更新:2018/02/24

PDFは軽いという意見がありますが

 最近2回ほど「PDFの方が軽い」という意見を聞きました。それって、ちょっと変じゃないかと思いました。

 一つは、ワープロファイル(.doc、.docx)より軽い、もう一つは、こういう言い方なんですが、HTMLは文書の公開方法としては不適切で、PDFが適している、それに軽い。

 私の認識としては、ワープロファイルもPDFも重い、Webページには適していない。HTMLを基本にした方が良いんじゃないですか。

 実験をしてみましょう。HTML形式で書いてあるこのページのファイルサイズは 6.07 KB (6,219 バイト)で、別にcssファイル 1.32 KB (1,352 バイト)が必要です。つまりパソコンというかブラウザはその二つを回線を経由して読み込みます。

1.文字情報だけを取り出して「メモ帳」で読み書きするテキストファイルにすると、5.90 KB (6,046 バイト)です。

2.ワープロファイル ODF形式(.odt)に変換すると、本文フォントサイズ12、A4で2ページとして、22.9 KB (23,455 バイト)です。

3. 2を、MSワードで開ける .doc に変換すると 14.5 KB (14,848 バイト)

4. 2を、MSワードで開ける(XML) .docx に変換すると、7.70 KB (7,892 バイト)。

5. 2をPDFに変換すると、90.4 KB (92,658 バイト)。サイズは、HTMLの約12倍。ワープロの4倍以上のサイズです。

6.あまりなじみがないですが、2をリッチテキスト(.rtf)に変換すると、39.9 KB 。これは、「ワードパッド」でも読めます。

ファイル形式サイズ備考
テキスト(.txt)5.90 KB
HTML(.html)6.07 KBcssファイル 1.32 KB
ワープロ(.odt)22.9 KB
ワード(.doc)14.5 KB
ワード XML(.docx)7.70 KB
PDF(.pdf)90.4 KB
リッチテキスト(.rtf)39.9 KB

 少なくともPDFはどう見ても軽いなんて言えません。だいたいパソコンが読み込む速度からもわかりますね。

 ワープロファイルは受け手のソフトの種類や同じソフトでも発表時期が違うとちゃんと表示できない可能性があります。それに比べるとPDFであれば、受け手のソフトが基本的には全部同じというのは、アドビ社がすべてのユーザーに無償で提供していてほとんどのパソコンには最初からインストールされているから、表示が乱れるようなことはありません。その点が利点なのです。

 テキストファイルというのは、メールの本文にコピーしてそのまま送れます。というかメールの通信文面は基本的にはテキストファイルです。これは非常に軽いです。ブラウザでも読めます。テキストファイルはワープロとか他の形式にも使いまわしが容易です。パソコンで作文するときの基本です。

 ウェブサイトのページはHTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ)で書くのが基本だと思います。ブラウザ本体だけで表示できるのですから。インデックスファイルだけHTMLで各内容のページはPDFなんてサイトもありますが、地方自治体の役所に多いですね。これは、ずぼらすぎます。

 同じ文書で比較したのですが、紙に印刷してしまえば、リンクは役に立ちません。PDFファイルやワープロファイルでも、パソコンで表示している場合にはリンクが使えるものもありますが、今回の実験のファイルでは使えません。このように、HTMLならではの機能を活かした文体の文章も作れるという利点を、印刷のために制限してしまう、最初から印刷目的で文章を編集しようなんて時代錯誤じゃありませんか? せっかくネットを使うのに。