相模川橋梁、影のでき方の矛盾・橋脚スパンの相違

晩秋の風景に初夏の風景を合成するへの補足 2014/05/25

 資料編(PDF)の最後にあるフォトモンタージュの撮影位置と撮影方向は下の地図の黒い矢印。影の方向や長さから(写真1のオレンジの丸と矢印)冬の正午前後と思われます。


地図=評価書・神奈川編、資料編より(ページ 環22-2-4 図 22-2-3-3)。赤い丸と矢印は引用者が書き加えたもので、資料編の相模川橋梁(図22-1-2-5)の推定撮影位置。黒い矢印と赤い矢印は橋梁を挟んでほぼ対称の位置になります。

 次の写真1の青枠内は、同じ資料編(PDF)の相模川橋梁のフォトモンタージュ(写真2)の左右を反転して(=写真3)、橋梁の中央部を切り抜いて(写真2の赤枠)、遠近感を調整し横方向の幅を合わせ、縦方向を少し引き伸ばしたものです。橋梁の中央部については、影のでき方/日のあたり方を含めよく似ていると思います。これらの操作は、Windows7 標準装備のペイントとフリーソフト「Gimp」(アドビフォトショップとほぼ同様の機能)で行いました。特殊なソフトウエアは使っていません。


写真1 (画面クリックで拡大できます)


写真2=資料編の相模川橋梁のフォトモンタージュ写真(ページ 環 22-1-5 図 22-1-2-5)

 写真2は小倉橋のすぐ下流の右岸の川岸から撮影されたものと思われます(地図の赤丸の付近) (Googleマップ)。グーグル、ストリートビューで小倉橋の西の端のほうから下流左岸を見た画像に数軒の同じ住宅(オレンジ色の丸)が写っています。右端に見える立て札はこの写真の黄緑の丸の立て札だと思います。撮影時期は影の方向と長さから春から初秋の午後だろうと思います。

ストリートビューからの写真のうち最初の1枚と残りの2枚では車の有無、位置とかボートの有無など少し違っています。閲覧コピーした日が違うからなのか、ちょっと不思議です。画面の日付はどれも2010年8月になっています。


写真3=写真2の左右をひっくり返した写真

 私が推測したような操作が行われたかどうかは別にしても、すくなくとも、この評価書段階で新たに付け加えられたパノラマ形式のフォトモンタージュの影のつけ方はおかしいといわざるをえません。写真2の橋梁の影のでき方が正しいとします。これは写真1のもともとの橋梁の影のでき方と同じです。写真2の背景の影の方向は写真1で黒い矢印で書き込んだ方向です。写真1の背景の影の方向はオレンジ色の矢印です。明かに食い違っています。そして写真1は太陽の高度が低くほぼ南からさしていますから、写真1の黄色の矢印の部分の明るさはもっと明るくなるのではないかと思います。また橋脚の右側面にもっと光があたっているはずです。

(2014/05/26 補足) ちょっと気になることがあって、それが何故だかやっと気づいたので追加します。写真1の赤い矢印の長さを比べてみてください。写真1の青枠の中の橋梁の写真は写真2から切り抜いたものです。写真1と写真2の撮影位置はリニアの相模川橋梁をはさんで大体対象の位置です(地図参照)。ということは、青枠の中の写真の橋梁の右端と中央の橋脚は同じ部分を川の上流と下流から見ていることになりますね。私は橋梁の大きさや遠近感などの見え方がなるべく同じになるように操作しています。左端の橋脚と中央の橋脚の間隔は青枠内と外では同じです。ところが右端の橋脚と中央の橋脚の間隔は違っている。おかしいと思いませんか。

 そして、この長さの違っている部分の桁の下側の曲線が青枠内では右の橋脚のところまで連続しているのに、枠外では途中から水平な直線に変っています。工学的、力学的にみてこれはおかしいのではないでしょうか。相模川橋梁の他のフォトモンタージュでみても曲線は橋脚部分まで連続しています。

 もし私が推測したような方法でフォトモンタージュを作ったとしたら、右の橋脚の位置は青枠内が正解のはずです。わざわざ面倒なつぎはぎをしてこのスパンを延長した意味があると思いますか。JR東海さん「大丈夫」ですか? こんな簡単なことでポカをするJR東海さんに、南アルプスをトンネルで抜けるという大胆不敵な計画は絶対に無理だと思いますヨ。(ここまで補足)

(補足 2014/06/06) 写真1 の青枠内の橋脚のA、B については枠外のそれと影のできかたや日の当たり方は同じです。ところが、右端の橋脚Cについて比べるとそれらは異なっています。青枠内で橋脚Cに日のあたっている部分に日が差さなくなるような原因が青枠の外側にあると思いますか?(ここまで補足)

