更新:2024/12/25

JR東海初代社長・須田寛氏が死去

「世界でこれだけリニアに投資できる決断が可能なところは、これまでの段階では日本の東海道地域しかなかった…」

 JR東海の初代社長を務めた須田寛氏が13日死去しました。

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12月24日の報道から

12月26日の報道から

12月28日の報道から

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 須田さんは、2015年8月15日の『日経』(長野経済面)でインタビューに、「動かなくてもできるビジネスと違い、観光は行かないと話しにならない。リニアの効果を大きくするためにも観光の役割が大きい」、「交通機関同士が競争する時代は終わった」などと語っていました。観光だけのためならリニアはどう見ても過剰投資だし、トンネルが多く観光路線としては不適切。ビジネスにも必要ないとすればリニアってほんとうに意味があるの?と思いましたね。

 2015年9月2日に須田さんは飯田信金主催の「リニアを見据えた観光フォーラム」で講演をしました。活舌が良くて早口で喋りまくる元気のよいお爺さんという感じでした。

 各紙の評伝はリニアとの関係について触れたものもありますが、死人に口なし。

 須田さんは生前の2019年9月に出版した『私の鉄道人生"半世紀"』(イースト新書Q)という本の中で「世界でこれだけリニアに投資できる決断が可能なところは、これまでの段階では日本の東海道地域しかなかった…」(p177)といっています。リニアの工事実施計画を国交省が認可したのは2014年10月17日でした。

 通常の高速鉄道だって、アメリカのテキサス新幹線を見ても、民間の投資が集まらないのが現実です。それだのに、少なくとも、リニア中央新幹線という事業を国は認可して工事は始まっています。現在、完成できるかどうか、分からなくなって来てるんですが。須田さんのこのコメントは結構、意味が深いと思いますね。

 必要がなくて、過剰なインフラと批判する経済学者もいますからそうなんでしょう。経済的にみて必要もないのに、そして、つくることでいろいろな被害が出てくるのに、国が認可しちゃって、建設できてしまうのが、「底が抜けた国家」日本であって、たまたまJR東海の経営する地域が東海道地域だったという意味にも取れますね。環境政策が世界の 中ではかなり遅れているという条件もあります。そして、葛西敬之氏と安倍晋三氏の関係があってこその。それと、なんだか、東海道新幹線が儲かっているのは、日本の経済活動は現在でも無駄をしているんじゃないかと…。


[追記 2024/12/26] 産業観光(国交省 都市・地域整備局「産業観光ガイドライン」)という立場からすれば、トンネル掘削で古い宿場街と周辺の農地を含む地域である、瑞浪市大湫で井戸やため池の水位低下や水枯れ、さらに地盤沈下まで引き起こしているリニア新幹線はちょっと問題あるんじゃないのと言わざるを得ません。また、明り部で地域の集落を壊すことも、たとえば長野県駅周辺はそうですが、残っていた伝統産業を壊してしまう可能性があるわけで、たぶん、産業観光という考え方とリニアだとかメガリージョンという考え方は相容れないものだろうと思いますね。

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