(2017/08/28、08/29一部補正、08/30補足)

リニアとトランスラピッド、どちらが地震に強い?

浮いているってどんな状態なの?

トランスラピッドは1㎝浮上、リニアは10㎝浮上だから地震に強いなんて簡単にいえるでしょうか?

 交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会、「中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名並びに整備計画の決定について」 答申の参考資料にある下の図について、もう一回検討してみます。この図が最初に出てくるのは、審議会の第19回の答申案からです。第20回の案と答申でも同じです。


[画面クリックで拡大] "交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会、「中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名並びに整備計画の決定について」 答申、平成23年5月12日" の参考資料のp8

 JR東海のリニア(図左)の床の形に注目。「中ほどがへこんで」います。トランスラピッドでは平です。リニアについては本当のところはよくわかりません。しかし、トランスラピッドの床の形は、「ソリ( sliding skid )」があるので、実は、いってみれば「中ほどがへこんで」います。


トランスラピッドのプロモーションビデオから


トランスラピッドの特許出願の付図(Guideway carrier and magnetic levitation railway manufactured therewith US 7699007 B2)に加工。

 だから、床の形の描き方としては下図のようにすべき。


 こうしなくては、車体の床下全体がガイドウェイの1㎝上をすれすれの状態で走っている印象を受けるんじゃありませんか。

 「約1㎝」という吹き出しの書き込みは、さらに「誤解」を招く効果があると思います。

 ガイドウェイの構造は断面が「T字型」で、車体の下部はガイドウェイの「T」の横棒を腕のような構造で抱え込む形になっています。この腕でガイドウェイにしがみついているわけです。トランスラピッドはカーブに強い方式ですから、ガイドウェイに働く横方向の力については考えられていると思います。跨座式のモノレールと外見上はよく似ています。

 リニアは、側溝状のガイドウェイの中を浮かんで走ります。ガイドウェイには4つの方式があるようですが、組立ヤードの説明会の配布資料のからはビーム方式を採用するようです。これは、路面に後で取り付けます。この場合は、側溝状とはいっても一体構造ではありません。リニアは基本的に直線しか走りません。浮上用磁石は下半分が反発力、上半分が吸引力を生じるので、横方向の力のバランスはとれています。しかし、地震で横に揺れた場合はどうでしょうか。ガイドウェイの側壁は大丈夫でしょうか? より高く浮上するから地震で安心と単純に判断できるはずはありません。

「葛西リニア」以外に選択肢なし?

 中央新幹線小委員会(審議会)ではトランスラピッドやリニモとの比較について次のような質疑がありました。

第1回 2010年3月3日
【渡辺委員】 全日本交通運輸産業労働組合協議会、交運労協の議長の渡辺委員でございます。
この種の問題について、2つございまして、1つは、JR東海が考えておられますリニアのシステムの関係ですけれども、なかなか技術論的に素人ですので、ぜひちょっといろいろ勉強したんですが、この場でもぜひ教えていただきたいのは、私、組合の出張の関係で上海のリニアモーターカー、実際に中国の鉄道の関係でご招待で乗せていただいたことあるんですが、あのシステムと今回考えているシステムというのが、技術的に一言で言ってどういうふうに違うのかっていうのは、わかりやすく、もし教えていただければありがたいなというふうに思っております。・・・
【潮崎技術開発室長】 はい、上海の常電導式の磁気浮上鉄道、これはドイツが開発したトランスラピッドというシステムでございますが、次回詳細にご説明させていただきますけど、口頭で簡単に申し上げますと、結果として一番違うのは、浮上するときの高さです。リニアは約10センチぐらい浮いておりますけれども、トランスラピッドの場合は約1センチぐらいです、浮上高さは。したがって、揺れなんかを考慮いたしますと、高速走行するには私どもとしては、この超電導磁気浮上方式のほうが適していると考えております。システム的にはどちらも電磁石の力を使って浮上させて走行するということで、しかもリニアモーターを使って走行するという原理は変わりませんが、超電導方式は非常に大きな浮上力を得るために絶対零度近くまで液体ヘリウムで冷やして、非常に大きな超電導によって電磁力を得るという仕組みを使っておるのに比べて、トランスラピッドは、通常の常温でのいわゆる電磁石でもって浮上させているということの違いでございまして、原理的には上海のシステムに近いものは、今日本でも名古屋のリニモというシステムが愛知万博の会場にアクセスをしておりました。今も走っておりますけれども、あのシステムが通常の鉄道ベースの速度で実用化をしておるということでございます。 簡単に申し上げると以上のようなことでございます。

