更新:2020/10/18、2020/10/19 追記

新しい船頭さんのデビュー

10月19日

 昨日(18日)行われた飯田市長選挙で、新人の佐藤健さんが次点の現職牧野光朗さんに大差をつけて当選、市民との対話を重視する姿勢を強調し、「心かよう市政をつくる」と訴えた(『信毎』"飯田市長に新人佐藤氏 リーダー16年ぶり交代")。

 得票は佐藤さんが3万5448票、牧野さんが1万5980票、熊谷さん897票(『SBC』"飯田市長に新人の佐藤健氏が初当選・1万9000票余の差で現職破る")。

 「市民の声を聞く」というスローガンに、牧野市政で一番欠けていたことが争点だと市民の多くが気付いたからだと思います(『南信州』"飯田市長に新人佐藤氏" 佐藤氏は現市政を「市民の方を向いていない」と批判。市民の間に停滞感や閉塞感があるとして刷新が必要だと主張してきた。)。

 またリニアに関していうと、牧野さんの市政では、リニア駅利用者が6800人とか飯田駅の位置の決定過程など、市民の間の疑問・疑念が明らかされてこなかったこと、静岡の水問題、コロナ禍による社会の変化、JR東海の赤字転落、なかなか進まない工事などから、多数の市民の間で「リニアの夢」が色あせ始めてきていることも原因だと思います。リニアどころじゃないだろうという気持ちだってあると思います。

 さらに、牧野さんは、よりによって不人気の菅首相とのパイプを強調したりしたこともあるかと思います。感覚の古さが目立ち過ぎました。

 佐藤さんは「リニア推進派」だと、この選挙結果を大したものと捉えないような意見もでてくると思いますが、何が大切な要素なのか見落としています。静岡県の川勝知事は、一応今でもリニア推進派です。

 リニア関係では大本営発表をしがちな『NHK』は:

選挙戦で佐藤氏は市政の転換を主張し、リニア中央新幹線の開業を見据えた観光振興や新型コロナウイルスに対する医療態勢の強化や地域経済の立て直しなどを訴え支持を広げました。
佐藤氏は「市民のみなさんの市政を変えたい、新しい飯田市をつくりたいという思いが支援の広がりを作ったと思う。この気持ちに応えるよう頑張らないといけない」と話しています。(『信州 NEWS WEB 』10月19日 06時36分 "飯田市長選 佐藤氏が初当選")

と、「市民との対話」という佐藤さんの肝心の主張を省いて「市政の転換を主張し、リニア中央新幹線の開業を見据えた」と書いています。

 なお、天竜舟下りの新人船頭さんのデビューがこの時期になったのはたまたまのことだったかも知れませんが、18日の『南信州』は、それを見落とすことなく記事にして、市長選にからめたコラムを書ています。さすがに地元紙『南信州』、センスが光っています。もっと読まれて良い新聞です。

10月18日

 飯田市長選関連の17日の新聞記事。

 『朝日・長野県版』27面は、告示日向きの見出しみたいな感じもしますが、"リニア見すえ論戦 飯田市長選 あす投開票" という見出しなのに、無所属3人が、リニア中央新幹線開業を見すえた論戦を展開。市政の継続か刷新かが焦点だ。

 『中日』18面 "12年ぶり選挙戦あす審判 3候補舌戦過熱" は、届け出順なのでそうなってしまうのですが、リニア中央新幹線の開業を控える中、現市政の継続か点間かが問われる。佐藤さんは現市政を「市民の方を向いていない」と批判。…

 『信毎』2面 "飯田市長選 あす投開票" は、候補の主張については、佐藤氏は市民との対話を重視する姿勢を強調し「心かよう市政をつくる」と訴えている。牧野氏は4期16年の実績や経験、国と築いた関係があると主張。「市政の継続」の必要性を訴えている。27面には "各陣営 投票率の行方注目 期日前は出足良く 「08年より上昇」一致 あす投開票 飯田市長選"。

 『南信州』1面は "継続か刷新か市民判断へ 飯田市長選あす18日投開票"(web版 ※) はまず、「国の方を向いて市政をするのか、市民の方を向いてしっかり声を聞くのか」。今回の選挙はどこを向いて市政運営をする人を選ぶ選挙と語り と佐藤市の主張を紹介。また、14日夜に上郷地区で開かれた個人演説会では、リニア関連の整備計画に言及。政治姿勢の対話と現場主義を強調し「移転をお願いする人ともう一度膝を突き合わせ、『やむを得ない』と言ってもらえるまで話する」と約束したと書いてますが、牧野さんがこの点について何か言ったかは書いていません。同じ1面 "飯田市長選 候補を語る" は、最上段が佐藤氏の「サポーターズクラブ女性代表」のコメント、2段目が牧野さんの「選対本部幹事長」のオジサン、3段目は熊谷候補自身と見た目で勝負はついてしまったという感じ。佐藤さんにくらべ牧野さんのやり方はちょっと古臭い。

 さらに1面コラム 「日言」は、舟下りの船頭という仕事の難しさを垣間見た。… 経験者によると船頭に求められるのは、予測しなかったことに対処する感性、特にある種の怖さを感じる場面で思い切ることのできる判断力だという。そうした素質のある人なら、経験を積み重ねることで力が発揮できるようになるそうだ▼18日に飯田市長が決まる。新しい船出だ。先行きはまだぼやけていて視界不良。波も荒く、難しい舵取りが求められる状況だが、乗り越えていくしかない。… コラムの執筆者は最近、天竜舟下りの新しい船頭さんのデビューの様子を取材(『南信州』9面 "天竜川下り 若い舵取り役デビュー コロナ禍に訓練重ねた末")。開票結果が出るまでは誰が飯田市長になるか分かりませんが、『南信州』の記事から見る限りは、船頭さんもいずれは若い新人が出てこなくては続かないということなのだろうなと思いました。『朝日』のそっけない記事に比べると、『南信州』のほうが「いいね」という感じがしますね。 (※ 『南信州』は夕刊紙、web版は日付が1日前)

10月17日

 飯田市長選関連の16日の新聞記事。

 『中日』16面 "10.18飯田市長選 3候補者はこんな人"。書かれている内容を見ると牧野さんと熊谷さんの記事はごく普通の平面的な、佐藤さんについては立体的な作文になってる印象。18面 "コロナ、リニア、子育てに関心 10.18飯田市長選挙 期日前投票 一票に託した思いは 「政策の違い分かりづらい」の声も" では、期日前投票を済ませた人の声、JR東海に計画を修正させる姿勢が重要争点がないように感じる との声を載せていますが、16面の記事を読めば争点は明らか。リーダーは住民と国のどちらを向いて仕事をすべきかという点。

 『南信州』1面 "飯田市長選 候補の主張" 。牧野さんは、「全国市長会の副会長として地域の声を国に直接要望し、菅義偉首相とのパイプを築いた」なんてまだいってます。ジャパンライフが桜の見る会に招待されたことを宣伝に使ったのと似てるなと思いました。