更新:2019/01/18、補足など:2019/01/20、01/24、01/25
(補足:2019/01/25) 1月24日の『中日新聞』(愛知県、岐阜県、長野県)が1面トップで、""リニア残土受け入れ難航 長野県内970万立方メートル発生 「土砂崩れ懸念」候補地一転 反対" を掲載。紙面では、"JR広報は「自治体などから全体の発生量を上回る候補地の提案があり、長野県でも県の提案は県内発生分より多い」とする。ただ、地元が事実上受入れを断念した同県松川町の大規模な二カ所も含まれるなど住民の不安解消には至っていない。" と伝えている。松川町住民は「残土を置くメリットが何もない上、崩れるかもしれないという恐怖を抱きながら生きていくのは耐えられない」と述べている。
(追加:2019/01/24) 喬木村のガイドウェイ組立ヤードの造成に7万立米の残土を使用することについて、JR東海が1月22日に環境保全計画書を長野県と喬木村に送付。ガイドウェイ組立ヤードではなく、まず残土置き場として利用後にガイドウェイ組立ヤードにするという筋書き。項目に追加しました。
(補足:2019/01/20) 当方の一覧は長野県内の沿線しか扱っていません。"リニア中央新幹線 沿線各地の発生土取り扱い状況についてのリンク集" というページがあります。「リンク集」といっていますが、内容的には「発生土の置けそうな場所」の一覧です。沿線全部の情報源をたぶん網羅しています。相当の労力を要したものだと思います。作成者は「検証の可能性を確保するため、事業者や自治体からの発信が確認できない情報は載せていません 。」と断っていますが、それが情報の正確さを保証するものかどうかは利用される方の判断によると思います。情報の検証はわれわれの「実践」のために行うものです。JR東海や自治体からの情報だけが情報ではありません。
(訂正:2019/01/20) 半の沢(中川村)の土量が53万立米になっていましたが、県道の改良で掘られた2つのトンネルの残土20万立米がすでに付近の小渋川の岸においてあります。それも埋め立てに使うので、リニアトンネルの残土は33万立米です。
2019年1月15日、飯田市役所で行われた、JR東海、長野県、関係市町村長の懇談会の席上、JR東海は、残土置き場として確定したのは大鹿村内の「ろくべん館そば」、「村グランド嵩上げ」、「旧荒川荘跡」の3か所(約13.5万立米)で、ほかに20か所の残土候補地を地権者、自治体と「調整中」と発表。20か所について具体的な場所は公表されていません。『信毎』16日は "JR東海 確保 現在3カ所のみ"、『南信州』は、"残土置き場「確保不十分」" と報じました(参考)。下の表はこれまで新聞等で報じられてきたものをリストしています。取りやめ、工事中、仮置き場以外の候補地は南木曽町と阿智村をのぞいて13か所です。
長野県は2018年12月6日に残土置き場の候補地の再募集を始めました。
大鹿村で確定した3か所(緑)と当初公表された公共事業(⇒)での活用先87万立米の合計は約100万5千立米で、発生土量970万立米に対して約10.4パーセント。受け入れ土量が分かっている未確定の候補地(黄色+無色)を含めても約504万立米。大鹿村内の仮置き場が40~50万立米でこれを恒久化しても約555万立米でとても追いつかない。
飯田市内の「ひがしの丘公園」について、地元の方は、以前付近で造成計画があったが住民の反対でとん挫したことがありまさかあり得ないだろうとの声がある一方、飯田市内で新たに60か所の候補(詳細は不明)があがっているらしいので可能性はあるとの声もありました(1月12日)。
なお、この表には、中央道山本インター付近のアリーナ、コンベンション建設の構想での使用は入っていません。
2018年11月20日、本山生産森林組合の組織正常化のための臨時総会(組合員資格のある117人を招集、65人が出席)で、理事11人と監事3人を選出。新組合長は過去理事の抹消に関する訴訟の原告であり、人選はリニア推進方針の村主導で行われたと言えます。村の方針に反する意見を持つ組合員の立候補に対しては、役員は互選によるという規定を盾に強引に握りつぶしました。『読売』21日によれば、"残土置き場計画は再度、審議するが、組合を地区の住民すべてが加入できる「認可地縁団体」に組織変更することも含め、検討していくという。残土置き場計画が了承されても、一部が保安林に指定されており、解除手続きを終えて活用できるまで1年~1年半の時間を要する見通し"。
2019/01/18 場所の追加:豊丘村内の、坂島斜坑口そばの仮置き場と萩野の仮置き場( ⇒ 「豊丘村内発生土仮置き場(坂島)における環境保全について 2018年12月」、⇒ 2019年1月10日の第17回豊丘村リニア対策委員会=『南信州』・『信毎』1月12日報道)。萩野は本山候補地(ジンガ洞)の最上部への入り口付近です。
