更新:2023/01/10
三角形の残地
[ 拡大 ]天竜川橋りょうの西の端付近。飯田市座光寺です。柿畑の柿の木が三角形の範囲で伐採されています。伐採された部分はリニアの用地です。左の土地の境と手前の堤防の線は直角。長方形だった柿畑が斜めに削られます。リニアのルートは地域の土地利用の状況のことをまったく考えていません。高架橋は柿畑の南側になるので、日当たりのかげんはどうなるのか。
[ 拡大 ]前に紹介した三角形の「売地」。反対側からみたところ。オレンジ色のバリケードから右は「中央新幹線用地」。バリケードから左がJR東海が買い取らない「残地」です。右端に上の写真の柿畑が見えています。三角形の「売地」と柿畑までの間の土地は元は一つの土地でした。
[ 拡大 ]赤い線がルートの中心線のおよその位置。黄色がルートの用地のおよその幅です。
[ 拡大 ]こちらは、喬木村阿島で高架橋の橋脚がたつ予定の土地。
黄色い線の下に簡単な柵がありますが、おそらく、これがルート用地の北側の境だと思います。灰色の幕がかけられ解体中の家の手前の道路は天竜川と並行なので、ここも三角形の「残地」なのだと思います。
上海で走っている常電導のトランスラピッド方式のリニアモーターカーの路線は、浦東国際空港から上海郊外の龍陽路駅までの間を直線で結ばず、だいたい、3つのほぼ直角にまがるカーブでクランク型の路線になっています。おそらく既存の土地利用になるべく影響のない位置を選択したのだろうと思います(*)。強権政治の中国であっても。カーブの半径は、それぞれ、約2.3㎞、約4.5㎞、約1.3㎞で、超電導リニアが本線上の高速走行区間では半径8㎞がもっとも急なカーブなのと大きく違います。高速路線としてはけっこうカーブがあるのに、時速300~430㎞で営業運転しています。2003年11月にはこの路線で時速500㎞で走行し、車体自体は500㎞の運転ができることを示していました。トランスラピッドは車輪がないので、もちろん全区間浮上走行です。超電導リニアはほとんど直線しか走れないので、実際に路線を建設するとなれば、各地域の土地の利用の形を無視しなくてはなりません。長距離を結ぶ乗り物として、まともにカーブが曲がれないようなものはダメというしかないと思います。
* 路線の中ほどの半径約4.5㎞のカーブ部分では既存の土地の利用状況に合わせてというわけにはいかなかったと思いますが…。
カーブの走行性能の比較。超電導リニアの最小カーブ半径8000mは時速400㎞のとき軌道の中心を走るという想定。計画路線には、名古屋駅の前後に半径2000mのカーブもある。
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