再度詳細に検討した結果、以下の文章でいっているような資料編の「松川橋梁」の画像をトリミングして本編の「風越公園」の画像を作成した可能性がないことが判明しました。したがって、一部不適切な箇所があるので注意してください。(2014/09/04)

再検討:妙琴原(みょうきんばら、飯田市)


写真A。準備書の写真をみて撮影場所はすぐわかりました。妙琴橋の上からです。位置の選択肢はほとんどありません。橋のほぼ真ん中から撮影したと推定できました。カメラの左に見える赤い金具の位置が吊橋の中央です。画面左が松川の上流です。


準備書。まるで観光地の絵葉書のような景色です。長野県関係の準備書の景観予測の写真では出来が飛びぬけてよいです。ここにこんなものを作るというのです。


写真B。35mm相当で撮影。準備書の写真は35mmで撮影して左右をトリミングしているかも知れません。35mm相当で撮影しても出来上がる画像です。しかし、


この写真は準備書の資料編に掲載されている写真です。この写真の縦横の比率は 1:1.77 です。非常に横に長い画面です。左下すみの赤いものに注目。


写真C。28mm相当で撮影。準備書資料編の写真の左下すみの赤いものはワイヤーの金具です。この写真から計算すると準備書本編の写真の水平方向の画角は約51度です(35mmレンズの画角は54度)。ですから「35mmの広角レンズを使用しました」と説明したとしても問題はありません。

しかし、資料編の写真の水平方向の画角はどう見ても28mmレンズ相当です。また写真Cに比べて縦が短めです。おそらく資料編の写真は28mm相当レンズで撮影して上下をトリミングしているのでしょう。川の水面の様子などを準備書本編と資料編を比べてみると同じですから、この二つはもともとは同じ写真と推測できます。とすれば、実は、現場で28mmで撮影した写真の周囲を後でトリミングして使用したということです。

JR東海は「35mmの広角レンズを使用しました」と説明しています。しかし、この妙琴原の写真に関しては、現場では、28mmレンズで撮影しておいて、『自然環境アセスメント技術マニュアル』や『長野県環境影響評価技術指針マニュアル』の指針に合うように後でトリミングして35mm相当の画角になるように仕上げたのではないでしょうか。それでも、やはり結果が35mm相当の画角なのですから、指針に沿ったものであるので、「35mmの広角レンズを使用しました」といっても良いと思います。トリミングは普通に行われることでもあります。

しかし、JR東海は「ひとくくり」に準備書の景観予測全体について「35mmの広角レンズを使用しました」といっているのです。他の予測地点では、28mmで撮影してそのまんま使っている写真が多いのです。この説明をしたJR東海の担当者は景観についてのアセスメントの方針は知っていても、実際のアセスメントの現場でどんなことが行われたのかということ、そういう過程をきちんと把握していないのではないかと思います。乗客の安全を担うべき企業の「重要な役柄の職員」の事実というものに対する基本的な姿勢として疑問を感じます。

この日は増水で少し水が濁っていましたが、本来は準備書の写真のようにきれいな水が流れています。この一帯は景色の良いところで、昔は「みょうきんばら」といって、小さい頃、当時は自家用車のほとんど普及していないまだまだ不便な時代でここまでくるのは大変だったと思いますが、父母に連れらて紅葉を見に来たり、小学校時代には遠足にもきました。そこそこの観光地だったのです。準備書で採用された「風越公園」は地元ではほとんどなじみのない呼び方です。JRが地元住民とコミュニケーションを図ってこなかった一つの現われだと思います。工事用車両はこの河川敷に仮設道路を作って通行するしかないように思いますが、飯田市民の皆さんはそんなことを了解するんでしょうか。

上で「こんなもの」で開く画像は長野県の環境影響評価の技術委員会で公表されたものです。縦横比は 1:1.457 です。このページ2番目にある「準備書」(本編)の写真の縦横比は 1:1.33 です。準備書本編のフォトモンタージュは 1:1.349 です。