・ ■:決定 ・ ■:仮置き ・ ■:使用可能性低い ・ ■:使用不可 ・ □:未定
自治体名 | 候補地・予定地 | 地形 | 土量(万立米) | 現状 |
---|---|---|---|---|
大鹿村 | ◎Gろくべん館前 | 川岸 | 0.5 | 工事完了 ⇒2019年1月14日撮影写真 |
大鹿村 | ◎F村総合グランド嵩上げ | 崖下 | 10 | 工事中 ⇒2019年1月14日撮影写真 |
大鹿村 | A除山(釜沢) 仮置 | 川岸 | 1.5 | - |
大鹿村 | B三正坊(釜沢) | 川岸 | 5.5 | 仮置き作業中 ⇒2018年12月15日の状況 |
大鹿村 | C小渋側右岸 仮置 | 川岸 | 11.6 | - |
大鹿村 | D小渋側左岸 仮置 | 川岸 | 3.5 | - |
大鹿村 | E変電所予定地(上蔵) 仮置 | 川岸 | 15 | 仮置き作業中 ⇒2018年12月15日の状況 |
大鹿村 | H下榑渡橋そば(青木) 仮置 | 川岸 | - | - |
大鹿村 | I深が沢 仮置 | 崩壊地下 | 7 | - |
大鹿村 | 旧荒川荘跡地 | 地滑地形 | 3 | 建物撤去・樹木伐採済 ⇒2018年12月15日撮影写真 |
大鹿村 | 鳶ガ巣崩壊地下 | 川岸 | 30 | 2018年9月26日、JR東海が費用負担する盛土の安全性についての第三者による技術検討委員会が発足 |
中川村 | △半の沢 | 谷 | 33 | 村有地。村長が慎重な姿勢。2018年9月26日、JR東海が費用負担する盛土の安全性についての第三者による技術検討委員会が発足。埋立に必要な53万立米中33万立米がリニアトンネル残土。 |
松川町 | △中山(生田) | 谷 | 30 | 福与区が強力に反対中 |
松川町 | ×つつじ山線(生田) | 谷 | 100 | 2018年9月28日、撤回 |
松川町 | ×本洞(生田) | 谷 | 490 | 2018年9月28日、撤回 |
松川町 | ×ガイドウェイヤード造成(上片桐) | 斜面 | 20 | 2018年10月12日、農振除外の可能性なく、町が断念 |
松川町 | 古町、前河原道路 | - | 10 | - |
高森町 | 川の駅造成 | 川岸 | 6.5 | - |
豊丘村 | ×南の沢 | 谷 | 25.8 | 2016年6月、住民反対で中止 |
豊丘村 | ×牛草沢 | 谷 | 25.9 | 2016年6月、住民反対で中止 |
豊丘村 | ×本山 | 谷 | 130 | 2017年5月、県介入で白紙に |
豊丘村 | 下沢 | 谷 | 少量 | 10月下旬、佐原地区にJR東海が用地を買収との報告。(地図) |
豊丘村 | 電力変換所造成(柏原) | 斜面 | 14 | - |
豊丘村 | 福島 | 谷 | 不明 | 2018年10月5日、村が福島てっぺん公園南の谷の駐車場造成に残土利用の意向 |
豊丘村 | 坂島 | 川岸平地 | 4 | 坂島斜坑口北東約200m。2018年12月、環境保全計画提出 |
豊丘村 | 萩野 | 斜面 | 不明 | ジンガ洞最上部の入り口付近 |
喬木村 | 伊久間 | 低地埋立 | 8.5 | - |
喬木村 | 堰下 | 低地埋立 | 7 | ガイドウェイ組立ヤード用地の盛土造成に使用。2019年1月22日環境保全計画公表。 |
飯田市 | 下久堅小林 | 谷 | 20 | - |
飯田市 | 龍江番入寺西 | 谷 | 40 | 地権者不明の土地がある |
飯田市 | 上郷黒田 | 尾根 | 不明 | 詳細 |
下條村 | 睦沢・火沢 | 谷 | 120 | 活断層あり |
阿智村 | 萩の平 | - | 71 | 萩の平~国道256号線までの間で適地を調査中。排出土約71万立米すべて収まるといわれる。 |
南木曽 | ※ |
※ 南木曽町は、2013年、県の照会に町は「該当なし」と回答。2016年11月、長野県とJR東海は発生土置き場の候補地の提案を再度依頼。2017年9月19日時点で20数か所の応募あり。JR東海は候補地の数か所について地権者に説明を始めるが、町や協議会に具体的な場所を伝えておらず、候補地の安全性を検討する上で早く候補地を示すべきとの声が協議会の委員から出ている。また、南木曽は土石流災害が多発しているので適地はないという指摘がある。
◎ 高森町は、公共事業で活用する以外にはリニアの残土は受け入れない。高森町では過去に谷埋めを伴う開発計画があった。危険性から町民の反発を受け、町は検討委員会を設置して計画を中止した経緯がある。
⇒ 他に、当初出された公共事業での利用可能性が合計約87万立米 = リニア中央新幹線建設工事に関わる建設発生土の活用先調べ (第1回、第2回)