 私も素人ですが、渡辺委員も素人だといっていますよ。審議委員ってどうも素人さんばかりのようですね。もちろん素人なら素人として適切な判断をする方法はあるはずですが・・・。

トランスラピッド方式はダメなんですか?

 やはり素人さんの宮澤委員が良い質問をしています。トランスラピッドもリニモも普通の鉄道と同じにプラットホームに横付けされた車両にお客さんは乗り込みます。リニアのようなボーディングブリッジなんか使いません。走行方式が違ってもお客さんの乗降りの仕方は従来の鉄道と同じです。

【富澤委員】それからもう一つ、上海のリニアはトランスラピッドというドイツ方式であり、名古屋のリニモにも乗ってみましたが、乗った限りではほとんど在来の鉄道と変わらないような感じを受けました。例えば中央新幹線にこの方式を使った場合、何か大きな支障があるのかどうか、その辺のところもちょっと疑問に思っております。

 日本の国土や社会に適している方式かどうかという視点は絶対必要だと思います。だとすれば、どうしてもJR東海のリニア方式でなければならないという前提はないはずですから、この質問は当然です。

【潮崎技術開発室長】 まず一番最後にご質問ございました、リニモとの比較の点でございますが、上海の常電導式の磁気浮上式鉄道、当然リニアモーターをこちらも使っておりますので、リニアと称しても構わないんですけれども、通称トランスラピッドという名前がついてございます。やはり一番の違いは、速度でございます。上海のシステムでは営業最高速度で、今現在400キロを超える速度で走っておると聞いてございますが、我が国でこの方式で、我が国でもリニモで実用化しておりますとおり、古くからこの方式の開発も進められておりましたが、私どもとしては500キロという高速を目指すからにはこの常電導システム、常電導のこの浮上高さが1センチ程度しかない、この常電導システムでは、ちょっと不適切ではないかと考えておりまして、かねてからこの先ほど参考資料2の歴史の表を見ていただきますと、この超電導式も昭和37年から基礎研究に着手しておりまして、長い間かけてここまできたシステムでございまして、500キロという速度での高速走行時の安定性ということで考えれば、この超電導のリニアシステムのほうがはるかに安定性があると私どもは考えてございます。その辺に関しまして、また次回の小委員会では詳細に議論させていただく予定でございます。

 塩崎技術開発室長は一番の違いは速度だといっています。しかも、それが技術的な制限によるという説明です。千葉大学の近藤圭一郎教授は次のように書いています。

上海リニアの最高速度は420km/hであり超電導リニアの500km/hより約20%低いが、この相違もトランスラピッドシステムの限界から決まるものではなく、単に鉄道システムとしての設計最高速度の相違によるものである。("鉄道車両技術のア・ラ・カルト 第21回 上海リニア(トランスラピッド方式)"、『鉄道ジャーナル』、2017年4月号、p98)

(注釈)塩崎氏は「この超電導式も昭和37年から基礎研究に着手しておりまして」といっています。昭和37年は1962年。超電導磁石の利用については、1967年頃アメリカでアイデアが出されたものを参考にして昭和45年から研究を開始した(※)。事実と異なる説明。(※ 『ここまで来た!超電導リニアモーターカー』、鉄道総合技術研究所編、2006年12月)

 塩崎氏は「高速走行時の安定性ということで考えれば、この超電導のリニアシステムのほうがはるかに安定性がある」といっています。近藤教授はつぎのようにいっています。

車両を浮かせようとする電磁力と、車両を沈めようとする重力が自然にバランスする点で浮上高さ(ギャップ)が決まる。超電導リニアではこれが10㎝に設計されている。この方式では、バランス点からずれると元に戻そうとする復元力が生じることが特徴である。すなわち、特に制御など行わずとも、ギャップの長さに関しては元から安定なシステムである。しかし、逆に言うと、積極的にギャップを制御することはできないため、浮上系の設計段階で、例えばバランス点から何cmずれるとどの程度の復元力が発生するといったような、磁気ばね特性を決める必要がある。・・・この磁気ばね特性を種々の要求から適切に設計すると、走行中に車両が軌道に当たらないようにするには10㎝程度のギャップが必要になると考えられる。(同、p96)

