補足 :2019/04/30
補足: 2019/04/28 19:12
「東濃リニア通信」さんが現場の様子を報告してくれています。 ⇒ 「山口非常口斜坑トンネル崩落現場周辺の現況」(28日朝)
更新:2019/04/28
山口工区で6か所のボーリング調査
「リニア問題を考える恵那市民の会」のフェイスブックによると、陥没事故が起きたリニア中央アルプストンネルの山口工区で6か所でボーリングが行われているとのことです。以下、記事を転載します。
リニア問題を考える恵那市民の会
4月26日 20:54
25日午後、赤旗新聞記者を案内して今月8日に陥没事項が発生したリニア中央新幹線山口非常口の現場へ出かけました。来るたび変化があります。今日は6箇所でやぐらを立ててボーリング作業をしていました。現場地下の地質がどうなっているかしっかり調査して対策を検討するようです。
このような巨石が重なっている土かぶり20m程度の素人から見ても厳しい現場。今さらボーリングとは。どのような自演調査と対応策をとって作業にかかったのか明らかにし、地元住民や第三者に評価していただかない限り、作業開始すべきではありません。そもそもこのような巨大プロジェクト、名実ともに「公共事業」として「おおやけが責任をもたない限りむり」と思いました。
現場は竹が切り開かれ見やすくなっています。白いホースは地下に溜まる地下水を吸い上げているそうです。
付近の民家の方は、陥没とき音がしたのですぐ連絡されたようです。
(※ 明らかに間違いと判断できる語句を訂正しました=引用者)
リニア問題を考える恵那市民の会
4月26日 20:55
巨石が重なり合った谷あいの地下を、爆薬を仕掛ければ当然、隙間ができバランスが崩れて崩落することは分かる、だからそうならないような対策を立てて、トンネルを掘ると思うがのが普通。経験豊かなはずのゼネコンの仕事とは思えない。いまあわてて6箇所ボーリングして地質等調査して対策を考えてから、工事再開するという。監督官庁は何も発信していないのが問題、というか、民間の事業だから、事業者が公表しない限り発言できないのか、それともかかわりをもちたくないのか。こんな無責任なリニア中央新幹線事業はまず中止すべきと思います。
上越新幹線の中山トンネルの工事が難航したことについて昨年国会図書館の「レファレンス(The Reference)」(No.813、2018年10月20日)に「リニア新幹線の整備促進の課題―トンネル工事が抱える開業遅延リスク―」が掲載されました。難航した原因は、路線の決定の前に地質調査を十分に行わなかったからと指摘しています。で、リニア中央新幹線の場合はルートの決定前に十分な調査を行っただろうかと疑問を投げかけています(参考ページ)。
飯田市の上郷黒田から羽場地区にかけての主に礫層地帯に掘られるリニアの風越山トンネルについては、(1)ルート発表以前の2012年に2か所、(2)2014年から2016年にかけて4か所、(3)2017年から2018年にかけて13~15か所でボーリング調査を行っています(参考ページ)。環境影響評価より以前に行われた(1)の調査位置は最終的に決まったルートから北へ約500m以上離れた2か所でした(参考ページ)。(2)の後で工事方法についてNATMからシールドに変更するとかしないとかの話が出てきています。
山口工区で陥没後にボーリング調査を行っていること、風越トンネルでもルート決定後に多数のボーリングを行ったことなどから、国会図書館の「レファレンス(The Reference)」が心配はあたっていると思います。「リニア問題を考える恵那市民の会」は「経験豊かなはずのゼネコンの仕事とは思えない。」と言っていますが、これは、ゼネコンのミスというよりは、基本的にJR東海と建設工事を認可した国土交通省のミスです。ルート決定前の事前調査が不十分だったのです。すぐに工事を中止させるべきです。
※ なお、長野県内でルートが南に移動したのは、飯田市の牧野市長をはじめとする飯田市の有力者の意志が強く働いていただろうというのが地元住民の大方が理解しているところです。
補足:4月30日
地質図で見ると陥没の起きた場所は、非常に新しい時代に堆積してできた場所のようです。地質Naviでは「形成時期は新生代 第四紀 後期更新世後期~完新世、岩石は扇状地・崖錐堆積物」(12万6000年前より以後)、地理院地図の都市活断層図によれば、「数千年前から歴史時代にかけて、海または河川の作用で形成された平坦地」。活断層図で明らかなようにリニアはこのすぐ東で活断層を横断します。
(凡例の抜粋)
飯田市内の風越(かざこし)トンネルの話です。ルートが(1)のボーリングか所を通る場合と(2)、(3)のボーリング位置を通る場合で地質的にはそれほど差がないと思いますが(礫層地帯を通過する距離が違いますが)、(1)のルートの方が活断層をできるだけ短い距離で横切る(できるだけ直角に横切る)というJR東海の方針にはあっているような気がします。現在の計画中のルートの活断層を横切る場所で何かの事故が起きたとしたら、飯田市の責任は重いと言わざるを得ないと思います。
いずれにしても、ほぼ直線しか走れないというリニアの特性が一番の問題なのです。山がちの日本では直線ルートで建設しようとすればどうしても長大な山岳トンネルを掘らねばなりません。特に南アルプスは若い山で地質が非常に複雑、破砕帯も多いです。トンネル工事中の事故の危険性、したがって建設コストの問題、完成後の維持管理、地震時の被災など、大きなリスクがあるはずです。いや、運よくないかも知れない。しかし、ドイツの常電導のトランスラピッドの実験線や上海の路線に比べて、宮崎と山梨の実験線がほぼ直線という事実から、超電導リニアはいろいろな半径の大きさのカーブを走るという点で技術的な研究をきちんとしていないように思えます。おそらく超電導磁石が突然磁力を失うというクエンチ現象が起き車体を支えることが出来なくなった場合、カーブでは危険を回避する手立てはないからでしょう。つまり、長大で困難なトンネル工事にまつわるいろいろなリスクより、カーブを走るリスクの方がさらに大きいのだと思います。そんな技術を、JR東海や国交省や長野県や飯田市や南信州広域連合は、夢の技術だと騒いでいるのです。