更新:2025/05/22
JR東海が要対策土処分で説明会、5月21日豊丘村
21日夜、豊丘村神稲地区にある伴野区民会館で村民対象のJR東海の説明会がありました。豊丘村の奥山の本山のリニアの残土置き場に要対策土処分する計画についての説明。要対策土についての説明内容は20日の村リニア対策委員会と同じ内容。しかし、今回は報道関係へは非公開で行われました。
21日に住民側から出された意見や質問は:
(1)配布資料を見ると暴露試験の容器の直径は25㎝で、ズリ(岩クズ、トンネル残土)の大きさは15~30㎝のサイズ。実際に埋め立てる場合はローラーなどで締め固めるので岩クズは壊れるはず。不溶化の処理は岩クズの内部全体にしみこむものでないなら、不溶化できない部分が新鮮な部分ができてしまうはずではという質問。答えは、不溶化の暴露試験の試料のズリは、不溶化処理を行ってから締固めした状況と同じになるように破砕したものを使ったとのことで、大きさは40mmとのことでしたが、最初から説明すべき点だろうと思いました。
(2)暴露実験で現地の雨のPHが7だったという点について、あり得ない数字、珍しい現象だから論文でも発表したらどうかという声。より安全側によせるには、日本で平均的なPH4.7とか、あるいは5.6など、酸性雨と同じ酸性度の水で実験しないと意味がないのではないかとの声もありました。だいたい処分地の雨は中性だからという、別の権威のあるデータを示さないと試験の信憑性はないはずです。(参考)
(3)今回、やっぱりでた指摘は、なんで「活用」っていえるの?という点ですね。「処分」といったほうが理解しやすいんじゃないの?。
(4)保安林指定解除の条件と違ってくるのではないか。
2025/05/25 補足:(3)と(4)について付け加えると:①まず、水源涵養保安林の機能がもつ公益性と、リニア中央新幹線を建設するための残土置場の公益性とどちらが重要か判断しなくてはならないという点。②本山の保安林指定解除の理由は官報によれば「鉄道用地とするため」といっているので、鉄道用地の造成に「活用する」という理屈は成り立つのかもしれないけれど、どんな鉄道施設ができるんですかという問題になると思います。「不動産登記事務取扱手続準則」によれば、「鉄道用地」とは「鉄道の駅舎、附属施設及び路線の敷地」とされていますから、鉄道建設をした時の残土置場の土地が「鉄道用地」とよべるのかどうかなという疑問が残ります。小学生に向かって自信をもって説明できるようなものでないとますいと思いますね(参考)。林野庁が本山の残土置場について「鉄道用地」と判断したことは「鉄道用地」の法律的な解釈について極めて疑問が残ります。③仮に、「超電導磁気浮上式リニアモータ方式の鉄道」はほぼ直線しか走れない鉄道方式だからトンネルがどうしても多くなり、トンネル残土も莫大でその置き場もいるから、残土置場は不可欠な「鉄道施設」であり残土置場も「鉄道用地」といえるとすると、そんな無駄で非効率な鉄道は建設しない方が良いという見方もできます。鉄道事業や新幹線の建設は法律が絡むことなので、「超電導磁気浮上式リニアモータ方式の鉄道」を従来の鉄道事業法や全幹法に基づいて建設を認可できるものなのかという疑問が生じるので、国会で議論する必要がある/あったと思います。
(5)要対策土の上も下も側面もすべて水を通さない層で囲うという計画だが、盛土の下面に不透水層ができるから、要対策土が地滑りを起こす可能性があるではないかとの指摘に、JR東海は、滑る方向の前方に普通の残土があるので滑らないと説明しましたが、要対策土の部分が変形する可能性があるし、前方の残土盛土を押し出す可能性だってあるはずです。
(6)松川工区ででた3000㎥が適切に処置できたのだから、本山などにおかずそういうふうに業者に持ち込んで適切に処置すべきだ。発言はしてませんが、この意見についてわたしの意見を付け加えるとすれば、JR東海は金があるんだからケチケチせずに、自前の処理施設をつくって処理すればよいと思います。
(7)自社用地とはいっても林地には公益というものがあって、そこに有害残土をおくのはやめてほしい。林地の中にあるということを軽く考えてもらっては困る。村内で発生した残土や要対策土は村内で「活用」と、交通安全の確保や居住環境への配慮という理由だけで、飲み水の安全をおろそかにはできない。
地下水位保全対策連絡協議会『守ろう私たちの地下水 豊丘村の硝酸性窒素削減にむけて』より
(8)豊丘村内の上水道の水源は井戸で、奥山に有害なものを置けば飲み水が汚染する可能性があるのでやめてほしい。
