更新:2020/06/27、06/28 補足

松川町の第10回リニア中央新幹線建設工事対策委員会

 松川町のリニア中央新幹線建設工事対策委員会の第10回がありました。

 主な協議事項は:

 (1)、(2)は、飯田市と喬木村による説明で、24日の大鹿村のリニア連絡協議会での説明と同じ内容。

 (3)は町担当者が説明しましたが、配布資料に地図があるのに地図がないことを謝罪するという準備不足。町は必要な工事と言うのですが金がないからいったん諦めたのに、今回計画ができたという費用面についての経緯や説明を求める質問が委員から出ました。この質問をしたのは「飯田リニアを考える会」の代表です。地方自治体がやりたいことが自主的にできずに何かの機会に便乗して事業をやるという悪弊を突いた質問だと思いました。

 (4)については、生東区中山の「まるぼっき」の残土置場候補地(30万立米)について、なんの進展もないという、JR東海には残念な、報告でした。

 そのほかとして、松川町は新たな残土の活用先を募集すると説明しました。委員から片桐松川に架かる斜張橋付近で道路整備に活用できないかという発言がありました。

 JR東海から古谷部長など出席があり、古谷部長は、残土の候補地の状況についての委員からの質問に、現在残土を運ぶなどしているところが4、5カ所だが、全発生土量950万立米のうち8割は30の候補地があり協議中と答えていました。また、トンネル残土については、工事の性質から掘削を始める前にすべてを決める必要はないけれど、出来るだけ早く決めたいと思うとも。この質問者はこれで納得したようでした。私が質問できるなら、8割に、ぜんぜん話が進みそうにない「まるぼっき」も含まれるんですかと聞くところです。『信毎』(1月6日、1面)の独自調査によれば、決定した処分地は4か所で20.5万立米、「協議や手続きを続けている候補地は上伊那、下伊那地域で少なくとも17カ所。調整が調えば、計500万立法メートルを超える量の処分、活用を見込めるが、それでも4割余の処分地確保が必要になる」と書いてから半年たって、8割まで進展したとはおよそ考えられません(参考)。

 安協の代表委員から、県道22号線であった事故について、長野県の担当者が現場は見通しが悪くないと事実とことなるコメントをした件について、不信感を持っているという指摘があり、県の担当者が謝罪していました。県道22号線は「まるぼっき」の候補地そばの道路なのでなにか関係があるのかと思いましたが、工事車両の通行と子供の通学など交通安全に関して、県の説明については信頼がもてないという意味だったようです。

 非常に気になった点は、議会代表の議事進行を務める委員長がJA代表委員が発言を求めた際に、発言をしようとする委員に、これからあなたがする質問はJAの総意なのかと確認したことです。会議のおしまいのほうで、JA代表委員が、他の団体代表の発言については確認しないのに、なぜ確認したのかとただしました。安協代表が質問した時には委員長はこのような取り扱いはしておらず、何らかの個人的な確執が議事進行に現れたのかなと思いました。おそらく議事録には残さないやり取りなので書いておきます。非常におかしな議事運営と言えます。こういった差別的な取り扱いをしたことは、議会の議員の行動として、町議会でも問題にされて当然の行為だと思いました。この議事進行に事務局もだれも注意をしなかったのはおかしいです。

 飯田市と喬木村が途中退席したのも適切と言えるのかどうかと思いました。

 会合は19時からでした。静岡県知事とJR東海社長の会談のニュースは聞いた人もあるだろうに、リニア計画の先行きについての質問は出ませんでした。


(2020/06/28 6:39 補足)

◎ 『南信州』28日2面 "再度候補地を募集へ 松川町リニア対策委員会 生東候補地も検討継続" が、「まるぼっき」の経緯について清水副委員長(福与区長)がおこなった補足説明と宮下町長の説明について書いています。

「生東区が残土受け入れの見返りに県道22号の改良と地域の活性化事業を求めた区単独の要望であったのに、前町長が生田3区全体の要望と取り違えてしまったことが原因。福与区に対しては、安全性や利活用についてしっかりした説明がなかった」と語り、下澤洋貞生東区長も説明の内容に間違いないと認めた。
 宮下智博町長は、町が生田3区の合意と勘違いしたことについて再度謝罪した。「一番最初のボタンの掛け違いから始まってしまった。今後も町が主導して調整を進めていく」とした。

 県の候補地の募集は、役場の担当者が思い当たるもでも良い、場所さえわかれば良いというものでした。事前に、地域住民や地権者にさえ相談しなくても良い(*)。後のことはJR東海がやるからと。そもそも、地域の安全に影響を生じるような内容をふくむ要請をこんな形でしてくる長野県のやり方がおかしいのです。自治体としては無視すれば良かったはず。適当な場所がないと回答すれば済むこと。南木曽町や大鹿村からは最初の募集では候補地はでてこなかった。松川町の姿勢がリニア翼賛で、安易すぎたことに間違いがあったと思います。ボタンの掛け違いなんていっているようではだめですね。環境相意見で、残土置場がほとんど決まっていない点をマズイことだと言っていましたから、長野県の要請は持ってのほかだったと思います。もちろん、残土など近くの谷に捨ててしまえば良いというJR東海の考え方が背景にあると思います。

* 25交リ 号 外 平成25年(2013年)5月28日 PDFの2ページ目

(1)この照会は、あくまでも搬出先(方面)や土量のおおまかな傾向を把握することが目的であり、回答していただく内容は担当者による確定で構いません。
(2)あくまでも自治体内部での検討にとどめていただき、外部への照会や調整は必要ありません。
(3)今回の回答に基づいて発生土の受け入れをお願いすることはありません。JR東海から発生上に関する詳細な情報が提供された後、改めて具体的な調査を行う予定です。

◎ 『信毎』28日27面 "松川町 残土処分地 新たに募集へ リニア 現候補 意見まとまらず"。