更新:2021/07/11
中央アルプストンネルの工法変更か?
[ 拡大 ] 中央アルプストンネルの坑口の位置(丸印)。赤い屋根は松川第4発電所。風越プールの東南の隅付近(立入禁止の表示のすぐ外側)から( 35度31分35.17秒 137度47分19.10秒 35.526437,137.788639 )。2018年5月のようす。
ある方からお聞きしたところによると、中央アルプストンネルの松川工区について、シールド工法で本坑トンネルをそのまま掘って行く計画だった(*1)ものを、地質が軟弱なために、「斜坑」を掘削するように変更することを、JR東海は検討しているとのことでした。
まず、JR東海は、中央アルプストンネルの松川工区(妙琴原)のトンネル工事はNATM工法で行うと、はじめから説明していました(*2)。
以前から、本坑口となる岸壁が脆いので掘削開始が遅れるとの説明はあったと思います(*3)。
松川工区は工事ヤードの松川の右岸と、左岸が5月につながり、ヤード内設備もだいぶ整って来ています。
「斜坑」というのは、JR東海の説明や、報道では、普通は「非常口」といっている部分から、リニアが実際に走る部分になるトンネル(本坑)までの間のトンネルのことで、作業トンネルとかもいいいます。普通は上り勾配で掘るので斜坑というようです。
「先進坑」は本坑を掘削する部分の地質調査や水抜きなどに使うために本坑と並行に掘る掘削断面積の小さい(細い)トンネルのことで、NATM工法やTBM(トンネル・ボーリング・マシン)を使う場合に掘る場合があるようです。一般的にはシールド工法では先進坑や斜坑は使わないと思います。情報を下さった方のトンネル工事についての知識があまり正確でないように思えました。
おそらくは「先進坑」を掘るのだろうと思います。「斜坑」であれば、斜坑口の位置を決めなくてはならず、手近ではマレットゴルフ場あたりになるだろうと思うので、これはまた、大変なことじゃないかと思います。NATM工法のかわりに、「シールドマシン」ではなくて、TBMを使うのかも知れません。「NATBM掘削機」なんていうのもあるようです。
注
*1: JR東海は斜坑を掘らず、いきなり本坑を掘ると説明していた ⇒ 『南信州』2019年1月26日 "鼎切石でリニア松川工区に関する懇談会"
*2:"中央新幹線、中央アルプストンネル(松川)外 工事における環境保全について ~中央アルプストンネル(松川)~ (2018年1月)"
*3:飯田市が3月8日、リニアと関連工事の工程表を修正し市議会リニア推進特別委員会に示す。『南信州』2021年3月9日 "飯田市リニア 掘削開始期ずれ込む 中央アと風越山トンネル巡り" によれば、中央アルプス松川工区は…掘削の開始時期については「21年度中」と変更した。昨年の保安林解除申請の後、坑口付近の状況を確認したところ、急峻な地形のため対策の検討が必要となったことが主な要因とみられる。
。『信毎』3月9日23面 "リニア最新の工程表 飯田市が公表 トンネル工事ずれ込み" によれば、松川工区の掘削工事開始は20年度末から21年度に遅れる。