後もJRには言うべきことは言っていく」と強調していた。このため、県は今後も、住民生活や環境への一層の配慮を求めていく方針だ。塩谷幸隆・環境政策課長は「特に協定の話はJRに粘り強く話をしていきたい」としている。