更新:2020/01/27
里にダンプを降ろさせない?
豊丘村の第20回リニア対策委員会についての補足です。
一番最後の事務連絡の中で、村側から、河野地区で環境調査を行うという説明がありました。新聞記事によると、調査する場所は、河野地区の豊丘村北小学校の近くの「りんごっこ公園」。
赤い球形(りんご)がのった遊具のあるところが「りんごっこ公園」、信号の交差点の後ろが北小学校。
なぜ、この場所で環境調査(大気質)をするのか、村は工事前と工事が始まってからの変化を知るためと簡単に説明しました。委員からはこれについて何の質問も出ませんでした。
現在、飯田市が路線や駅周辺整備で移転しなくてはならない市民のために、飯田市上郷の飯沼(丹保、北条地区)で代替地を造成中です。造成に使うため大鹿村からリニアのトンネル残土を運ぶ予定です。また、喬木村堰下のリニアガイドウェイの組み立て保管ヤードの造成にも大鹿の残土を使うし、準備工事ではぎ取った水田の耕土を大鹿村の儀内路というところに運びます。その運搬ルートは普通に考えるなら(※)「りんごっこ公園」の北側の道路を通るはずです(下の地図)。
※ 道幅が広くて、最短のルートを走るとすれば
赤線はリニア工事車両の予想通行ルート
同じ豊丘村でも河野地区の村民は、リニアの工事はほとんど関係ないと思っている人も多いかもしれません。しかし、地図の赤線部分を多数のダンプカーが走るはずです。「りんごっこ公園」は子どもの遊び場です、近くには小学校、児童クラブ、保育園もあります。郵便局もあって河野地区の中心部です。大気質だけでなく、これらの施設がある直近を工事車両が多数通行することそのものが問題になると思います。大鹿村では大河原地区の中心部の通行を避けるためわざわざ迂回路を設置しています。リニア対策委員には、PTAの代表や河野区長などもいるのに、何の質問も出ませんでした。充職とはいえ委員は出席ごとになにがしかの手当をもらっているはずですから、言うべきことは言わなくてはいけないと思います。
村長は、坂島斜坑や戸中斜坑から出る残土について、ダンプを里に降ろさせないように、本山や下沢に残土を置くという苦渋の決断をしたと言っています。リニアの工事が行われるのは村長の住んでいる神稲地区です。河野地区なら、小学校や保育園のそばをダンプが多数走っても良いということにはならないと思うのです。村のリニア工事対策の方針に一貫性がないと思います。
そもそも、長野県内ではトンネル残土置場が全く決まっていない状況で、環境アセスメントをしたし、工事も着工をしています。いまだに置き場のほとんどは決まっていない状況。残土置場の場所によっては、どこをダンプが走るかは全く分からないので、豊丘村長のように「ダンプを里に降ろさせない」などと簡単にいえるものかどうか。特に大鹿から出る残土が生田に置けない以上は河野地区をダンプが通行せざるを得ないはずです。最大では小渋線を通行する台数がそのまま来ることになる。大変な話です。
静岡のことは気にしていない?
静岡県内の南アルプストンネルは静岡県とJR東海の話し合いが進まない状況で、着工の見通しがありません。このことは、テレビやラジオはともかく、『信毎』や『南信州』も伝えています。本当にリニアの建設ができるのか、普通だったら疑問を持つはずですが、この点についても、委員から意見や質問は出ませんでした。
JR東海や長野県、村側からリニア工事の進ちょく状況の説明の中でも静岡県の問題については何も説明をしていません。「リニア対策」という視点では、非常に重要な問題だと思います。豊丘村内でやっている工事がすべて無駄になる可能性もあるのですから。