 つまり、バネに乗ってるリニアはユラユラ揺れるので10㎝浮上しなければ安定して走れないけれど、エレクトロニクスでギャップ長を制御しているトランスラピッドは1㎝しか浮上しないのに安定して走れるという違いがあるということになりますね。

10㎝隙間があっても最少回転半径は8000m

 近藤教授のことばに関連して、もう一つ、路線を決めるときに、カーブを設けることが難しいのではということ。カーブでは車体に働く遠心力が大きくなります。列車はカーブの外側に押されます。外側の「磁気ばね」が縮み、内側の「磁気ばね」が伸びます。中心線からずれることになり、ガイドウェイと超電導磁石の隙間がカーブの外側で少なくなります。「積極的にギャップを制御することはできないため」にほとんど直線に近い路線でなくては走れないのではないかと思います。トランスラピッドが通過できるカーブの半径が2000mから4500mと自由度があるのに、リニアが8000mとほとんど直線しか走れない違いはこれが理由かもしれません。

(補足 2017/08/29) ドイツのリニアの実験線には、直線コースの両端にループがあります。北が半径約1.7㎞、南が約1㎞です。山梨実験線にも宮崎実験線にもループはありません。従来の鉄道の方式と全く違う方式なのですから実験線にループがないままに開発が行われたことは安全性の点で非常に心配です。

(補足 2017/08/30) 従来の鉄道ではカーブではレールとレールの間隔を少し広げるそうです。そうやって、列車がカーブを通過しやすくするそうです。リニアでもガイドウェイの間隔をカーブで広げるのでしょうか。しかし、ともかく、実験線ではほとんど直線に近い半径8000mの曲線が一番急カーブなのですから、曲線の通過については実験や試験の積み重ねが非常に少ないことが予想されますね。リニアは、試験用、実験用の路線を営業路線を兼ねて建設しました。うっかりしてると、合理的で知恵があるように思えますね。しかし、実は、新しい技術の開発の仕方としては、実にけち臭い、見当はずれのやり方だったのではないでしょうか。実験室の間違ったやり方に、現実を合わせようとするなんて非常識すぎます。

第2回 2010年4月15日
第2回の審議会で配布された資料の図
【家田委員長】 今日は、天気もあまりよくない中、お集まりいただきましてありがとうございます。早速、第2回の委員会を進行させていただきます。今日は議題が2つありまして、1つは、技術的なポイントに関する審議ということでありまして、2つ目は、この小委員会でどういう検討事項をアイデンティファイして、どういうふうにして進めていくか。どっちも非常に重要なことですが、まずは1つ目の技術に関するところから入りたいと思います。
それでは、まとめて潮崎さんからご説明をお願いいたします。
【潮崎技術開発室長】 それでは、前方のスクリーン、それから壁に4カ所ございますモニター、あと、お手元の資料と、いずれでも結構でございますので、お手元の資料では1-1の本資料の1枚表紙をめくっていただきますと、「高速鉄道の基本システムの構成」ということで、在来型新幹線、超電導リニアとございます。・・・
 お手元の資料では、参考資料の7ページになりますけれども、前回もご質問がございました、上海で実用化されております常電導方式のトランスラピッドというものとの違いでございますが、原理的には当然、超電導磁石を超電導リニアは利用して、非常に強力な磁力を発生させるということで、常に10センチぐらいの浮上をする。こちらはそのような仕組みを使っておりませんので、常温での電磁石ですので、浮上高さはせいぜい1センチぐらいということでございます。まず、この差が一番大きいということで、安定的に浮上して、地震が起こったときのようなことも含めて安定的に走るためには、私どもとしては、この浮上高さが500キロで走行するためには必要であろうと考えております。トランスラピッドも、現在のところ営業最高速度430キロで走っているようですが、500キロというスピードは実現できておりません(※)。

