パノラマ画面と35mmの画角の違い 岐阜編
景観への影響の評価のモンタージュ写真にパノラマ画面が多用されている山梨県分と岐阜県分について、パノラマ画面と35mmレンズの画面を比較してみました。このページは岐阜県分です。
画像は山梨県編と同じ方法で作成しました。岐阜県分の評価書には35mm画角の写真は使われていません。パノラマ画像の縦のサイズは山梨とほとんど同じかやや小さい程度なので、35mm画角については山梨と同じ 615×411ピクセルで表示しています。
改めて書きますが、各場所とも最初の写真が評価書の岐阜県分に掲載されているパノラマ形式のフォトモンタージュです。次の写真が環境省が推薦する環境アセスメントのマニュアル(※)において適当とされる方法で撮影した画像と同等のものです。下側の写真について画像だけを15インチディスプレーの画面いっぱいに拡大して、30cmほど離れてみてください。マニュアルはそうすれば実際に現地で見たときと同じ印象が得られるはずと想定しているわけです。
※ 『自然環境アセスメント技術マニュアル』(財団法人自然環境研究センター)。ハンドブックと書いていましたが訂正しました。(2014/05/17)
岐阜県と山梨県にお住まいの方は、他地域、東京、神奈川、静岡、愛知、長野ではどんなフォトモンタージュが使われたのかご覧になった方がよいと思います。パノラマを使用しているのは岐阜と山梨だけです。パノラマでは構造物の規模が過小に表現されるので実際の印象とはまったく違ってしまいます。
(補足 2014/05/17) 説明を省略した予測点があります。
苗木城跡展望台
上のパノラマ画面は 267×854ピクセルですから、縦横比はおよそ 1:3.2 です。35mm画角は 411×615、1:1.5 ですから、3.2 ÷ 1.5 で パノラマ画面の左右の幅は35mm画角の2.13倍あるわけです。35mmの左右方向の角度は54度ですから、このパノラマ写真には約115度の角度の範囲が写っていると推定できます。一度にこれだけの広がりを見ることができると思いますか? 部屋の隅にたって左側の壁からどれくらいの範囲が見えているか確かめてご覧になるとよいです。はっきり見えるといえる範囲はせいぜい半分より少し多い程度だと思います。それが35mmレンズの画角だと思ってください。
854 x 267
615 x 411
玉蔵(ぎょくぞう)橋
626 x 277
615 x 411
城山大橋
851 x 266
615 x 411
根の上高原御岳展望台
753 x 278
615 x 411
恵那峡ロード
パノラマ画面では、手前の畑の耕した痕はおそらく直線のはずですが、右のほうで奇妙に曲がっています。人間の目でこんな風に見えるとは思えません。35mm画角で切り出した2枚の写真では、もともとはパノラマ写真から切り出したのに、曲がりは目立ちません。グーグルのストリートビューで確かめるとまっすぐのようです。撮影位置はこのあたりでしょう。
861 x 265
615 x 411
615 x 411
冨士浅間神社
評価書の予測結果では「高架橋によるスカイライン及び景観資源である笠置山の眺望の阻害の程度は小さく、中景の田園風景の中に視認されることから、現在の景観と調和のとれた新たな景観となっているものと予想する」と説明しています。35mm画角で見た場合に本当に笠置山の眺望の阻害の程度は小さいといえるでしょうか?
757 x 272
616 x 411
県道401号(恵那峡公園線)
パノラマ画面の左右の角度は約124度ほどと推定できます。パノラマ画面の左半分の道路はこの場所からの眺望にとってどういう意味があるのでしょうか。構造物を小さく見せるために入れたとしか思えない構図です。
838 x 244
615 x 411
恵那峡ロード(河鹿橋)
726 x 275
615 x 411
神明神社
856 x 247
615 x 411
恵那峡下り乗船場跡
809 x 268
615 x 411
大井町旭ヶ丘地区
669 x 279
615 x 411
武並町藤田尻地区
793 x 276
615 x 411
八坂入彦命墓(やさかいりひこのみことのはか)
736 x 275
615 x 411
星見台二丁目の公園
(追加 2014/05/17) 私はこの写真を見て、また場所の名前から、人里はなれたすごい山の中なのだろうと思いました。グーグルマップのストリートビューで周辺を眺めてみました(google マップ)。このパノラマ写真の印象とはかなり違った感じの地域だと思いました。
683 x 275
615 x 411
参考
(2014/05/16)