(9)JR東海が要対策土の活用について検討を依頼した専門家(京大の嘉門教授などの)の委員会については長野県も加わった方が良かったのではないかという質問に、長野県もオブザーバー参加していると答えました。こういうことは、最初から説明すべき内容だと思うのですが、いや、この方がダマシやすいはずなんですが、なにやってんのかなと思いました。
(10)地権者の団体、本山認可地縁団体の役員だけがこの計画について知っていて、役員以外の構成員は何も知らされていない。もう退任すべきとの声が多いのにいつまでも居座り、規定にない総代会で組織の意志を決定をするなど、組織運営の面でこれらの役員が構成員の信任を受けているとは言い難い。役員が受け入れたとしても構成員としてこの計画はやめてもらいたい。
2025/05/25 補足:地権者の団体は、認可地縁団体になる前は生産森林組合でした。残土の受入れの決定は、最初は、生産森林組合時代の2016年12月に決定されたのですが、受入れ決定が適格のある会合で決定されていなかったとして長野県が2027年4月ころ白紙に戻させました。さらに、全体的な組織運営の不適切が発覚して、組織運営の正常化を目指したのですが、結局できずに、より「ハードルの低い」認可地縁団体へ組織替えをして、再度残土受入れの決定をしました。組織の移行が本当に適切に行われたのか疑問とする声がないでもないし、不適切な決定をした当時の組合長があらたな地縁団体の会長になって、2016年の時点からでも10年近く務めているという点にも疑問の声があるようです。
(11)今後、保全計画の更新(修正または補足)を行うが、時期はまだはっきりしない。
(12)マスコミやフリーのジャーナリストは入れない、報道非公開の建前ですが、個人資格で参加することは拒否できないわけで、他地域の説明会では、取材しない記事にしないという条件で参加させることもあるので、取材の皆さんはそういうやり方で参加されてもよいのではないかと思います。だいたいいまのよのなかで報道非公開という考え方は、これはJR東海の考えですよ、なんとういうか古臭いと思いますね。最新の最先端の乗り物を開発した企業とは思えません。というか、超電導リニアは最先端技術、日本独自の技術とはいうものの、その実体は、古臭い発想の技術、ガラ鉄なのかも知れません。
(13)かって桑畑に施した肥料が原因で、水道水から高い濃度の硝酸性窒素が検出されたことがあった。豊丘村ではすでに基準値の半分程度のヒ素が検出された水道水源の井戸もあり、奥山の水源地に有害なものを置くというのは止めてほしい。
(14)終了後、何も発言をしなかった地権者である認可地縁団体会長がJR東海の説明席にいってなにか話していました。
(15)終了後、開場前に待機していた取材者が、参加者をつかまえて話を聞いていました。私もつかまりました。報道陣を入れた方が、結局は参加した住民に迷惑がかからないと思うんですが…。
(16)住民からの質問に、JR東海側がすぐに説明ができず、皆でしばらく相談してから説明する場面が何回もありました。不溶化の化学式を紹介して欲しいとの質問には、用意していないとのことで説明ができませんしたが、専門知識のある人が説明に来ていないのかなという疑念もおこってしまいます。
(17)本山への要対策土処分はJR東海にとって、彼らがわかっているのかどうかわかりませんが、実は「虎穴に入らずんば虎子を得ず」なのかもしれません。
〇土曽川橋梁の場合は、人の住む場所なので置くべきでないですが、本山の場合は飲み水に直結する問題なので人里離れた奥山であっても置くべきでないです。そんなことをいっていたらリニアはできない! そのとおり、なにをやろうとどうやろうと環境負荷の大きなリニアはやめた方がよいのです。
豊丘村の地下水源に関係の参考文献
長野県のHP > 酸性雨とは によれば、飯田では2009年~2024年までのあいだ雨のPHは5.4~4.9の間です。2025/05/25 補足:豊丘村の本山にいちばん近い測定地点は飯田。県内5地点しか測定していないのは、豊丘村の本山だけが酸性雨が降らないというような現象はないと予想しているからだろうと思います。しかし、そういうことがあるのかも知れないのでJR東海は、きちんと観測をして、研究論文を発表すべきです。JR東海が本山の残土置場のそばでおこなったという不溶化した要対策土の暴露試験については、試験方法が杜撰であったか、データ改ざん(とすればマヌケすぎますが)があったかなどの疑問があります。少なくとも住民対象の説明会で説明した複数のJR東海の社員はそういう基本的な点でこのデータに疑問を持たなかったという点では、日本独自の世界最先端の超電導リニアの技術そのものについても「ほんとに大丈夫」といいたくなりますね。
長野県:「酸性雨とは」より