下市田学校

 高森町の有形文化財である下市田学校(※)で「第6回桜を愛で、抹茶に親しむ会」がありました。校舎前で抹茶をいただき、校舎内で行われた『広辞苑』の昆虫の挿絵などを描かれたイラストレーター北原志乃さんのイラスト展を見てきました。

 下市田学校の外観です。


(4月2日撮影)


(4月2日撮影) ヨシズはお茶会の準備


(4月2日撮影)

 上の写真の中央の窓から校舎の反対側(東)の窓が見えています。

 こんな階段を登って2階へ。これは踊り場です。

 廊下突き当りの窓から見た景色。


画面クリックで中心部を拡大

 遠景中央にリニアが壬生沢川を越す橋梁の予定地(黄色の円内)が見えます。赤い円内に、リニアの残土の埋め立てが計画されている2つの沢があります。


 昨年は雨だったようです。昨年の様子を伝える『南信州』

 記事に「下市田学校は、尋常小学校として1888(明治21)年に完成した擬洋風建築。戦後は下伊那農業高校の高森分校として1980(昭和55)年まで使用された。」と書いてあるように、長野県はこの校舎を県立高校として1980年まで使用していました。明治時代の尋常小学校の校舎を昭和も戦後の新制高校の校舎として使用してきたわけです。長野県は比較的面積の広い県なのに県庁は長野市。県の一番北の方にあります。飯田からだと、長野市は、自動車では、165㎞、2時間20分、有料道路料金3840円。名古屋市は、118.3㎞、1時間36分、同じく4290円、岐阜市は、132.1㎞、2時間2分、同3430円、甲府市は、147.9㎞、2時間2分、同3580円と近県の3県の県庁所在地より遠いのです。だから南信の扱いが悪いという気持ちがないわけではありません。県中央部に近い松本市は、103.5㎞、1時間27分、2690㎞。かなり昔から県庁を松本に動かすべきという意見はあったし、現在でもあるはずです。

 距離の話のついでに。リニアでは東京まで45分、名古屋まで20分と言われます。東京で会議があって、まあそれに出席する人たちは限られた人びとなのですが、東京まで4時間以上かかる飯田が全国の出席者の中で一番時間がかかるという話を聞きます。那覇空港と羽田空港の間の飛行機の時間は2時間35分から50分程度だそうですから確かに一番遠いかもしれません。それが45分になるから素晴らしいというのです。飛行機を利用する人たちは、より安全性の低い交通手段を使っている事実も考えないといけないのですが、こういう論議の場合はそういうことは忘れがちです。

 「リニアでは東京まで45分、名古屋まで20分」なんですが、現在は新宿まで高速バスで約4時間20分、名古屋駅まで約2時間10分です。名古屋までだったら2時間ちょっとなんです。自家用車なら1時間40分弱(※)。大きな都市については東京より名古屋の方がずっと近いという事実を考えると東京まで45分というキャッチフレーズは飯田下伊那の大多数の人たちにはあまり意味がないはずです。元も子もない話ですが、大体大都市に行かなければならないことなんてそんなにあるわけじゃないということはね、遅くとも40歳を過ぎればたいていの人は実感できるはず。飯田下伊那の首長さんたちも皆どっちかといえばジイサンたちなのにね。そして、リニアは貨物は運べないので、流通という点では何の意味もありません。

※ 愛知県も長野県も車のいる県。飯田周辺でもリニア駅まで1時間弱かかる地域はたくさんあるので、1時間40分が20分に短縮されて大いに意味がある人びとはそんなにいないはずです。

 同じような明治の学校は、隣の座光寺に舞台校舎がありますが、山梨の富士川町には舂米(舂米)学校というのが残っています。舂米学校には鼓楼があってそこからは地域が展望できます。JR東海は環境影響評価の景観変化について舂米学校付近で調査をしています。


JR東海 環境影響評価書より

 このフォトモンタージュを見て舂米学校の鼓楼から見たらどうなんだろうと思う方もいると思います。2015年に見学したとき、解説の方が鼓楼からリニアが見えると説明していました。JR東海は、眺望の利くこの鼓楼からの景観変化の予測はしていません。


2015年3月撮影。へぼいカメラで撮影したので画面左がひどく曲がっています。

 鼓楼からリニアの高架線ができる方向を撮影。


2015年3月撮影 ここから(googleマップ)櫛形山方向を撮影。富士川町民俗資料館(=舂米学校)南の413号線(写真の道路の南にある道路)を西に500m付近を北北東から南南東方向にリニア路線が横切ります。この写真でも左右方向にしっかり見えるはずです。富士川町では移転となる住宅が相当数あるはずです。

 リニアはもともとガイドウエィに車体の半分は隠れているのですが、この部分はたぶん防音防災フードが設置されるので「土管」だけが見えてリニアが疾走する姿は見えないはず。

 なんとなく脈絡のない話でした。4月最初のページなのでご勘弁を。

※ 「時の駅」のページのこの背景写真。これは明らかに合成写真。この方角に伊那山地の鬼面山は見えないはず。見慣れない風景なので、一瞬最近できた「五稜の森」かと思いました。解説

(2016/04/03、2016/04/04 補足)