掲載直後に関係者から事実誤認があるとの指摘がありました。全面的に書き直しました。8月12日に読まれた方は、再度お読み下さい。

「リニアを考える自治体議員懇談会」

 「リニアを考える自治体議員懇談会」の一行が飯田下伊那のリニア関連の現地視察をしたことについてこのページで触れました(写真5)。そして、当サイトの「リニア・スクラップ」でも書いています。「リニア・スクラップ」では「リニアを考える自治体議員懇談会」の行動について「お前ら馬鹿か」と書きました。事情を知らない人には、何のことかと思われたかもしれません。順を追って、説明しなおします。

 豊丘村伴野原区小園の住民でつくる「リニア残土No!小園の会」は、JR東海に沢への残土(約50万立米)の埋め立てを断念させました(参考)。

 リニア沿線自治体の議員有志が構成する「リニアを考える自治体議員懇談会」は長野県内のリニアの現地視察の一環として、小園地区の集会所で小園の会の方から事の経緯の説明を聞きました。その時の質疑応答のなかで、つぎのようなやり取りがあったと、その場にいた方からお聞きしました。

Aさん(南木曽、女性※1):その(JR東海が源道地の沢への埋め立てを断念した)50万立米はどこへ行くんですか?
小園の会:それはわからない。私たちはとにかく、小園の谷が埋められることがなくてよかったと思っている。
中川議員(高森町議、男性※2):自分たちのところが回避できたので、それだけでいいということなのですね!
小園の会:それ以上のことは住民レベルではできませんから。

※1 南木曽町議員ではありません。南木曽町の一般住民です。
※2 「リニアを考える自治体議員懇談会」の共同代表の1人

 こんなことをいわれては、小園の人たちは、ずいぶん驚かれたのではないかと思います。Aさん、特に中川議員の発言は礼節を欠いて、極めて失礼です。だから、「お前ら馬鹿か!」と書きました。こういう書き方は私の地です。訂正するつもりはありません。「リニアを考える自治体議員懇談会」でそういうバカな発言をしたのは彼だけだったそうです。私もそう思います。他の議員さんたちは決してそんな失礼なことを言わないことはわかっています。またこの組織に入っていない議員さんもいました。だから、その方々にはお詫びします。

 なお、小園の方々のこの時の対応は、いたって紳士的な大人の対応だったそうです。

 中川議員の高森町は残土を引き受けません。彼は議員としてリニア残土の受け入れ拒否について何の努力もする必要がなかったはずです。小園の住民は民主的な努力の結果、中川氏が享受している政治的レベルを勝ち取ったということが理解ができていない。目前の事実に対する謙虚さがない。頭でっかちである。こんな議員さんでは心細いことです。

 小園の方々は非常に堅固な橋頭堡を作ったんだと思います(地方自治を守ることにおいて、基本的人権を守る点において、したがって、かつ実体としてもリニア建設を阻止する点で)。それはその後の推進側の動きをみてもわかることです。私たちは、それをきちんと認識・理解して活かすべきだと思います。非常に大きな成果なのに、議員としてそれが理解できないのは非常にまずいと思います。

 なお、小園の住民の方々の行動について、村議の滝川利秋さんが非常に立派な討論をしています。⇒ 豊丘村会、滝川利秋議員の討論。滝川さんだけでなく、約半数の村議の皆さんもしっかりやるべきことをしていたと思います。

 安全に置ける場所(※)に最低限しか残土を受け入れない喬木村、高森町など残土を受け入れないと決めた自治体、小園でJR東海が埋め立てを断念したこと。谷を残土で埋めるのは防災上危険を増すからやってはいけないというのが常識になってきていることの証だと思います。リニアへの期待から、リニア建設に協力しようという気持ちで残土を引き受けようとしている自治体があったとしたら、その考え方は、住民の安全を軽視していると思います。

※ 沢や谷でなくて、天龍川に近い村内で一番低い場所に、リニアで立ち退きになる住宅や工場の移転先を造成するために使うそうです。

 「リニア・スクラップ」で「 願わくば、無神経に徘徊して住民の方々に不快な思いをさせないこと。」と書いたのは、「リニアを考える自治体議員懇談会」は以前にも、同様の現地視察をしました。現地との段取りもなく歩き回るのであれば、視察できる範囲は限られます。それが常識。いきなり大人数であちこちお構いなしに歩き回れば、不快に思う住民の方もいるはずですが、実際そういうことをしたので、その時に、住民の方から批判的な指摘がありました。だから、今回はそういう点を気を付けてくださいねという意味。

 また、「リニア・スクラップ」では今回の視察を知らせる中川議員のページから、中川議員の文章を引用しています。

沿線自治体及び自治体議会で、リニア建設に反対の自治体はありません。反対どころか、リニアを推進している自治体がほとんどです。この状況の中で、各議会でリニアに厳しい意見を述べることはタブーにされているといっても過言ではありません。これを打破するには、自治体の枠を越え、県の枠を越えて、リニアに問題意識を持つ全議員が、問題を共有して、突破口を開いていく必要があります。そこで私たち懇談会は、各県ごとに順次現地視察をしていくことにしました。((facebook))

 そして、

自治体の議員としてなにか思い違いをしていませんかと言いたいです。

 と書きました。議員さんは一般住民に比較すれば発言権は大きいと思います。視察することで、問題を共有して、突破口を開くというのは、タブー視されているので発言できないということなのだと思います。小園の住民が運動をする一方で、豊丘村議会では相当数の議員が立派な討論をしています。そういう連携は「リニアを考える自治体議員懇談会」の立場からすれば称賛されるべきもの、学ぶべきもののはず。

 中川議員の発言を無理をして良い方に解釈するとすれば、「はえば立て、立てば歩めの親心」というのがあると思うんですが、それは完全に上から目線だと思います。住民の視線じゃありません。

 このページについて掲載直後から事実誤認などについてご指摘をいただきました。ご指摘くださった関係者の方には感謝いたします。しかし、私としては正直なところ、「リニアを考える自治体議員懇談会」=中川議員という印象がどうしてもぬぐえません。

(2016/08/13)