更新:2023/10/31
尾越非常口付近、10月29日
10月21日の『信濃毎日新聞』が掘削が始まったと伝えた尾越非常口(*)。
* [2023/11/02 補足] 南木曽町のHP、中央新幹線に関する主な経緯の「更新日: 2023年10月20日」の画面には、「令和5年10月 大林・若築・株木中央アルプストンネル(尾越)JVが尾越工区トンネル掘削着手(10月16日)」と書かれています。
拡大 5、6月開催の説明会資料(PDF、p12)を加工。
国道256号線から尾越非常口ヤード方面に入ったところ。左は旧道、木の門柱の向こうは尾越トンネルJV工事事務所。
左が尾越トンネルJV工事事務所、右が旧長石工場(特殊精礦)。この坂を道なりに行くと非常口工事ヤードと蘭浄化センターにいきます。
以前はJVの事務所の国道をはさんで反対側に日帰り温泉施設「南木曽温泉・木曽路館」(2021年頃まで)がありました。空き地になっており、トンネル残土の仮置き場になるようです。このあたりは何度も通ったことがある場所なのに、木曽路館がなくなっているのに気づかず写真を撮るのを忘れました。(グーグル・ストリートビュー 2021年5月)
尾越非常口ヤードの入口。ゲートの左の仮囲い(塀)がまだありません。
ゲートの右側も仮囲いがないのか作るつもりがないのか…。
ゲートの右側から坑口(右)、(コンクリート)吹付プラント(左の青い屋根)が見えています。
上の写真の右の部分(テントが目印)。環境保全計画(PDF、p28)や5、6月の説明会の資料(p15)によればもう一つの土砂ピットが設置されるあたりです。
斜坑の坑口。内側に切羽なのか山の斜面なのかセメント色の壁が見えていました。右下に茶色っぽい部分も見えます。掘削が始まったのは20日かそれより前なので、10日ほど過ぎているわけで、掘削のはじめというのはけっこう時間がかかるのかも知れません。
参考:"「教えて!リニアのリアル ~千里の道も一歩から!トンネル掘削初日に密着~」(2023年9月18日~24日 飯田ケーブルテレビ放送)" は風越山トンネルの黒田非常口の掘削開始を取り上げています。掘削のはじめのうちはけっこう時間がかかることが分かります。
南木曽町の『広報なぎそ9月号』(p8)によれば、7月5日の「第37回南木曽町リニア対策協議会」の席上、JR東海は、斜坑の掘削の開始を10月初めからと説明していたので少し遅れているようです。残土は、長野県の木曽川右岸道路事業に活用するため十二兼地区に搬出する予定で、ダンプ台数調整のために、旧ドライブイン(木曽路館跡)を11月初めから整備を始めて仮置き場として利用。区分土(要対策土)もこの仮置き場で管理するということで、仮置き場の整備は始まっていないようだったし、別に掲載の十二兼地区についてもまだ右岸へ渡る工事用の木曽川の仮橋が完成していないので、どんどん掘り進めるというわけにはいかないだろうと思いました。
掘削する距離は、環境保全計画によれば(PDF、6ページ)斜坑(非常口トンネル)部分が約0.3㎞、本線部分が約6.5㎞、工期は2026年(令和8年)7月7日までとなっています。10月20日に掘り始めたとして、2026年7月7日までの期間は約32カ月半(989日)です。掘削する距離は全体で約6.8㎞なので、1カ月当たり約209m掘らないと間に合わないはずなんですが、こんなハイペースを維持できるものでしょうか。NATMで平均的に上手くいった場合の1カ月当たりのペースは100m程度なので、68カ月、約5年8カ月くらいはかかるのではないかと思います。完成は2031年以後になると思います。
環境影響評価書の資料編の3.工事計画の尾越(Z地区)の工事工程でも、トンネルの掘削に6~7年かかると予想していたようです。現実問題として、2027年開業はとても無理。
『信濃毎日』21日の記事については、掘削現場の写真がないこと、他の新聞やテレビ、ラジオが報道しなかったことが、ちょっとひっかかっています。JR東海のHPのニュースリリースなんかにもでていないようです(※)。南アルプストンネル長野工区で最初に掘削が始まったのは、2014年4月27日の除山非常口でした。当時の『朝日デジタル』の記事が WaybackMachine にありました。記事には3枚の写真が「JR東海提供」として掲載されています。除山の場合は、3枚目の写真でも分かるように、工事ヤードが完成できておらず、連続して掘削できる状況でないのに、突然掘削を1日だけやって、11月になってヤードが完成してから掘削を開始しました。この間7月3日に小渋川斜坑から実質的な掘削を開始していました。この事件について、『NO!リニア』の記事「除山非常口「掘削開始」(2017年5月6日)」。
※ JR東海のルート工事マップやそこから飛べる「長野県の工事の状況」でも最新の情報は今年5月のヤードを整備中の写真が表示されているだけです(10月31日現在)。
ゲート前から右を見ると「あららぎ浄化センター」があります。
浄化センターのほうへ下って見返したところ。仮囲いは完成していないようです。
浄化センターと土砂ピット。
工事の看板。
残土置き場候補地、旧長石工場跡地
※ 以下、丸付き数字は、9月に南木曽町内で行われた説明会の配布資料の7ページによります。
残土置き場候補地の旧長石工場(特殊精礦)(①尾越)。まだ。建物が多数残っています。屋根や壁にアスベストを含んでいるスレート材が使われているので解体工事が大変そうです。
残土置き場候補地の旧長石工場(特殊精礦)。
旧長石工場(特殊精礦)
国道側からみた旧長石工場(特殊精礦)
国道側からみた旧長石工場(特殊精礦)
ホテル木曽路西側
ホテル木曽路の西側の残土置き場候補地(③押出南)。
候補地の中には川が流れています。
ホテル木曽路北側
ホテル木曽路の北側の残土置き場候補地(②押出北の南部分)は、青い道路案内表示板のあたりから奥のほうへはいったところのようです。
この先が残土置き場候補地か?