※ 注釈:上海では2003年11月12日に試験走行で501km/hを出しています。

 われわれが関心があることは地震の時の「安全性」です。塩崎さんは「安定性」といっています。地震で軌道にズレができた時に修復するのには、「おおざっぱ」なリニアの方が若干有利かもしれません。ただし、ガイドウェイの構造は、リニアはコイルを取り付けた12.6mの長さのコンクリートの板を並べたものに対して、トランスラピッドは実は鉄のレールを使っている点など考えると、同じ地震でもどちらのガイドウエイの方がずれが大きくなるかという問題もあるわけで、その点の議論は塩崎さんは説明していません。

 近藤教授は次のようにいっていますよ。

 上海リニアと超電導リニア(マグレブ)は、鉄のレール・車輪システムでは実現が難しいとされる400㎞/h以上の超高速鉄道システムを実現する技術としては同様に位置付けられる。そして両者の違いは、原理的にはギャップの相違、技術的には常電導磁石と鉄心付きコイルの組み合わせと、超電導磁石と空心コイルの組み合わせの違いとして現れている。現時点では両者に本質的な優劣は見られないというのが筆者の見解である。
 一部に、上海リニアの方が先に実用化しているから、日本の超電導リニアよりは優れている、あるいは、上海リニアはギャップが小さく、地震が起きた際のダメージが大きいため技術的に劣っている、等の議論が聴かれる。しかし、これらの議論は全くナンセンスと言わざるを得ない。恐らく、日本の超電導リニアも技術的に十分に実用レベルにある(そうでなければ一般公募で旅客は乗せない)。
 また、地震時の軌道の不整に関しては、鉄のレール・車輪システムに比べれば、安全性の観点で許容度はずっと高い。超電導リニアの基本思想は、エレクトロニクス技術に頼る制御システムによらず安定な支持と案内を実現し、広いギャップでも超電導磁石を利用して必要な磁束を得るというものである。それに対して、上海リニアのベースであるドイツのトランスラピッド方式は、積極的にエレクトロニクス技術を活用してギャップ制御を行い、磁気回路的に短いギャップ長の優位性を利用するシステムと言える。どちらのシステムを採用するかは、適用する線区の距離、輸送需要、最高速度、保有技術、などを個々の場合について比較して決定するするしかないと考える。すなわち、一般に優劣は付けられないと考える。(同、p98)

 さて、反転した部分、「地震時の軌道の不整に関しては、鉄のレール・車輪システムに比べれば、安全性の観点で許容度はずっと高い」はリニアについて言っているのでしょうか? それともトランスラピッドについてでしょうか? 「鉄のレール・車輪システムに比べれば」といっているのですから、当然トランスラピッドについてですね。

 最近の大きな地震で、レールと鉄の車輪の鉄道が脱線して犠牲者を出したという例がありますか? 10㎝浮上だから地震に強いが、「葛西リニア」でなくてはならない大きな理由とはならないはずです。なのに、トランスラピッドとの比較でこの点が強調されるのっておかしくないですか?

 「一般に優劣は付けられない」としても、通過できるカーブの半径、登坂能力ではトランスラピッド方式の方が明らかに優れています。日本の地形に直線しか走れないリニアがふさわしいとは思えません。このことも含め、審議会で「国として」採用すべき方式として、あるいは最善の方式を選ぶという点で、「葛西リニア」方式以外の方式についてまじめに検討したとは言えません。

 JR東海は自費でやるといっています。だから、超電導磁気浮上方式はゆずらないでしょう。トランスラピッド方式の方が良いという判断がつくとすれば、建設主体、経営主体として適さないとして指名しなければよかったのではありませんか。

