本山残土候補地は前途多難
残土受け入れ決定は無効 長野県が指導
5月3日の『読売新聞』中南信版によると、リニアのトンネル残土の受け入れについて地権者の本山生産森林組合が受け入れを認めた総代会は森林組合法の求める条件を満たしていないとして、県が組合に全組合員を対象にした総会を開くよう指導したとのことです。
「入会林野近代化法」(※)により1973年(昭和48年)に組合員数384名で本山生産森林組合が設立。森林組合法では組合員数200人以上の場合は定款を定め4分の一以上の組合員による総代会を総会の代わりに設置できることになっているけれど、組合は総会を開かず理事会と総代会だけで意思決定をしてきており、その総代会は人数の点で条件を満たしていなかったようです。
※ 「入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律」(昭和四十一年七月九日法律第百二十六号)、最終改正:平成二七年九月四日法律第六三号
さらに、1973年以降、組合員名簿の更新がなく現時点で正確な組合員数もわからないという状態で、県は運営上の問題も指摘しています。
組合側は昨年12月の理事会の受け入れ方針の決定が有効と考えているようで、今月中旬に総会を開く予定と記事は書いています。
豊丘村では10日夜、リニア対策委員会が開かれ、その席上で本山生産森林組合の長谷川義久組合長が、リニアを実現することは良いこと思ってやってきた、協力してリニアを実現しましょうという意味のことを絶叫口調で語ったそうです。幽霊組合の現状を知っていて、リニア計画に利することができると思ってやったことなのではとの推測もできますが、JR東海や県のリニア振興部や豊丘村がなんらか関与していたのかという点も気になります。これはかなり大きな問題に発展するかも知れません。
本山の残土置場の可能性は極めて怪しくなったといえますが、残土を谷に置くという危険性、不自然な姿に基本的な問題があることは忘れるべきでないと思います。
なお、本山の候補地については、拙速な希少植物の移植作業について、JR東海に対しても県は指導を行っています。
参考:飯田リニアを考える会・JR東海が承諾なく残土置場候補地で希少種の移植作業、4月21日
(2017/05/11)