更新:2024/08/16、08/17 訂正と補足、08/19 訂正と補足、08/23 補足

下市田ガイドウェイ製作保管ヤード、8月15日

 長野県下伊那郡高森町下市田にあるリニア新幹線のガイドウェイ製作保管ヤードが操業を始めてから約1年になりました。

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[ 拡大 ]高森町下市田にあるリニア新幹線のガイドウェイ製作保管ヤード。画面左に天竜川。

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[ 拡大 ] 東ヤード。ガイドウェイの自立式ガイドウェイ側壁(以下、ガイドウェイパネル)をつくっています。コンクリート製の衝立状のものをつくって、それに電気部品(おそらく推進コイルと浮上用コイル)を取り付ける作業をしています。

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概略図。コイルの数や下部のでっぱりの数は実物とは違います。

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[ 拡大 ] 西ヤード。完成品を保管する場所です。ヤード内の地面に白い長細いものが並んでいます。この2本にガイドウェイパネルをわたしてのせる感じです。画面右側のように、ラックがあって3段積みされています。画面中央右の門のようなものが、門型クレーン(ガントリークレーン=下の写真)。

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[ 拡大 ] 西ヤードのガントリークレーン。このクレーンがラックの両側に敷かれたレールの上を南北方向に走ってガイドウェイパネルを積み上げます。

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 西ヤードの概略図。4列の置き場があります。ほぼ真ん中の通路を使って、東ヤードからトレーラーで運び込んだガイドウェイパネルを南北(左右)方向に移動して積み上げます。

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[ 拡大 ] ほぼ真横から見たガイドウェイパネル。下のほうに、枕木のような感じに、「足」が7つ飛び出しています。長さは、在来線のレール(25m)の約半分、12m58㎝。

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[ 拡大 ] ガイドウェイパネルの断面方向の写真(矢印がほぼ真正面)。

 ガイドウェイパネルの長さは、12m58㎝といわれています。上2枚の写真を手がかりにするとガイドウェイパネルのおよその大きさが分かるのではないかと思います。高さは、約150㎝、下の部分のでっぱりを含めた幅が約79㎝、上部の厚みが約33㎝くらいかなと思います。下部左右に飛び出している足は約23㎝程度。衝立みたいな形ですがタテヨコの比率は「 1.9対1 」 程度で以外に安定感のある比率だと思います。しかし、従来の鉄道に比べると、その分だけ余計に幅を使っていることになりますね。

 ガイドウェイパネルの断面のサイズは、鉄のレールに比べると非常に大きい。国内なら2つの工場で生産され、鉄道を使って運べる鉄のレールは、ガイドウェイパネルに比べて、ずっと無駄がないと思います。

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日本製鉄:「日本製鉄のレール」より。JIS規格で一番太いレール。断面はタテ×ヨコ、約18㎝×約15㎝。

 西ヤードに積んであるガイドウェイパネルの数は、8月15日時点で、全部で644枚でした。昨年8月に操業を始めたので、約1年です。1月あたり枚数は、53.67枚、25日稼働として、1日当たりは、2.145枚です。JR東海は1日に7枚つくると説明していましたから、開業が先送りされたとはいっても、ちょっとペースが遅い感じです。644枚は、線路の長さでいえば、約2㎞です。なんか本坑部分の掘削の済んだ長さとバランスがとれているような…

 長野県内(延長52.9㎞)で必要なガイドウェイパネルの枚数は、16794枚(最低限。駅部の待避線部分は入れず。)必要です。1年に644枚のペースだと約26年かかってしまいますよ。2024年から26年といえば2050年。JR東海さんがいうように1日7枚なら年に2100枚ですから、それでも約8年で2032年まではかかりますよね。

 なお、最初の写真、東ヤードのすぐ東側は堤防があってすぐ天竜川の河川敷です。ここで、8月18日に高森町観光協会(実質は高町役場)が花火大会をします。で、今年の花火の番付を見ると、20番の大スターマイン「躍進する工業団地の華」に下市田工業団地組合の一員として「東海旅客鉄道(株)中央新幹線長野工事事務所」の、83番の7寸の「変芯変化菊」に「東海交通機械(株)」の名前がのっています。花火を観覧される方は、臨時列車も出ていますから、是非飯田線のご利用を。番付は、高森町のHPの「第101回 市田灯ろう流し大煙火大会・8月18日開催の詳細」にあります。臨時電車の時刻も出ています。

※ (2024/08/23)高森町のHPに掲載してあった番付はもう削除されてしまいました。ので、番付の関係部分のコピーをのせます。

 この花火大会の起源をたどると、JR飯田線の前身の伊那電気鉄道が、少しは関係がありました(「それでも足りない 電車気分」)。

中央新幹線ガイドウェイ側壁製作保管 工事だより

関連ページ

 山梨県笛吹市のガイドウェイ組立保管ヤードの保管ヤードでは、少し前ですが、クレーン車で積み上げていました。面積は山梨のほうがおおきそうですが、地形のせいか、ガイドウェイパネルを積み上げる作業の効率は悪そうに見えます(参考)。ともかく、トレーラー1台でガイドウェイパネルは1枚しか運べないのです。

 4カ月前にパネルの数を数えたことがありました。4月8日には、456枚で、ペースとしては 57枚/月でした。4カ月で188枚増えています。4月以降は47枚/月です。ペースがちょっと落ちてます。

リニア開業が遅れるもう一つの要素?

 リニア中央新幹線の自立式ガイドウェイ側壁を製作するのは以下の場所です。

 ほんとうにおおざっぱな計算です。面積4.6haの高森の北側ヤードはレーンが4つ、レーン毎のガイドウェイパネルを置ける最大量は672で、4レーンあるので最大収容数は2688で、1haあたり584枚おけるとします。

 1~5のヤード全体の面積は48.9haほどです。製造部分も入れての面積なんですが、すべてに保管できるとして、48.9 × 584 = 26797.2。パネルは12.6mに一枚設置するので、337644.72m分のパネルが置けるはずなんですが、リニアは複線なので、4で割ると、84411.18mって、たった84㎞分です。品川-名古屋間286㎞の3分の一にも足りない。

 パネルの製造のペースがJR東海の当初の説明の3分の一以下ということがあって、高架部やトンネルでガイドウェイを設置しても工事に支障ないところへおいていけば何とかなると考えているとすれば、それだけで20数年先でないと完成できないかも知れません。

 ルートの建設ペースとのバランスが問題になってくるはずで、大阪延伸を同時にするなら、ガイドウェイヤードは延伸する沿線にさらに何カ所か必要になるはずです。

 本当にリニア新幹線って実現できるんでしょうか?

※ 2024/08/19:笛吹市のヤードの面積が違っていましたので計算をし直しました。笛吹市のヤードの面積は地理院地図のツールで測りました。

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