更新:2021/02/02
山梨実験線の電柱について
先月、川辺謙一さんの『超電導リニアの不都合な真実』について感想文を掲載しました。その中で、実験線の明り部の両側にたっている電柱は、川辺さんはリニアには本来必要ではない架線を張るためのものだから、超電導リニアが失敗した時には従来の新幹線方式の列車を走らせようとJR東海は考えているのではないかと説明しているけれど、雷よけのためというJR東海の説明のほうが納得できると書きました。
上の写真は、2014年の10月に笛吹市八代町の「リニアの見える丘」から撮影したものです。両側に電柱がたっています。これは延伸区間。
『超電導リニアの不都合な真実』の 303ページには実験線の延伸区間の写真があって、電柱が確かにたっています。川辺さんは、これは山梨実験線で先に建設された先行区間にはありません。あとで建設された延伸区間のみに存在します。
(p304) と書いています。
下の写真は、同じ2014年10月に山梨県リニア見学センターのそばにある高台から実験線を見下ろして撮影。画面右、トンネル入口と鉄橋の間のガイドウェイの両側に電柱が並んでたっています。ここは先行区間だと思います。
拡大すると。
つまり、川辺さんは先行区間の現在の様子を確かめていないのかも知れません。もし、これらの電柱があることを、超電導リニアの開発が失敗した場合に在来の新幹線方式で建設することを考えている根拠とするのであれば、以前はなかったはずだというなら、先行区間のもっと前の時代の写真や映像などを示さないと説得力はありません。古い映像などには電柱の写っていないものもあるようですから。
とはいっても、雷よけのためという説明を否定できるわけでもありません。雷が落ちたことがあったのでとか、これまで事故はなかったけれどやっぱりあった方が安全と気付いたので全線にたてましたと説明されたら反論できないですね。
推論の説明に使う材料(事実)、それは推論の根拠なのですが、そういう材料(事実)の吟味が不十分だと思います。
話はそれますが、下の写真、裏表紙側の本のカバーの内容紹介の一番上、歴代リニア開発トップが否定的だったとの証言
(赤線部分)と書いてありますね。
128ページから、『日経ビジネス』の2018年8月20日号に掲載された、JR東日本の元会長の松田昌士さんへのインタビューをそのまま引用しています。『日経ビジネス』では、誰が何と言ったのかまで詳しく書いてなくて、これはあくまで松田さんのコメントにすぎません。
松田さんのコメントについて、さらに、歴代開発トップに直接取材して、なにがダメなのかという具体的な話が書いてあると思ったのですが、かなりがっかりしました。
以前、あるジャーナリストさんに、リニア開発に直接かかわった鉄道技術者でリニアに批判的な意見をネットで発信している方がいるから、取材したらどうですかと話したことがあります。忘れちゃったのか知れませんが、お住まいはその技術者さんと近くのはず。高齢の方なので是非とも早い時期に取材して欲しいですね。