【分解】喬木村阿島県道18号線の景観

 準備書に掲載されている完成後のイメージと評価予測。評価の説明文のとおりに、高架橋の存在は目立たないと思います。


準備書の図 8-5-1-3(1) 完成後のイメージ

本視点は、県道 18 号上から道路に沿って北北東方向を見たものであり、道路沿いの住居等が視認できる。
 本視点場では、鉄道施設(高架橋)を建物の隙間及び道路上に視認することとなるものの、地域景観を阻害するものではない。また、鉄道施設(高架橋)は煩雑性の軽減を図ったディテールの工夫、コントラストを持つ水平線の構成がなされていることから、圧迫感は軽減され、供用時において日常的な視点場からの景観への影響は小さいと予測する。

 最近、現地を撮影したもの。35mm換算29mmレンズで撮影。準備書の画像と比べてもほとんど違いがないように見えるでしょう。


 上の写真の中心部を拡大します。中央の家は3階建てです。また、道路の先のほうは下り坂です。


 準備書の画像を同じように中心部を拡大したのが次の画像。準備書の説明とはちょっと違った感じに見えると思います。空の色がもっと青かったら高架橋がよりくっきり見えるでしょう。高架橋は3階建ての建物よりは高いところを通過しています。


 つまり距離が近くなれば大きく見えるという簡単な理屈なんです。道路右側、三階建ての家の手前に少し引っ込んだように見える場所に、北第一公民館(写真の右側)があります。ここで見たらどんな感じに見えるでしょう。高架橋まで約150m。


 さらに先に進むと。ビニールハウスのあたりをルートの中心線が横切ります。


 さらに進むと「田中生活センター」という集会所があります。


 振り返ってみた風景。高架橋まで約170m。


 もう少し北に進んで振り返ってみた風景。右側のオレンジ色の屋根が田中生活センター。


 この場所は実は小園こども広場の入口の前です。


 最初の準備書の画像の撮影位置、つまり予測地点は、準備書によれば水平距離で高架橋から約300mと説明されています。そして、小園こども広場は同じく水平距離約300mと説明されています。300mというのは、準備書が日常的な視点場の抽出範囲としている300〜400m以内の限界に近い数字です。この区間には、高架橋にたいしてより近い位置に集会所と公民館という地域住民が集まる場所があるのに予測地点として選定していなかったことになります。

(2013/11/14)


 いろいろ説明してきましたが、最初の写真で高架橋が目立たない大きな理由がもう一つあると思います。それは、空に白い雲があることです。ざっといって画面下半分は暗いです。ところが空の部分は非常に明るい。白い雲があるから明るいんです。そんな中で遠くの方に小さく白っぽい高架橋が見えたとしても目立つはずはありません。結局、準備書の評価予測の説明文はこの写真を説明しているにすぎないのではないでしょうか。なぜ、そういう批判を受けないですむように、私が撮ったような青空の写真を使わなかったのでしょうか。本当に澄んだ青空というのは明るくはないのです。

(2013/11/20)