更新:2019/02/06
きのぬけたニュース
2月5日、NHKは首都圏で次のようなニュースを流しました。
ニュースの背景画面には、「使い古した」映像が使われています。
(画面1)
これは、2017年7月に大鹿村上蔵の小渋川斜坑口を報道陣に公開した時の映像です。 ⇒ 小渋川斜坑口の現場を報道陣に公開
(画面2)
これは、豊丘村の坂島斜坑口のそばにある、残土の仮置き場です。
(画面3)
これも、豊丘村の坂島斜坑口のそばにある、残土の「仮置き場」です。仮置き場は3年間だけで、以後はどこかへ移動しなくてはなりませんが、その行く先がいまのところありません。
NHKは長野県南部に取材網がないのかも知れません。
報道内容の問題点
1.1月15日、飯田市内であった会合の中でJR東海が公表した内容と推定されますが、「いつ」、「だれから」、「どこで」、仕入れた情報なのか説明がありません。⇒ 1月15日の懇談会
ただし、「JR東海=NHK」であれば、「当社のニュース・リリース」なのでまったく問題はありません。
2.JR東海が説明した(と推定される)内容のうち、工事の進み方に懸念になる情報はありません。⇒ JR東海の宇野護副社長は残土処分先は3か所しか確定していないと説明しています(『信毎』16日)。『信毎』によれば、それらは、いずれも大鹿村内の「旧荒川荘跡地」、「ろくべん館前」、「村総合グランドの嵩上げ工事」です。合計で13万5千立米。発生する残土の総量は長野県内で970万立米です。
3.「JR東海は長野県南部のおよそ20か所で土地の利用に向けて地権者などと協議を進めている」といっています。その20か所のうちには、すでに使えないことが分かっている、2か所(松川町生田の本洞の490万立米、つつじ山線沿いの谷の100万立米)が含まれていると、1月24日の『中日』朝刊が書いています。⇒ 残土置き場の現状 2019年1月18日現在
4.長野県内では、当初から残土の置き場がないことは、推進派と反対派を問わず、またJR東海や長野県にとっても共通認識です。残土を谷筋に処分することで将来土砂災害が起きることを強く心配する住民を、どうやってだまそうかと、JR東海、長野県、市町村長たち、つまり推進派は、頭をひねっているところです。
NHKのこのニュースは、JR東海の公表した事実のうち、工事が進んでいると思わせる、都合の良い情報だけをつまみ食いした、いわばフェイク・ニュースと言えます。すくなくとも、地元からみれば、なんともマヌケでキ(炭酸)のぬけたニュースです。
なお、『中日』、『信毎』、『南信州』など地域に密着した新聞や、『朝日』、『読売』などの中央の新聞も長野県内の残土の処分先の見込みがないことについて書いています。
「みなさまのNHK」を標榜するなら、もっとちゃんとしてください。