更新:2022/03/18

『赤旗』17日15面 "リニア残土からヒ素 岐阜の処分場 環境基準の2.1倍"(web版)。

更新:2022/03/16

 15日の『信毎』2面の見出しは、"岐阜に搬入残土 基準超ヒ素検出 JRに防止策要請"

更新:2022/03/16

重金属類をまき散らすリニア工事

 14日、リニアのトンネル残土の搬出前の重金属類の検査の不完全を岐阜県が公表しました。

 トンネルを掘って出てくる残土は、JR東海は発生土とよんでいますが、この残土には、ヒ素、ホウ素、フッ素など有害な重金属類が混ざっていることがあります。JR東海は、掘削した残土を土砂ピットにいったん置いてそれらの物質が基準を超えて含まれていないか確かめたうえで、処分先や活用先へ運ぶことになっています。基準を超える場合は要対策土とされて、工事ヤード内や仮置き場に保管されます。

 2つのニュースの見出しだけ読むと、検出された残土は要対策土として仮置き場に保管されているのだろうと思い込んでしまいそうですが、実は検査で発見できなかった要対策土が、処分場に運び込まれていたという話。岐阜県が処分場で調査して判明しました。

 高森町下市田では、リニアのガイドウェイ組立・保管ヤードの造成工事が現在行われています。造成には大鹿村からリニアのトンネル工事ででてくる残土が使われています。松川町の知人に残土って安全なのかと聞かれたとき、私は、まあ半分冗談として、下市田のガイドウェイ組立ヤードには、「基準値を下回る重金属が含まれる残土」がきているなんていってましたが…。

 2020年8月31日の、下市田のヤード造成についての説明会で、地元の下市田2区の住民の方が有害物質については大丈夫なのかという質問をしていました。JR東海は毎日掘削した残土のいろいろな位置でサンプリングしているので大丈夫みたいな事をいってました。私は1日に出てくる残土の量を尋ねました。JR東海は、100~150㎥と答えたのに、少しあとの他の方への回答のまえに、400~500㎥と訂正していました。具体的にどうやってサンプリングするのか確認していない住民の側の質問はちょっと甘かったと思います。

 岐阜の事件からすれば、下市田ガイドウェイヤードは確実に安全とはいえないと思います。

 さらに、実際に搬入された残土は、飯田市内の丹保北条の移転者対象の代替地や、喬木村伊久間の工場の移転代替地では、しばらく前に掘り出されて仮置き場にたぶん1~2年以上、寝かして熟成したものが使われたはず。岩から岩くずになって空気や水に触れる面積が多くなって時間が経過したものを使ったのですから、仮置き場からの出荷直前に適正な検査が行われていたとしたらともかくも、飯田市や喬木村は、いまさらですが、調査すべきだと思います。

 喬木村の伊久間の場合は、もともと重金属が井戸水から検出された場所なので、…、当然、注意しているとは限りませんね(参考:この辺にあったはずなのに)。

関連:『赤旗』2019年4月2日 "リニア トンネル工事の残土 有害物質検出58回 「膨大な量」 処分先は非公表 岐阜・瑞浪"


 以下は、私の覚えのためですので、直接このページの内容とは関係ありません。

○「間欠性のフッ素汚染飲料水による重度斑状歯の1症例*」、近藤 武ほか、口腔衛生 会誌 JDenしHlth56 ; 79−85,2006
によれば、喬木簡易水道伊久間水源(深さ75m)は1979年より給水開始。1980年にフッ素濃度が基準値を超えたが1981年には基準値以下となった。1984年には水がまずいとの苦情が出始めた。1986年にフッ素濃度が基準値を超え給水を中止。

○喬木村:喬木村水道事業経営戦略 によれば、昭和54年(1979年)3月に堰下水源(深井戸)、伊久間水源(深井戸)を増設し、給水区域(帰牛原、野田原)の拡張、及び給水量の増量を行い、事業経営の変更をしてきました。平成元年(1989年)3月に伊久間水源の水質(フッ素)悪化に伴いこの水源を廃止し、新しく伊久間水源(深井戸)を取得し、さらに、同年9月に伊久間原地区を給水区域に加えました。

○JR東海:中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価書(平成26年8月)> 8-2-3 水環境 - 地下水の水質及び水位(p8-2-3-14)。には伊久間の水源として深さ55mの井戸の記載がある。