更新:2024/10/02、2024/10/03更新

土曽川橋りょう、中詰め材の変更で増える温室効果ガスは?

※ 2024/10/03 タイトルを変更しました(原題:「長野県環境影響評価技術委員会、9月27日」に補足)。

今年の夏も暑かった

 今年の夏は非常に暑かったというか、10月に入ってもまだ暑いです。今朝の『信濃毎日新聞』(2日)によれば、9月は35度以上の猛暑日が1452回で、2010年以降で最多だったそうです。平均気温も平年より2.52度高く1898年以降で昨年に次ぐ2番目。とかいわれなくても暑かったです。

 電気代がもったいないとエアコンをつけづに、そもそもエアコンを設置するお金のない人もいて、熱中症で救急車で運ばれたり、不幸にしてなくなる方もいます。

 気温が上がる原因の一つの温室効果ガス(CO2)は工事車両からも出ます。

 9月13日にJR東海が公表した「中央新幹線長野県駅(仮称)新設工事における環境保全について 令和4年10月 (令和6年9月13日 更新)」には、土曽川橋りょうのケーソン基礎の中詰め材の変更について修正がしてあります。この保全計画書はもとは2022年10月に公表されていたものに、新たに付け加えた工事箇所についての説明を追加し、それから、土曽川橋りょうのケーソン基礎の中詰め材の変更について修正したものです。

 土曽川橋りょうでは橋脚の基礎部分をケーソン工法でつくります。ケーソンというのは箱の意味で、地上でコンクリート製の箱をつくって、その下側を掘ってケーソンを地中に沈めて基礎部分にするやり方。その箱の中には、土砂を詰めますが、JR東海は2022年10月の保全計画書では、ケーソンを沈めるときに出てきた残土を詰めると説明していました。今回の修正で、大鹿村内で保管している基準値を上回るヒ素などを含む「要対策土」を使うように変更しました。

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「運搬距離の最適化」とは何?

 「3-4-6 環境への負荷(廃棄物、温室効果ガス)」(49ページ)で温室効果ガスについて書いています。49ページの「表3-12 廃棄物等、温室効果ガスに関する計画面の環境保全措置」の中に「本工事による発生土は、堰下及び、その他置き場で活用する」とあって、下線部分が更新(修正)した部分です。「堰下」は喬木村の堰下地区の残土置場(ガイドウェイの保管場所)のことです。これは、ケーソンを沈める作業で発生する残土を堰下やその他の残土置場に運ぶという意味でしょう。要対策土を大鹿からもってきて中詰めに使うなら、行き場のなくなった現場の残土をどうするのという疑問に答えたつもりなのでしょう。しかし処分するのに「活用」ってのはどうなのかなと思います。

 52ページに、「表3-14(2) 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行による影響を低減するための環境保全措置」があって、「環境保全措置」の項目の4行目に「低燃費車種の選定、積載の効率化、運搬計画の合理化による運搬距離の最適化」と書いてあります。ケーソン基礎の中詰め材は、まさに「資材」です。工事現場で発生する残土をそのまま使えるのにわざわざ30㎞離れたところからダンプカーで運ぶことは、「運搬距離の最適化」とはいえないわけです。この「環境保全策」と話が違うじゃないかということになります。

 JR東海自身が、「運搬距離の最適化」をすることで温室効果ガスを減らしますよといっているのに、現場にあるものを使えばよいのに、30㎞離れたところから運ぶことに変更したのです。そして、新たに温室効果ガスが発生することに関係した環境保全の対策が何も書いていないのです。当然、大鹿からのべ約1250台(*)のダンプカーが要対策土を運搬する場合の二酸化炭素の排出量、よく何キログラムの温室効果ガスを排出っていうやつですが、それも書いていない。

* 運ぶ要対策土の量は約5000㎥。10トンダンプ1台で4㎥積めるとして。

 どこかから温室効果ガスを排出しなかった分についてお金で買い取って相殺するという知恵もないのでしょうか? そのやりかたは本当は実質的じゃないので、インチキに近いものなんですが、そういう方策も書いてない。。

 JR東海は、超電導リニアは、空飛ぶ飛行機に比べると、温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量は約5分の一(*)などといっているのですが、リニアの建設工事で発生する温室効果ガスの排出量については、無神経です。

* 「中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価書(長野県)のあらまし」の8ページ

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