更新:2018/04/13
大分県で山崩れ
4月11日 大分県中津市耶馬渓(やばけい)町で山崩れがあって4棟の住宅が被害を受け1人死亡5人行方不明。
- 『西日本新聞』2018年04月11日12時17分 (更新 04月11日 13時53分)「大分・耶馬渓で山崩れ5人不明 1人発見、民家4軒被害 自衛隊が災害派遣」
- 『西日本新聞』2018年04月12日12時14分 (更新 04月12日 15時49分)「巨岩5人の捜索阻む 耶馬渓・山崩れ 540人態勢」
- 『毎日』2018年4月11日 07時58分(最終更新 4月11日 13時21分)「大分 中津・耶馬渓で山崩落、3世帯6人の安否不明」
『信毎』12日によれば、今回山崩れのあったのと同じ「土砂災害特別警戒区域」は長野県内には2万1322か所あり指定は済んで地形の変化など確認している。全国では36万か所あるらしいとのこと。国土交通省はリニア新幹線の工事の認可をしたのですが、リニア建設自体が各所で土砂災害を誘発する可能性があります。
例えば、先日、発破の騒音・振動試験があった大鹿村の釜沢地区は「土砂災害特別警戒区域」に指定されています。リニアの本トンネルは釜沢集落のある山の内部をくりぬくので、工事の振動の影響が大変に心配です。
『信毎』12日の記事の事故現場の巨石の写真。長野県内では、大鹿村の小渋川、飯田市内の松川、豊丘村と喬木村の境の壬生沢川をリニアは橋でわたります。このうち小渋川の橋は険しい谷間に架ける橋です。橋の真上の急斜面には同じような巨石がいくつもしがみついています。それが落ちてリニアを直撃したらどうなりますか?
リニアのトンネル掘削残土(実際は岩くず、トンネルズリ)の最終処分場は谷です。JR東海も長野県のリニア推進部も県知事も、飯田市長や地元の町村長もそう考えています。安上がりで手取り早いからです。しかし、谷は削られてできた場所です。そこにトンネルズリを埋め立てるのは「自然の摂理」に反することです。必ず崩れます。最善の工事をしてもせいぜい100年と言われます。いい加減な工事なら早速崩れます。下條村の道の駅はもう崩れ始めています。
JR東海も谷に残土を処分することの危険性は知っているはずです。豊丘村小園では、災害の危険性を心配して反対する下流域住民を説得できないと悟って、残土の埋めたてを断念しています。松川町の生田では、オマケの道路改良が目当ての残土誘致に対して、下流域の「住民の自治組織」、のリニア工事対策委員会が中止の要望を町に出しています。市民運動じゃなくて、昔から存在する住民の自治組織です。
長野県内で残土の最終処分場で確定した場所はありません。残土の処理の問題でも、リニア計画はもう行き詰っています。
リニアのためには残土をわが自治体で引き受けにゃならんと考えている豊丘村長、松川町長、高森町長、飯田市長、下條村長などなど、リニア関係市町村の首長、議員、職員は、「リニアを見据え」てと騒ぎたてているのですが、リニアに幻想を抱いてボンヤリしている場合ですか?
リニア計画は、土砂災害を各地で起こす危険性が非常に高いので、建設を中止する以外に、対策はありません。できるだけ早いうちに。梅雨まで、あと2か月です。
リニアを推進する立場の行政が「リニアを見据えた地域づくり」の参考にと招く中央の識者のほとんどは、交通が便利になることと地域活性化は関係ない、リニアが来なくても魅力ある地域にしておかないとリニアが来たら大変なことになると言っています。リニアで生じる土砂災害というデメリット(ほかに、立ち退きによる集落の破壊という大問題がある)を考えれば、長野県知事も市町村長もリニアは中止というべきです。
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補足参考
各報道の中には、雨も降らないのに、とか乾いた斜面がなぜ崩壊・・・といった見出しがありました。土砂災害の基本的な原因は重力です。重力を無くさない限り完全な対策はありません。が、そんなことは無理です。降水や地震は引き金になります。岩波ジュニア新書という名前からわかる通り、中高校生向けの本なのですが『重力の達人 橋,トンネル,くらしと土木技術』という本があります。現在手元にないので、詳しいことは書けませんが、土木とか建築という技術は重力とどう対抗するかの技術だといった内容だったと思います。そして、おのずと限界があるものだと。出版社の本の説明は:
地球上のあらゆるものを左右する重力,そしてそのもとで起きるいろいろな自然現象.私たち人類は重力とつきあい,あるいは対抗しながら生きていくための知恵と技術を,長年積み重ねてきました.「身近な力学」の解説とともに,ピラミッドから明石海峡大橋まで,これらの技術を写真・イラストいっぱいに紹介した楽しい1冊.
つまり「つきあいの仕方」を人類は学ばないといけないということ。どんな条件でも克服できると思うのは、思い上がり。