更新:2024/10/17

※ このページは、2020年6月8日に掲載した "超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会 (2)" の一部を書き改めたものです。

開催記録がない 「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会」

国交省は、内心、リニアは危ないと思っている?

 国交省のHPの 「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会」 には、「開催状況」として下表のような、7つの年度にわたる、9回の委員会の「記録」があります。表に、ページに掲載されているタイトル(リンクの文字列)と、開催(?)年月日、回数を書き出してみました。

 委員会の「開催状況」なのに、「平成○年…評価」となっています。そもそも、「開催しました」という内容の文書がないものもあります。

タイトル開催年月日回数
平成16年度 超電導磁気浮上式鉄道技術評価2005年3月11日
平成17年度 超電導磁気浮上式鉄道技術評価2006年3月28日
平成18年度 超電導磁気浮上式鉄道技術評価2006年12月12日(第14回)*
平成20年度 超電導磁気浮上式鉄道技術評価2009年1月**
平成21年度 超電導磁気浮上式鉄道技術評価(1)2009年4月24日第16回
平成21年度 超電導磁気浮上式鉄道技術評価(2)2009年6月15日第17回
平成21年度 超電導磁気浮上式鉄道技術評価(3)2009年7月28日第18回
平成23年度 超電導磁気浮上式鉄道技術評価2011年9月13日第19回
平成28年度 超電導磁気浮上式鉄道技術評価2017年2月17日第20回

* 第17回の別添資料によれば、3行目の2006年12月は第14回
** 第18回の【別添】資料1によれば、2009年1月に委員会が行われていた

 2011年9月13日と2009年7月28日については、JR東海の「山梨リニア実験線」に、日付が対応する、「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会の「車上電源に関する実用技術評価」に対するコメント(平成23年9月13日)」と「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会の総合技術評価に対するコメント(平成21年7月28日)」があります。

 表の1列目にあるファイル「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価 (平成17年3月11日)」の 「超電導磁気浮上式鉄道開発の経緯」(ページ Ⅱ-25 ~ Ⅱ-26) で「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会」について書いてあるのが全部で5つ。下に書き出しました。

 「中間とりまとめを公表」と書かれたものが3つ、「実用技術評価を公表」が1つあって、平成9年1月に「発足」と書いてあるのでこれが第1回だと思います。

 つまり、「中間とりまとめを公表」とか「実用技術評価を公表」の前に何回か会合が開かれていたはず。しかし、その「開催記録」がない。残っていないのかもしれない。なんか不思議な感じがしますね。「会議録が公表されていないのはマズイ」どころの話じゃない。

 国交省のHPの 「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会」は、どう見ても、なんか変なことはたしか。検討や審議もなにか杜撰なものだったと思わせるようなページの作り方です。これでは、超電導リニアに安心して乗れないですね。

 どれも、JR東海と国交省が関係している、まあ鉄道事業についての官庁だからともいえなくもないけれど、そういう事業、具体的には、リニア、テキサス新幹線、ボルチモア-ワシントン間のリニア計画については、記録がないとか、記録をなくしたとか、一般向けの報道がないとかいうことが、目立ちます。

◆       ◆       ◆

 以下、本論と関係ないですが、ボルチモア-ワシントン間のリニア計画については、あまり報道されていないので書いておきます。環境影響評価が草稿の段階で手続きが停止したことは、アメリカの連邦鉄道局が公表しているんですが、JR東海も、国交省も公表していないと思いますね。たぶん、国内では新聞や放送でも報道されていないと思います。連邦鉄道局のページを 2024/10/17 確認しました。ページのURLと、関係する部分の原文、それとグーグル翻訳に手を入れた訳文が以下です。

* Environmental Impact Statement(2024/10/17のキャッシュ) の「Next Step」の説明の中にある Baltimore-Washington Superconducting Maglev Project(2024/10/17のキャッシュ) には以下のように書かれています