 このように、準備書段階で作成されたフォトモンタージュと準備書の公表以後に作成されたと思われるフォトモンタージュとでは、制作する技術の水準に大きな差があると思います。水準が上がったなら良いのですが、かなり低下しているといえます。なぜでしょうか? 新たに初夏の風景を9月から4月中ごろまでの間に撮影できる可能性は低いでしょう。しかし、準備書段階のフォトモンタージュを作成した技術があれば、風景に重ね合わせる構造物の画像をコンピュータグラフィックで作成することはできたはずです。超一流企業のJR東海としては随分と杜撰なことをしたものだと思います。準備書について批判がでたら、それを修整するには、調査時期、人手の手配などさまざまの点から考えて、やはり準備書を作成するに要したのと同じ期間が必要なのだと思います。


2014/06/19 誤記訂正と、一部の言い回し変更、地図の修整、画像へのリンクを追加。


(2014/06/19,06/20) まとめて書けばよいのですが、思わぬときに思いつくので仕方ないですね。次の図は一番上にある地図と同じものです。図中のAは写真2の撮影位置、Bは写真1(元の画像)の撮影位置です。


 2枚の写真の撮影位置が橋梁に対してほぼ対称の位置になるのですが、それぞれの撮影位置から橋梁の東の端、西の端までの距離の差(正確には比率)は黒い矢印の根元の位置のほうが大きいはずです。ということは黒い矢印位置から見た場合は橋梁の「すぼまり具合」が赤丸の位置から見た場合より大きいはずです。黒では左から右へ、赤では右から左へすぼまるはずです。そこで、写真1と写真3を比べて見ると、実は逆、黒のほう、新たなフォトモンタージュのほうが「すぼまり具合」は少ないのです。これもありえないことだと思います。パノラマ画像であることを考慮してもこれはおかしいと思います。そして、当然、写真1で右端(左岸側)の橋脚と中央右の橋脚間の距離を比較すれば写真2や3より短くなるはずですが長くなっている。遠近感がおかしいです。

 数量的に説明すると、A1 は26(ミリ)、A2 は42、B1 は13、B2 は35 となります(11.6インチ画面の場合)。A2÷A1=1.614 です。約1.6倍遠いのですから橋梁の同じ高さはこの逆数をとって0.62倍となるはずです。B2÷B1=2.692 です。約2.7倍遠いのですから橋梁の同じ高さは0.37倍となるはずです。橋梁の見えている西側の端を基準に考えれば新たな視点Bから撮影されたパノラマのほうが、東の端については3割ほど細く見えるはずです。また東に行くほど上辺は下がるはずですが、この下がり方もB地点から見たほうがA地点よりは大きいはずです。しかし、JR東海の示している写真では逆になっている。


橋梁のすぼまり具合と傾きの比較

下の画像は相模川橋梁を上流から見た写真の左右を入れ替えたもの。上下の画像ともに橋梁の右(左岸側)のほうが遠方になります。遠くになるほど画面の中では下の画像のように橋梁は低く見えるはずです。

上の画像では橋梁の高さがほとんど同じです(=ほとんど傾いていない)。上の画面だけについて考えると、高さが同じということは、橋梁の左右の端と撮影位置までの距離が同じでなくてはなりません。しかし、地図で見るとおりこれらの距離は同じではありません。(補足)

橋梁の左右の端と撮影位置までの距離の比(差)は下の画像のほうが少ないのですから、上の画像の橋梁の右のほうはより細く、またより低くなっているはずですがそうではありません。本当なら、橋梁の左のほうが画面の上辺いっぱいぐらいになるのではないかと思います(オレンジ色の線)。

(2014/06/23 補足)

なお、写真1では全長約365mの橋梁の310m程度、写真2では270mほどが見えているはずです。つまり写真1では約40m長さが左の方で足りないことになります。実際には木で隠れている部分がありますから写真2で画像としてそのまま使えるのは約210m程度です。その差約100m分はパッチワークというわけです。

 ここまで、一方的に新たに追加されたフォトモンタージュのほうがおかしいといっているのですが、新しいほうが正しい可能性もないとはいえません。しかし、だとすれば、既存の相模川橋梁の写真がおかしいということになりますね。同じものが違って見えるのですから。

 それから、諏訪森中州からのパノラマへは橋梁部分が長方形の領域で切り抜かれたものが使われ、このB地点からのモンタージュには橋梁の形に沿って切り抜かれたものが使われた、この違いの理由は、諏訪森中州のほうは撮影位置が同じですから季節の違いを無視すれば背景は同じですが、A地点とB地点では背景がぜんぜん違うからだろうということにようやく気が付きました。


補足 2014年7月14日

 言い方を変えると、橋梁の位置は地図に青い矢印で書き込んだ位置にあるはず。A1÷B1=2 です。青い矢印はBから A2×0.5の位置(横棒)を目当てに引いています。それは上流側から見た場合と同じすぼまり具合を想定してもという意味です。Bから見たこの写真では右(東)をみてもほとんど細くなっていないので、橋梁の東の端は青い矢印より更に南にいってしまうはずです。逆に西側の位置についても同じことがいえるはずですから、話の要点は相模川と交差する角度が間違っていることです。


(2番目の地図と同じ地図です)

 とすれば路線全体の位置が定まらないことになります。このフォトモンタージュはデタラメです。そして、このフォトモンタージュを提示したJR東海もデタラメです。