更新:2024/09/23
阿島北高架橋ほか新設工事の環境保全計画への意見
8月9日にJR東海が公表した、「中央新幹線阿島北高架橋ほか新設工事における環境保全について」について、長野県が環境の観点からの意見書を募集していたので、「ながの電子申請サービス」経由で以下のような意見を提出ました(関連ページ)。締め切りは、9月24日中までです。
中央新幹線阿島北高架橋ほか新設工事に対する環境保全の見地からの意見
8月9日に公表された「中央新幹線阿島北高架橋ほか新設工事における環境保全について」では、壬生沢川を渡る部分の橋脚の基礎工事の1カ所でニューマチック・ケーソン工法が採用するとしています。しかし、ケーソン工事で現場で発生する残土をどうするのか、中詰め材に何をつかうのかという点について、なにも書いていません。これは問題です。
2022年10月に公表された県内中間駅の工事についての「中央新幹線長野県駅(仮称)新設工事における環境保全について」では、土曽川を渡る部分の橋脚の基礎工事の3カ所でニューマチック・ケーソン工法を採用するとしていました。
2022年10月のこの保全計画書では、土曽川のケーソン工事については、現場で発生する残土は、ケーソン内部の空洞部分の中詰め材に使うと説明していました。
今年2月28日の地元の説明会で、JR東海は、中詰め材に現場の発生土ではなく、大鹿村内の仮置き場に保管している要対策土を用いると説明、住民から懸念の声がありました。住民有志は約6千5百筆の署名を集め、7月10日に、署名用紙とともに、JR東海と飯田市に要対策土の使用を中止することを求めました。8月20日には長野県に対しても使用中止を求めました。
9月13日にJR東海は、「中央新幹線長野県駅(仮称)新設工事における環境保全について」の修正版を公表しました。その中で、「中詰め土には長野県内のトンネル掘削による発生土の内、要対策土を約5000㎥(締固め)活用する」としています。
要対策土の活用先、処分先がなかなかないということは以前から分かっていたと思われます。たとえば、2022年12月21日のリニア関係市町村長とJR東海の意見交換会で、JR東海の宇野護副社長は、「要対策土について、自社用地での活用を当然考えているが、長野県内の自社用地での活用には限りがあるため、公共事業などでの活用も含め、最終的な活用先の斡旋をお願いしたい。」と発言していました。また、大鹿村の残土仮置き場内で要対策土を活用の試験施工は2023年1月ころから準備にとりかかったはずです。
6月30日に行われた豊丘村伴野地区を対象とした「阿島北高架橋ほか新設工事」についての住民説明会では、住民から中詰めに要対策土を使うのではないのかという質問があって、JR東海は、今のところ考えていないと答えていました。
8月9日に公表された「中央新幹線阿島北高架橋ほか新設工事における環境保全について」のは、ケーソン工事について、現場の発生土をどうするのか、中詰め材に何をつかうのかという点について、なにも書いていません。時間の経過を考えるなら、「中央新幹線阿島北高架橋ほか新設工事における環境保全について」において、ケーソン工事で、現場の発生土の処分と、中詰め材に何を使うのか=要対策土を使うのかどうかについて、記述があって当然と思います。
「中央新幹線阿島北高架橋ほか新設工事」でのケーソン工事について、先行する土曽川橋りょうのケーソン工事についての計画の変更と、住民と批判についての反省とか反映がまったくないといえます。駅部についても高架部についても、工事認可前の環境影響評価で対象とすることができなかったので、今になって、環境調査や保全計画を出すわけです。時間の猶予は十分だったはずです。
今後、土曽川橋りょうの場合と同様に、「中央新幹線阿島北高架橋ほか新設工事における環境保全について」に修正を加えて、公表するつもりなのでしょう。このような進め方では、工事の完了は遅れるばかりです。リニア工事の沿線住民の生活環境への影響はいつまで続くのかわかりません。こんなことを繰り返すなら、JR東海は、リニアの工事はさっさと中止をして、後片付けを真剣に考えるべきだといえます。
9月23日提出
EOF