2021年8月、FRA(連邦鉄道局)とMDOT(メリーランド州運輸局)は、DEIS(環境影響評価書草稿)に関するパブリックコメント期間の後、ボルチモア・ワシントン超電導磁気浮上(SCMAGLEV)計画の環境審査のプロセスを一時停止した。一時停止の目的は、FRA と MDOT が計画の課題を検討し、次の手続きを決定できるようにすることだった。さらに、MDOT は FRA と協議して、環境審査を継続するための資金を見直しました。
計画の課題を検討する取り組みの一環として、FRA と MDOT は現在、DEIS に関して意見書を出した影響を受ける可能性のある連邦政府機関と会合を行っており、これは DEIS における FRA の関わりの一環であり、連邦所有地で計画される SCMAGLEV の潜在的な影響をさらに理解するために関連規制機関と連携するというものである。 FRA は必要に応じて他の参加機関と調整することがある。
現時点では、環境審査プロセスは一時停止されたままである。 FRA と MDOT が環境審査プロセスを再開することが適切であると判断した場合、FRA と MDOT は鉄卯月経過一覧表を更新する前に協力機関および参加機関と調整し、一般に通知する。

In August 2021, FRA and MDOT paused the environmental review process for the Baltimore-Washington Superconducting Magnetic Levitation (SCMAGLEV) Project following the public comment period on the DEIS. The purpose of the pause was to allow FRA and MDOT to review project elements and determine next steps. In addition, MDOT, in consultation with FRA, reviewed project funding to continue the environmental review.
As part of the effort to review project elements, FRA and MDOT are currently meeting with potentially impacted federal agencies that commented on the DEIS, consistent with FRA's commitment in the DEIS to coordinate with the relevant regulatory agencies to further understand the potential impacts of the SCMAGLEV Project on federal property. FRA may coordinate with other participating agencies, as necessary.
At this time, the environmental review process remains paused. If FRA and MDOT determine it is appropriate to resume the environmental review process, FRA and MDOT will coordinate with cooperating and participating agencies before updating the Permitting Dashboard and will inform the public.

補足:アセスの手続きが2021年8月に一時停止されたと書いている意味は、たとえば、『日経』2021年2月16日の記事 "JR東海支援の米リニア計画 バイデン政権、追い風に 鉄道好き/公共投資重視/脱炭素 30年ごろ開業に前進" は「米連邦鉄道局(FRA)が2021年1月、環境影響評価書の準備書(草案)を公開した。22年初めにも最終的な評価書をまとめる」と書いているあたりから見れば、停止からすでに2年半以上たっているわけです。
 アメリカのアセスの制度上、草稿から評価書をまとめるまでの期間について決まりがあるのかとか、平均的にどれぐらいかかっているのかについては知りませんが、日本のリニア計画で、2013年9月18日に準備書が出され、2014年8月23日に評価書の補正版が出され、さらに10月17日に工事の認可が下りたのに比べると、はるかに時間がかかっているといえます。
 また、連邦鉄道局とメリーランド州運輸局によるアセスメントの開始は2016年11月でした。草稿までに5年かけているわけです。ルートの長さは21%程度なので、日本に比べてアセスメントにかなり時間をかけていることも確かです。日本のリニア計画では、JR東海が行ったのですが、配慮書が2011年に出されてわずか2年で準備書を出していました。準備書から最初の評価書が2014年4月に出るまでは約半年でした。これでは、批判や指摘に対して「言い訳」を書く程度の対応しかできなかっただろうと思います。
 アメリカの場合は規制当局が、予算を新たに手当てして、調査の見直し(再調査?)や、他の政府機関や規制当局と協議をしているのだろうと思いますが、時間がかかれば、現地の事業主体だって財政的にどうなるのか。事業主体の幹部が、草稿に対するボルティモア市の建設反対の意見は痛かったといっていることなど考えると、「一時停止したまま」と捉えても仕方ないのじゃないかと思います。連邦所有地を管理する政府機関が、多くの国民が利用するわけでもないのに営利事業として超電導リニアの軌道を連邦所有地に敷設することは疑問との見解をだしていましたね。

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