更新:2020/10/02
大鹿村の第17回リニア連絡協議会
一時的が重なって万事休すに
第17回リニア連絡協議会が9月29日にありました。ニュース報道が月をまたいだものもあったので、このページにまとめました。
協議会に参加された報告が、ブログ「美しい村」の議員日記』の9月30日 "第17回リニア連絡協議会" にあります。
ニュース記事としては:
- 『南信州(web)』30日 "7月豪雨が工事に影響" 紙面10月1日1面 "7月豪雨が工事に影響 大鹿村のリニア連絡協 釜沢、除山の掘削休止続く")
- 『信毎』10月1日27面 "大鹿 2カ所で工事中断続く 7月豪雨影響 地滑り対策必要に" (web版)
- 『中日』10月1日16面 "県道復旧工事に残土使用 大鹿の連絡協でJR説明"(web版)
南アルプストンネルの静岡工区はまだ準備工事が始まったばかりでトンネルの掘削開始の目途はたっていないし、静岡県の環境保全に対する姿勢が厳しいので、前途はJR東海にとっては絶望的だと思います。実は静岡県のJR東海の環境影響評価に対する姿勢が普通。長野県側、JR東海の予測でも小河内沢の減水は50~80%、長野県の環境影響についての見方は甘すぎると思います(リニアと大鹿村)。長野工区ではで一旦トンネル掘削をはじめたものの、かなり苦戦を強いられているようです。もともとの計画にゆとりがなかったことはあきらかだと思います。静岡と同様、災害で工事が中断しやすい場所で工事をしています。
釜沢と除山斜坑は7月豪雨で現場に通じる道路が地滑り災害のために工事が中断中。除山斜坑ヤードと釜沢斜坑ヤードについては、地すべりの復旧ができたとしても、別の自然災害の心配があると思います。小河内沢右岸、釜沢集落と所沢の間の斜面の問題です。7月豪雨では林道付近と、小河内沢の川べりでも崩壊が確認できています。除山斜坑ヤードの対岸なので、大規模な崩壊が起きれば小河内沢をせき止める可能性もあって、その時には工事ができなくなると思います。
小渋川斜坑は本坑部分の先進坑を掘削中ですが、現在蛇紋岩地帯にあたっていてズリからホウ素が検出されるなどでこの3か月ほどほとんど進捗がなかったようです。ホウ素が検出されたズリは雨水を避けるために坑内に保管しているそうです。トンネル内で大量の突発湧水があった時の安全性はどうなのでしょうか。小渋川斜坑の排水は小渋川に出されています。花崗岩が主体の中津川の山口ヤードや豊丘村の坂島ヤードでは土砂ピットに屋根がありません。大鹿村内の土砂ピットには屋根があります。南アルプストンネルのズリからはもっと有害な物質が出てくる可能性が高いということなのでしょうか?
先月、このページでトンネル掘削のペースについて計算しました。小渋川斜坑では、6月の連絡協議会の時点からほとんど掘り進めていないようなので、先進坑の部分だけの1カ月当たりの掘削ペースは6月24日までは 47m ほどだったのが、最も少ない場合は 36m 程度までダウンしているのかなと思います。斜坑部分も合わせた平均では、6月24日時点に 51.7m だったのが最も少なくて 47m 程度になると思います。まったく止まっているということでもないようなので、実際はもう少し数字は良いと思いますが。次の連絡協議会の報告を見ればもう少し正確な数字が出せると思います。
除山斜坑についても、すでに2月半も工事が中断しています。8月に、除山から静岡工区の境界までの掘削が終わるのは、開業予定の2027年より5年後の 2032年の4月 と計算しましたが、いつまで続くか見通しはたっていないようですが、休止が続いた期間だけのびることになります。
飯田下伊那でも、こういう工事の中断について、一時的なものと考えている方がまだおられるようです。一時的が積み重なって、結局は万事休すとなるのだと思います。各地のリニア工事で起きている事故や障害は結局、一事が万事、もともとの計画に無理があったからだと思います。