更新:2019/06/10

≪速報≫ 本山への残土処分同意へ

 9日夜の本山地縁団体の臨時総会に参加した会員の方から、以下教えていただきました。

昨晩(9日)本山認可地縁団体の臨時総会が開催され、
・本山発生土置き場候補地の同意並びに保安林解除の同意
・本山地縁団体保持資産(発生土置き場候補地)の処分について
が賛成多数で議決されました。
別添参照ください。取り急ぎ連絡です。

 別添はこのページですでに紹介した臨時総会の開催の案内です。案内には議題がありますが、「本山地縁団体保持資産(発生土置き場候補地)の処分」がJR東海による買い取りを意味するなら、これまで公には明らかにされてきたことでないし、事前に通知された議題には入っていません。これまではJR東海は残土を運び込む期間のみ借りてのちは返すという使用条件でした。以下は、事前に通知された議題。

 少数ながら反対があったわけで、出席者数、委任状の数など「規約」の条件を満たしていても、民主的、合理的な判断がなされたとは言い難いと思います。

 本日は新聞休刊日なので新聞報道も明日以降になると思います。

更新:2019/06/08、補足 2019/06/10

南信州にはJR東海、押し出しでJR東海の勝
本山残土置き場についての説明会、6月5日

残土の受入れに一旦はまったをかけた長野県

 豊丘村の豊丘村の本山生産森林組合は、リニアの残土130万立米を所有する山林内のジンガ洞に受け入れるという決定をしましたが、不適切な組合運営を長野県から指摘され、残土受け入れは白紙に戻されました。組合組織の立て直しをしてきましたが、このほど地縁組織「本山地縁団体」(ウィキペディア:認可地縁団体[PDF]自治会・町内会等について - 総務省)として改組されました。

 しかし、受け入れの決定が無効との指摘を受けた当時の組合長(実は組合員資格が失効していた)が会長職についています。一般的にはあり得ない話だと思います。また、正常化の過程で行われた訴訟では刑法上で犯罪と認められる事実も明らかになっており、告発は受けていないものの責任該当者がもし新たな会において役員などになったとすれば、正常化においての長野県の指導の在り方が厳しく問われてしかるべきと思われます。

 その「本山地縁団体」が残土の受入れを見据えて、5日にJR東海による説明会を開催。続いて9日には、臨時総会を開く予定で、議題にJR東海の残土置き場として土地利用についての同意を上げています。会員にじっくり検討する時間も与えず同意の判断を審議させるという日程は、まっとうなやり方とはいえません。

 また、2014年の事業説明会でのJR東海の説明、豊丘村村長の環境影響評価書への意見書でも、残土置き場の下流域住民の理解や同意は当然のこととしているのに、これまで下流域住民に情報が周知されたり、要望を聞き取るという努力はまったくされてこなかったといえます。

 JR東海に土地を売却するという話も出ているようなのですが、将来的に下流域も含め住民に対し危険が生じる残土の谷埋めです。JR東海が責任を持とうが持つまいが災害が起きては困ります。豊丘村と一部の村民がリニア推進だけを目標に住民の安全を忘れて強引なふるまいをしているといわざるを得ません。新たな組織でも旧組織のトップが、ふたたびトップになるという異常を長野県が見過ごしたのは非常に奇妙に思えます。

 ダンプを里に降ろさせないというコトバに代表されるように村民生活に影響なく工事が進むと思っていたのに、実は相当迷惑を受けることが最近分かり始め、村内各地で、関係ないはずだった河野地区でさえ、不安の声がではじめています。伊那山地トンネルの掘削は坂島、戸中、壬生沢川の三か所から行う予定が、坂島、戸中の2か所からしか掘削できない見通しもあり、工事がより長期化する心配もあります。

説明会は非公開、報道もシャットアウト


5日19時より「ゆめあるて」で開かれた説明会は非公開。JR東海は関取のような職員を配置して威嚇していました。地元紙の記者(左)が入場を拒否されたところ。

 説明会は、新たに設計し直した盛土の構造を説明するだけのものです。報道機関の取材を許さない理由はないように思えますが、記者の会場への立ち入りは禁止でした。JR東海も「本山地縁団体」幹部もよほど後ろめたいところがあるのだと思います。説明会の回覧文書の宛先が「虻川以南の皆様(本山地縁団体会員)各位」で対象者として「伴野区・福島区・壬生沢区の住民(本山地縁団体会員)の皆様」となっています。なにかちょっと不思議な書き方に思えます。

 取材していたある記者に取材が少ないというと、議会の方がいろいろあったから、その記事を書くのに忙しいのではないかとのこと。下平村長の議会での挑戦的な発言がこっちの問題の重要性を薄める効果があったかどうかは不明。

380人と517人 のちがい

 『南信州』7日『信毎』7日 の説明会の記事を注意深く読むと、両記事には「本山地縁団体」と「だれが会員なのか」という点で、微妙な違いがあります。おそらく『信毎』の「地権者団体」というとらえ方は間違いです。なぜなら、森林生産組合以前の本山更生会は入会(いりあい ※)の山を管理する組織で、山林のどこが誰の土地という意味での地権者はなかったはずです。地権者は組織です。本山生産森林組合時代の組合員数は最大で380人ほどだったはずです。『南信州』によれば「本山地縁団体」の会員数は「伴野、福島、壬生沢の世帯代表者517人」としています。生産森林組合時代と人数が大きく違っているのは会員資格が違うからでしょう。しかし、周囲のとらえ方、たとえば、発言権があるのは更生会当時から関係のあった人だけと見ている人も少なからずいると思います。『信毎』の「地権者団体」というとらえ方も同じようなものです。会員の方に確認しました。『南信州』の記事のとおりで、3つの区の区民である世帯代表者が会員です。

※(2019/06/10 補足) リンク先の「百科事典マイペディアの解説」、また、「入会権」の「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」、「共有」の「日本大百科全書(ニッポニカ)の解説」も参考に。数がそろいましたから、残土受け入れはOK、あるいは売却はOKと簡単に結論が出るように、県と村が指導したように見えます。なにか、本来はこんな短期間で解決できるような問題ではないと思われます。

不当を合法化?

 生産森林組合から地縁団体に移行する過程で、組合員、会員のなかに民主的な話し合いをもとめ努力をされた方があったと聞きます。しかし、そうとう強引といえる方法で押さえ込まれたそうです。対岸から眺めると、実は、リニア推進に熱心な生産森林組合時代の、実は組合員資格がなかった役員幹部の発言力を温存するために地縁団体にしたようにも見えます。森林にかかわる組織の運営の正常化といえるのかどうか。リニア推進のために組織の変更をしたように見えます。しかし、以前は無資格だった人も会員になることで、より広範囲の地域住民が発言する場もできたともいえます。北入、上村(かんむら)、など虻川沿いの集落のこれまで森林組合と関係なかった住民も残土の盛り土の安全性について意見を言えるわけです。そんななかで、非公開の説明会というのは、どう考えてもおかしいです。

 JR東海は、盛り土の設計をし直して若干は危険性を減らそうとしているようです。しかし、どのような安全対策をしようと、自然のものとは違います。盛土本体だけでなく、虻川の全体として下流への新たな砂防堰堤の設置などの安全対策を行う必要があります。その金は誰が出しますか? JR東海が全部負担するでしょうか?