ヨーロッパは大人


 ドイツはハンブルグとベルリンの間にトランスラピッド方式の路線を敷設する計画がありましたが、止めました。従来の鉄道の改良などで高速化が実現できたからです。従来の鉄道との接続ができないことも理由でした。ヨーロッパでは時速300㎞/h以上の高速列車に対する執着はなくなってきたようです。最近開発された新型車両の最高速度はいずれも、225~250km/h程度です。フランスのマクロン大統領はTGV(フランス国鉄の高速列車)はもう造らないといったそうです。こんな話を聞いて、ヨーロッパは大人だからねといった人がいます。審議会は子供会なんですか? 鉄道に300km/h以上の高速が必要だという考え方がすでに古臭い、1950年台や1960年台の考え方なんじゃないですか。先進国に学ぶとすれば、東京と大阪の間にはすでに東海道新幹線があるのですから、それで十分です。フリーゲージトレインも上手くいっていません。新幹線や高速列車はもうこれ以上に必要ないんじゃありませんか。地方の在来線(線路幅1067㎜)を維持すること、貨物輸送を鉄道に切り替える方が大事です。

 つい、「子供の会議」って書いちゃいましたが、実は「子供」ってリニアに関心ないのですね。だから、子供に宣伝しなくちゃならいってことで、飯田市なんかでは、大事業のわりあいにみみっちぃ「リニアの下敷き」を配ったりしています。鉄道ファンもあまり関心はないようで、彼らの読む雑誌にリニアのことなんか全然書いてありません。

ガイドウェイの継ぎ目の問題

 第2回の会議ではつぎのようなやり取りもありました。

【樫谷臨時委員】 素人的な質問なんですが、数年前に一度、実験線に乗せていただいたことがあるんですが、そのときの印象では、少し揺れるというんですかね、今までの新幹線と比べて少し乗り心地が悪いと言ったほうがいいかもわかりませんが、ということを感じたので、要するに乗っていただかなきゃいけないので、そういう意味では、乗り心地のところについてはどの程度改善されたのか、どうなのか。あのままなのかどうなのかというのが1点。
【潮崎技術開発室長】 まず、乗り心地については、確かに試乗をやっていた当時に乗られた皆さんからは、結構例外なく今のようなご意見をいただいたことは確かです。その大きな理由の一つに、今の地上コイルを張ってありますコンクリートのガイドウエーですが、長さ約12メートルぐらいのガイドウエーを並べているんですけれども、その継ぎ目を通るときにどうしてもガクンと来るんですね。これまで実験線ではいろいろなタイプのガイドウエーを試しておりますので、区間によって短かったり、長かったり、別のタイプがあったり、それによって、ガイドウエーの継ぎ目を通るときに不規則な振動が伝わってくるということがありまして、おそらくそれが通常の新幹線に比べますと、あまり経験のないような感覚なものですから、そういう印象になっているんだろうと思います。
 これに関しては、できるだけ継ぎ目を精巧にして、単純な話ですけれども、揺らぎがないようにしていくという技術開発は、前よりは大分進んでおります。そういうところはこれからも、実際工事を始めるまでにできるところは続けて、よりよいものをつくっていくということかと思います。

 ガイドウェイの継ぎ目って地震でずれやすい部分じゃないでしょうか? では、トランスラピッドは継ぎ目はどうなっていますかという議論だってあってよかったはずです。

「1㎝」の吹き出しの問題

 第2回の審議会で配布された資料の中のこのページ。名古屋のリニモのHSSTの説明が真ん中に入っています。左右の、リニアとトランスラピッドの図解は基本的に最初に示した図(答申に資料としてのっている)と同じです。違うのは「約1㎝」という吹き出しの説明がないだけです。

 このファイルは2015年の8月1日に飯田市育良町であった、南信州新聞社とリニア中央新幹線建設促進期成同盟会の共催の「リニア新幹線の開通を見据えた講演会」で国交省鉄道局長の藤田耕三氏が行った講演「中央新幹線と日本の鉄道」のレジメの1ページ。図解部分は審議会の第2回で示されたものと同じです。この会では質疑はありませんでした。が、さすが鉄道局長まで出世する藤田さん「ヤバイ」図解は使っていません。

実際の地震では

 地震のP波を検知すると、リニアは停止する仕組みになっているそうです。これから地震が起きようとするときに減速します。速度が落ちるとガイドウェイと車体の超電導磁石の間に生じる磁石の力が弱まります。車体を左右上下に支える力が弱くなってから地震の揺れに合う可能性がありますね。でも、JR東海は強力な磁力で支えているから大丈夫ですといっていますよ。

(2017/08/28、08/29一部補正、08/30補足)