更新:2022/01/22
風越山トンネルの地上部分の用地交渉の問題点・補足2
地方の住民はバカにされている
"深い地下のトンネルでも陥没は起きる" で紹介しましたが、次のページ。
- 「大深度地下法の「生みの親」に聞く立法の真意 外環道陥没で問題化、大深度法でも安全ではない」(『東洋経済オンライン』2021年10月18日)
明治以後、鉄道や道路建設で掘削するトンネルの用地交渉がどう行われてきたかのか、実は用地交渉は地上への出口付近以外はやらないというやり方が今もそのままなことを推測させるようなコメントがあります。
坑口は地上施設ができるけれど、坑口と坑口の間の地上は山林だから、トンネルを掘っても収益に影響ないこと、山林地主としても所有地内に細長い他人の土地ができるという面倒な話となるので、「鉄道省」と「農林省」が役所の間で申し合わせをしたことがそのまま続いているということ。
1960年代後半から1970年代にかけて建設された中央自動車道の恵那山トンネル。『恵那山トンネル工事誌』によれば、中間部分は用地交渉をしなかったと書かれています。
風越山トンネルは中央山岳地帯の長野県内のトンネルですが、地上部分は市街地で山林部分は少ないです。しかし、「山」に掘るトンネルと同様に、中間部分の大部分について、30mより深い部分の地上部分については、「関係地域へ工事説明会」や、「まちづくり委員会」の役員会への説明を行って了承を得て工事にはいるという。これらは、地域住民の意思を代表しているわけでもないし、「関係地域へ工事説明会」や「まちづくり委員会の役員会への説明」が、地上部分の土地所有者と直接交渉して承諾を得ることの代わりになるはずはないでしょう。
東京、神奈川、愛知では地上部の工事前の家屋調査を行うとJR東海はいっているようです。これらの地域は大深度法が適用されています。本来は地上に影響のないはずだから事前にそこまでやる必要はないはず。ところが住民が「うるさいから」やるということなのでしょう。
しかし、長野県内では、法律で決められているわけでもないのに、土地所有者に「だまって」工事をする(工事ができる)。地方の住民は、バカにされているように思えてなりません。
実際には、リニア全体主義がいまだにまかり通る飯田市内では、トンネル部分の地上の土地所有者が工事を承諾しない可能性は非常に低いし、拒否されてそのまま掘ったとしても、やったもの勝ちのはず。世界に冠たる先進鉄道技術のリニアとその建設を使命と思う「ご立派な」JR東海。こういう姑息な「制度」に頼らず正々堂々やったら良いと思う。