更新:2022/05/29

リニアは生卵かゆで卵か

 川勝知事は「ルート変更」というコトバを自民党の会合でいったそうです。下田市長は公の席でいったのかと驚いておられるようです。

 ルート変更については、もう工事は始まっているし、それにあわせて各地域が関連事業を始めている。だから、JR東海がルート変更するとしても、沿線の自治体も困るという理由から、そうそう、開業時期がすごく遅れるという理由もあるでしょう、そんなことはあり得ないという意見があります。

 静岡県は水の問題と南アルプスの生態系への影響の問題について解決の見通しがないなら工事は許さないといっています。川勝知事は、もともと松本のほうを通るというルートもあったんだからルートを変更すれば、リニアは静岡の環境への影響の問題は解決できるし、開業することもできるというような解釈ができるようなことを以前からいっていますね。

 山梨県の櫛型山について高圧のトンネル湧水が見込まれるという理由でよけたのに、同じ高圧湧水の可能がある南アルプスを避けないということはあり得ないと、川勝知事はJR東海を批判しています。

 たしかに川勝さんはちょっと非常識な感じの言動が多いんですが、このやりとりをきいて、「コロンブスの卵」を思い出しました。

 「コロンブスの卵」というのはこういう話。新大陸の発見のあとコロンブスが貴族たちの宴席で、スペインには有能な人材が多いからコロンブスでなくても誰かが新大陸に到達しただろうと言われたときに、コロンブスが卵をテーブルの上に立てることができるかと貴族たちにといかけた。貴族たちのだれも立てることはできなかったが、コロンブスは卵の尻をテーブルに打ち付けてへこませて立ててみせたという話。

 さて、コロンブスが立てた卵は生卵だったのか、ゆで卵だったのか。生卵だったら、テーブルに打ち付けたあと中身がでてきて、あまり見栄えの良いものじゃないですね。宴席が台無しになる。だから、たぶんゆで卵だったと思うのです。史実はどうなのか分かりませんが…

 つまり、リニア新幹線が、生卵なのかゆで卵なのかという話なのだと思います。

 リニアがゆで卵なら、そういう解決法もあったのかと、まあ納得できるかも知れないんですが、リニアが生卵ならそうはいかない。みっともない話になる。

 じゃ、リニアはゆで卵なのか生卵なのか。

リニアは曲線部の走行が技術的に未完成

 当サイトでは、リニアは曲線部分の走行に難点があって、ほとんど直線のルートでしか建設できないだろうといってきました。ちょっと昔になりますが、石原運輸大臣が、1988年に「直線での運転ならば実用化段階にきている」といってから、曲線走行について、トランスラピッドほどにカーブが曲がれるようになったのかといえば、ほとんど進歩がない。最短距離を高速で走れば早く到着できるのだからいいじゃんと、ガイドウエイの構造が曲線走行を前提にしていないように見えます。

 つまり、ルート変更すると、走行方式の技術の問題として、生卵の中身が割れ目から出てしまうはめになると思うのです。

 川勝さんは、そのあたりのことに気付いているのかいないのか?