更新:2025/08/30
水道からヒ素が出たら薄めればよい
8月28日、豊丘村議会全員協議会が行われました。
下平村長は会合あいさつのなかで、本山へ要対策土を処分するJR東海の計画(*)について、反対する署名(**)が始まったようだが、村内で発生したヒ素の混じった残土をほかの地域にお願いすることはできない、JR東海の計画で進めて、もしヒ素が漏れ出したら他の水源で薄めればよいと、新たにダムを建設するという手もある(***)などと語りました。
** 署名を呼び掛ける「豊丘村の水を守る会」の文書
*** 7月16日、「豊丘村の水を守る会」が村長に要望書を提出した時にも、下平村長は、ダムをつくって、その水で薄めれば良いと発言していました(参考:「豊丘村の水を守る会」が豊丘村村長に要対策土STOPを要望)。
村民の安全な暮らしを守るために村が水道をやっているのに、そういう義務について真剣に考えていないし、現実問題として、漏れたことが分かってからダムをつくるんじゃ間に合わないし、ダムから現在の水道管の配管の系統にダムから水を供給する経路の敷設も必要なはず。また、基準値の0.01mg/Lの倍の0.02mg/Lに増えただけで、現在供給している水量と同じ量を加えて薄めないと0.01mg/Lにはなりません。カルピスや焼酎の水割りをつくるほど簡単な話じゃないです。村長の飲み仲間はそんなふうに簡単に考えているのかもしれない。
村長の発言は机上の空論以前の口からでまかせの暴言といえます。
この問題は、処分した本山で漏れはじめてから水道水に混じるまでに数十年の時間がかかるので、現在は良くても、将来の村民の生活や村政に影響がでるという問題です。
「平成17年度硝酸性窒素総合対策モデル事業 (長野県豊丘村における硝酸性窒素対策検討調査)報告書」より
村内の農地に施した肥料の窒素分が水道水を汚染したことがかって問題になりました。その調査の結果、提示された対策(*)は、肥料のやり方や家畜のふん尿の処理方法を工夫するなどして窒素分が地下水にできるだけ混ざらないようにする、いってみれば、「環境へ配慮」を徹底すれば改善されるというものでした。長い時間にわたる村民の日常的な努力を必要とする対策です。
* 「下伊那郡豊丘村の地下水資源と自然史との関わり」、「平成17年度硝酸性窒素総合対策モデル事業 (長野県豊丘村における硝酸性窒素対策検討調査)報告書」
村長の発言は、環境を守る村民の努力を無視する、軽率で乱暴なものです。
残土処分予定地の所有者である本山地縁団体(旧・本山生産森林組合)の役員は9月11日に総会(*)を開きヒ素入り残土の受け入れの承諾を決定する考えです。
* 総会通知と委任状
総会通知は、ヒ素混じりの残土を処分したとしてもたいして問題のあることでないですよ、役員会は受け入れてよいと考えているので、出席できない人は役員に委任状をだして下さいといっています。もちろん会員の自由判断だけれどとは断っていますが。上で紹介した、豊丘村の水資源の特殊性などについて、まったく配慮がないのはあきらかですが、その点では、役員たちの考え方は村長と同じですが、「会員とその家族を含む村民全体」の水ということを考えたら大変重要な問題です。総会の運営が民主的に行われているとはいえない状況です。
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