更新:2024/08/26

萩の平工区について

 8月22日、阿智村清内路で中央アルプストンネル・萩の平工区について工事説明会がありました。

 説明会は非公開。

(1)萩の平非常口からの掘削は2025年秋から、

(2)没になった坊主沢の残土処分(34万㎥)を地区内の宅地造成や駐車場造成(6カ所)で13万㎥活用を想定、

(3)20万㎥を処分するクララ沢では用地取得が難航している、

(4)(2)の想定される残土処分先候補地の受入れ準備が整い次第、トンネル掘削を開始する(クララ沢の進捗に関わらず)、

(5)「トンネル工期の見直し」は掘削開始前に(というのは開始するときにという意味でしょう)明らかにする。

 『南信州』掲載の地図を参考に、残土置き場と活用先候補地を地理院地図に記入してみました。

非常口付近の4つの活用先候補地と残土置場
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清内路峠付近の活用先候補地
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 活用先「候補地」全部で13万㎥、クララ沢と坊主ケ島の合計の処分量は30万㎥。非常口から出る残土は70万㎥。全体の着工から約10年たっても残土の処分先は困った問題。残土の行き先が見込み含めて5割として、地方の公共事業なんて県や自治体にお金がないし、そもそもそれほどあるわけじゃないので、現状だって無理している部分だってあるはずで、あと10年で、もう5割分の事業が出て来なければ、掘削は止まってしまいます。

「環境整備」?

 なお、七々平の活用目的の「環境整備」というのは、大鹿村の「鳶ヶ巣沢環境整備事業」と似た感じの呼び方です。鳶ヶ巣沢の事業は落差550mの崩壊地の直下の川岸に残土を積み上げるという挑戦的(冒険的)な計画。国道256号から非常口の間の村道の拡幅改良については、用地が未取得の部分があったりで来年夏までに完了の見込みのようです。

トンネル工事完了は最速で2033年以降

 JR東海が2019年(令和元年)11月に公表した「中央新幹線中央アルプストンネル新設(萩の平・広瀬工区)工事における環境保全について~中央アルプストンネル(萩の平)~」によれば:

 掘削距離は全体で約5.8㎞。

環境影響評価書の資料編の工事工程によれば、トンネル工事の完了までに8年。2025年秋から掘削開始なら、工事計画をたてた当時の見込みの8年でできるとしても、2033年にトンネル工事完了でそのあと電気工事などに2年必要なので、列車が走れるようになるのは2035年以降になるはず。トンネルの掘削はですが、リニアのトンネル工事で計画通りいっているところはありません。工程表で掘削期間は、6年または7年です。6年とすれば、毎月の掘削ペースは約81m、7年としても、約69m。中央アルプストンネルで一番土被りの大きな部分ですから、2033年までにトンネル工事ができる可能性はないと思います。

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 静岡県のような抵抗があったわけではないので、やっぱり、最初の計画が無理だったといえると思います。つまり工事の遅れの責任はJR東海にあります。また杜撰な計画を認可した国交大臣にも。

[ 萩の平工区の路線縦断面 ]
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[ 拡大 ]工事実施計画(その1)の線路縦断面図」より

 「環境影響評価書資料編」の「5 地形・地質等調査についての報告書の概要」(事5-9)には、中央アルプストンネルについて以下のように書いています。

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[ 地質図・縦断面 ]
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[ 拡大 ] 環境影響評価書資料編の「9 重要な地形及び地質」より(参考) 清内路峠断層を横切ります。国道256号線の清内路トンネルが近くにあって、断層に沿っているためか、トンネルが変形しています。

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