更新:2025/06/06

豊丘村議会一般質問、6月5日

 6月5日、豊丘村議会の一般質問で壬生村議が本山残土置場へ要対策土を処分するJR東海の計画について質問。

壬生村議の一般質問通告書資料(要対策土関連)

 壬生村議は、村の水道の水源地であるヒ素を含む要対策土を山間地に置くことは避けるべきと指摘しました。

 これに対して村長は、基準値を超えるヒ素を含む要対策土を山間地区に置くことはできれば避けたいが、リニア新幹線開業に向け対応を調整しなければならない重要な問題なので、JR東海の計画は様々な調整・検討がなされた結果、安全対策措置が講じられた上で本山発生土置場で使用することになったものと認識している。議員の指摘は、ヒ素が溶け出ることを前提にしたものと思われるが、ヒ素が溶出しない処置を施し、なおかつ遮水シートで覆い埋め立て、要対策土周辺の地下水の水質基準を管理するなどできうるかぎりの安全対策等の措置が計画されているので地下水、水源地への影響は生じにくいと認識している。今回のJR東海の計画は、国の定める指針やマニュアルに基づき計画されたもの。この計画については、県の環境部や環境審議会で審議されるので、関係機関の了承が得られれば過度に心配する必要はないと考える。

 下平村長の説明は、JR東海の説明通りなんですが、最後の「関係機関の了承が得られれば過度に心配する必要はない」という部分については、そうは甘くないと思います。

 下平村長が「県の環境部や環境審議会で審議される」といっているのは、正確にいうと、JR東海がこれから出す本山発生土置き場の環境保全計画の修正について長野県環境影響評価技術委員会が審議するという意味で、環境部はひろく一般から環境の観点からのパブリックコメントを募集して、JR東海に対する県知事助言をまとめます。助言に従うかどうかは、JR東海の良識の問題です。

 しかし、長野県環境影響評価技術委員会の審議の内容によって、住民の心配はより高まる可能性があります。技術委員会の会議録は、長野県のサイトで誰でも読めます。委員は専門家ですが、委員は一般住民が理解しやすい言葉で発言しているので、是非読んでいただくと良いと思います。

 要対策土の関係では、これまで以下のような審議が行われました。

 「環境」という考え方が住民の命と生活を守るためのものであって、JR東海の説明が、環境の立場から客観的、科学的にみて妥当なものかどうかが、会議録を読むとわかります。制度上、技術委員会やパブリックコメントを基に書かれた県知事助言は、せっかく委員会が頑張っても、所詮県知事の助言なので、JR東海に対してちょっと「甘い」ところもあります。その典型的な例は、1月27日の助言(※)です。ところが、JR東海はそれさえもまったく無視します。しかし、会議録を読めば、客観的、科学的に、JR東海の計画が非常にマズイということが明らかなことは理解できると思います。

参考ページ:「JR東海が要対策土処分で説明会、5月21日豊丘村

※ 今年(2025年)1月27日の助言については:

おまけ

 要対策土とは関係ないのですが、壬生村議のまえに質問をした酒井浩文村議の質疑のなかで下平村長が興味深い発言をしました。

酒井村議の一般質問通告書

 酒井浩文村議が、村のPR施策についてたずねた答弁の中で、下平村長は次のように語りました。

…飯田下伊那は文化とか自然とか環境とかを大事にするという意味ではとてもよい地域だが、経済の発展とともにないと地域の力は疲弊していく。人口が減る、活力の源である生産年齢人口まずが減ってしまう。そういう意味で今回、リニア新幹線と三遠南信道は千年に一度のチャンスとして浮上してきた。その中で、いろいろな流れの中でも、駅は飯田市にできるので、何となくものがいろいろ言いづらいとか、そういう流れがあるが、ご存じの通り、JR東海が最初に駅を作ろうとした場所は座光寺の駅のところへ飯田線と結んでつくるというつもりだったが、飯田市の方で少しでも丘の上に近いところへということで現在の場所に動いたわけだが、あの時も、残念ながら、当時の市長から僕らはなに一つ相談されたわけではない。

 飯田下伊那では多くの人が飯田市がルートを動かしたと思っていますが、下平村長のことばによれば、当時の飯田市長=牧野光朗氏が勝手にやったことになります。飯田市長にどうしてそんな力があったのかと思いますね。

参考ページ:「中間駅の位置は誰が決めたのか?」、「歴史は繰り返す?リニア駅前広場 ~ リニア長野県駅周辺の状況