更新:2018/07/11

上片桐のガイドウェイ組立ヤード候補地が赤信号

残土20万立米の置き場が没に?

 リニア新幹線はガイドウェイを走ります。このガイドウェイは現地に組立ヤードが必要です。長野県内では約12ヘクタールの土地が必要と言われていました。現在候補地になっているのは、喬木村の堰下地区高森町の下市田、そして松川町上片桐です。いずれも農地です。このうち、松川町上片桐で地権者対象の説明会が10日夜ありました(『信濃毎日』11日)。

 『信毎』によると、町はこの候補地について、ガイドウェイヤードとして使用するための前提である、農振地除外が困難な生産性の高い「第1種農地」に区分される可能性が高いことが、長野県との協議で分かったと説明。また、農村産業法、地域未来投資促進法の適用で除外するには、具体的な誘致企業など目途はない。町としては10月までに方針を出すと説明したそうです。

 地権者からは、結論をはっきりさせないと来年に向けて作物を植えて良いかどうか分からない、あるいは、町は10年企業誘致をしてきたが何もできていない、企業団地は本当にできるのかなどの批判がでたそうです。

 高森町の場合は、候補地について、ガイドウェイヤード使用後はJR東海に買い取って欲しいと考えてると伝えられています。奇妙なこと言っているなと思っていましたが、上片桐の今回の話からすると、農振除外との関連でそのように言っているのかなとも思いました。一応、高森町の町長は農地転用を許可する権限は持っています。長野県では県知事のほかに、飯田市長と高森町長が農地転用の許可の権限があります。

 松川町は、やり方はともかくとして、この土地を企業団地にしようと企業誘致に努めてきたにもかかわらず、企業は全く出てこなかったということは、ここ20年ほどの経済状況が背景にあったのではないか。とすれば、農地を潰して、工場誘致という考え方が間違っていたのではないかと思います。それは、隣の高森町についても言えることです。

 松川町は生田の残土置場の問題、上片桐のガイドウェイヤードの問題と、リニアでは、もう2つも赤信号が付いてしまいました。もうじき町長選もあって、深津町長さん、大変です。

 残土捨て場が決まらないこともあって、あるいは残土運搬を当て込んで進出した会社のダンプカーのほとんどが駐車場で遊んでいるのをみて、工事がなかなか進まないことを見て、もともとリニアに反対でない人でも、下伊那や飯田では、リニアってどうもうまくいかないんじゃないかと思い始めた人がいます。

補足:2018/07/13

 大事なことを書き忘れていました。JR東海にとってこの場所は、ガイドウェイ組立ヤードとしての利用以上に、残土の処分地としての意味があります。JR東海は、約20万立米の残土持ち込みを条件に、7ヘクタールを工業団地用地として造成して、そのうちの3ヘクタールだけをヤードとして使うという提案をしていました。